Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

中国共産党 「愛国主義教育実施綱要」

2005-04-23 23:54:12 | 国際
中国共産党中央宣伝部が11年前の1994年8月23日に公布した「愛国主義教育実施綱要」の存在が、今回の反日デモを契機に、にわかにクローズアップされるようになった。「愛国教育」とは、小平が生みの親、江沢民が育ての親ということができよう。

この「愛国主義教育実施要綱」は、「愛国主義と社会主義は本質的に一致しており、中国の特色ある社会主義を建設することは、新時代の愛国主義のテーマである」としていることから、彼らは「愛国主義」をもって、市場経済導入後、中国共産党一党独裁体制を維持していくための精神的根幹と位置付けていることがわかる。

更にまた、「中国人民には自らの民族への自尊心があり、祖国を熱愛し全ての力を社会主義建設と祖国建設に貢献することを最も光栄とし、社会主義と祖国の利益・尊厳・栄誉に損害を与えることを最も恥辱とする」という小平の言葉を引用していることから、小平が遺訓として遺した路線を忠実に継承していこうとしていることも明らかである。

従って、「愛国主義教育実施要綱」とは、天安門事件(1989年6月)に対処した中国共産党の自己反省と、それに加えて将来対策をも含めた所産というべきであろう。

次に掲げる「愛国主義教育実施要綱」日本語訳は、筑波大学教育研究科社会科教育コース修士在学中の原田博康氏が翻訳したものである。私も少し突っ込んで勉強したいと思うので、しばらくこのブログ上に転載しておくことをお許し願いたい。

また、この日本語訳には、「青少年の参観・仰ぎ見る活動に組織して接待し...(第21項)」、「参観・仰ぎ見み・墓参りなど(第25項)」というように、中国には「仰ぎ見る教育活動」というものがあるらしいことがうかがわれる。鳥居民氏は「仰ぎ見る」の訳語を「恭観」とし、この箇所では「参観・恭観」のまま並べておられる。

「参観・恭観・墓参」― これらは具体的にどのような教育方法なのであろうか。想像できるようでもあるが、理解を超えたところもある。お分かりの方がおられたら教えて欲しい。


愛国主義教育実施綱要 (日本語訳)


1994年8月23日 中華人民共和国共産党中央委員会発表

中華民族は愛国主義の光栄ある伝統に富んだ偉大な民族である。愛国主義は中国人民を動員し鼓舞して団結奮闘する一つの旗印であり、我が国社会歴史の前進を推進する巨大な力であり、各民族人民の共同の精神支柱である。現在、我が国人民は中国の特色ある社会主義理論と党の基本路線の指導の下で、社会主義市場経済 の発展に大いに力をいれ、富強・民主・文明という社会主義現代化国家の建設に努力している。新たな歴史的条件のもとで、愛国主義の伝統を継承し発揚し、民族精神を奮い立たせ、全民族の力量を凝集し、全国各民族人民を団結し、自力更生し、苦難に満ちた事業を始めることは、中華民族の振興と奮闘のために、非常に重要な現実的意義をもつ。各級の党委と人民政府、関係の部門と人民団体はこの任務を必ず大変に重視し、また自らの任務の特徴と結びつけて積極的に愛国主義教育を繰り広げなければならない。

一、愛国主義教育の基本原則

  1. 愛国主義教育は小平 同志の築き上げた中国の特色ある社会主義理論と党 の基本路線を必ず指導としなければならず、社会主義現代化の建設を促進することに必ず利益とならなければならず、改革開放 を促進することに必ず利益とならなければならず、国家と民族の名声・尊厳・団結を守ることに必ず利益とならなければならず、祖国統一を促進する事業に利益とならなければならない。これは新たな時代の愛国主義教育の基本的な指導思想である。

  2. 愛国主義教育の目的を広げることは、民族精神を振興することであり、民族の凝集力を増強することであり、民族の自尊心と誇りを樹立することであり、最も広範な愛国統一戦線を強化発展することであり、人民群衆の愛国主義を中国の特色ある社会主義を建設するという偉大な事業に導くことであり、理想・道徳・文化・規律のある社会主義公民を生むことであり、4つの現代化を実現し、中華の共同の理想を振興して団結奮闘することである。

  3. 愛国主義教育は建設方針に重きを置くことを必ず堅持しなければならない。小平同志の愛国主義に関する一連の重要な論述に基づき、愛国主義教育の理論建設・教材建設・制度建設・基地建設を行わなければならない。愛国主義教育を各思想政治教育のなかで貫徹し、社会主義精神文明建設の基礎的な過程として、我が国社会の主旋律として、確固不動で長期間たゆまなく力を入れていく。

  4. 愛国主義教育は対外開放の原則を必ず堅持しなければならない。愛国主義は狭隘な民族主義では決してなく、我々は中華民族の優秀な成果を継承し発揚する上に、また高度資本主義国家を含め世界各国が創造したあらゆる文明成果を学習し吸収しなければならない。このようにしてこそ、中国の人民は各国の人民と一緒に、世界の平和と人類の進歩に貢献することができるのである。

  5. 愛国主義教育は必ず時代の特徴を際立たせなければならなない。愛国主義は一つの歴史的な範疇であり、社会の発展が等しくない段階や等しくない時代には等しくないものを内包する。現代中国において、愛国主義と社会主義は本質的に一致しており、中国の特色ある社会主義を建設することは新時代の愛国主義のテーマである。小平同志の指摘した「中国人民には自らの民族への自尊心があり、祖国を熱愛し全ての力を社会主義建設と祖国建設に貢献することを最も光栄とし、社会主義と祖国の利益・尊厳・栄誉に損害を与えることを最も恥辱とする」、これは我が国の現段階における愛国主義の特徴に対する最も鋭い快活である。愛国主義と集団主義と社会主義思想は三位一体であり、中国の特色ある社会主義を建設するという偉大な実践の中で機会あると統一する。

二、愛国主義教育の主要な内容

  1. 愛国主義教育の素材は非常に広範である。歴史から現実、物質文明から精神文明、自然風景から物産資源までおよび、社会生活の各領域のすべてには愛国主義教育を極めて豊富に実行する至宝が潜んでいる。国情資料を運用することにたけなければならず、また各種の貴重な教育資料を掘り起こすことに注意し、不断に愛国主義教育の内容を豊富にする。

  2. 中華民族の悠久な歴史の教育を行う。我が国人民の愛国主義精神は中華民族の長い歴史過程の中で発生し発展してきた。中国歴史、特に近代史と現代史の教育を通じて、人々に中華民族の自彊してやまず不撓不屈の発展の過程を理解させ、我が国の各民族と人民は人類文明に対して卓越した貢献をしたことを理解させ、我が国の歴史上の重大事件と著名な人物を理解させ、中国人民が外来からの侵略と圧迫に反対し、堕落した統治に反抗し民族独立と解放を勝ち取とり、勇敢に前進し、血を浴びて奮闘した精神と業績を理解させ、中国共産党が全国人民を指導して新中国を建設するために勇敢に戦った崇高な精神と栄光ある業績を特に理解される。

  3. 中華民族のすぐれた伝統文化教育を行わなければならない。中華民族は光り輝く中華文明を創造する過程で、大きな生命力のある伝統文化を形成し、その内容は広くて深く、哲学・社会科学・文学芸術・科学技術などの方面の業績を含むだけでなく、崇高な民族精神・民族気骨と優良な道徳をも潜んでいた。多くの傑出した政治家・思想家・文芸家・科学者・教育者・軍事者を育んだだけでなく、かつ豊富な文物史跡・経典著作などを残しており、この豊かな文化遺産は愛国主義教育を行う際貴重な資源となる。祖国の言語や文字を正確に使用しなければならず、強力に普通話を普及しなければならない。

  4. 党の基本路線と社会主義現代化建設の達成に関する教育を行う。党の基本路線と我が国社会主義建設の達成は、すなわち愛国主義教育の最も現実的で生き生きとした教材である。党十一期三中全会 以来の改革開放と現代化建設という巨大な業績と成功の経験に特に注意して教育を行い、人民大衆に一層社会主義への信念を堅くしと党の基本路線を堅持して動揺しないようにさせなければならない。

  5. 中国の国情教育を行わなければならない。国情教育は世界環境全体という大きな背景の下で行わなければならない。人々が系統的に我が国の経済・政治・軍事・外交および社会・文化・人口・資源などの方面に関する歴史と現状を理解するするのを助け、我が国の現代化建設の目標と段取りや壮大な見通しを理解させ、かつ中国と世界の他の種類を異にする国家との対比のなかで、我が国の優位と隔たり、優位な条件と不利や要素を見て、使命感と社会への責任感を増強し、刻苦奮闘し勤勉節約という建国の創業精神を更に発揚する。国情教育は省情・市情・県情教育と結びついて行われなければならない。

  6. 社会主義の民主と法制の教育を行わなければならない。我が国憲法と法律は広範な人民の意志と利益を体言するものであり、広範で深く掘り下げた民主と法制の教育を通じて、人々が我が国の政治制度・経済制度・その他各制度を理解するのを助けなければならない。国家観念と国家の主人公としての責任感を増強し、法を遵守する習慣を養い、憲法と法律が規定する公民の権利を正確な行使と同時に、憲法と法律が規定する公民の義務を忠実に履行し、国家の利益を断固として守る。

  7. 国防教育と国家安全教育を行わなければならない。新時代の特徴に基づいて、現代国防教育を重視し、全国人民の国防意識と国家安全意識を増強し、軍政と軍民の団結を強化し、全国人民に外敵の侵略に抵抗し、祖国の独立を防衛し、国家主権と領土保全を守る自覚を強化する。全国人民に祖国の利益を売り渡し祖国の尊厳を損害し国家の安全を危険にし祖国を分裂される言動一切に対して、断固とした闘争を行うよう教育する。

  8. 民族団結の教育を行わなければならない。中華民族は一つの多民族の大家庭であり、内地であろうが辺境であろうが、漢民族の地区であろうが少数民族の地区であろうが、マルクス主義の民族観と宗教、それに党の民族政策と宗教政策の教育を強化して、各民族人民に民族団結と祖国の統一を守るためにたゆまぬ努力と歴史的な貢献をするように宣伝する。各民族人民のなかで、漢民族は少数民族と離れならず、少数民族は漢民族と離れられないという思想を強固にし、民族の団結と祖国の統一を守ることを自覚する。

  9. 「和平統一、一国両制」方針の教育を行わなければならない。党と政府の祖国統一問題における基本的な立場と方針政策を全面的で正確に宣伝し、人々に祖国統一の作業の進展状況と重点を理解させる。ホンコン、マカオ、台湾の同胞による祖国統一のため貢献を宣伝することに注意し、国外の華僑や海外から帰国した人々の愛国・愛郷の業績を宣伝する。

三、愛国主義教育の重点は青少年

  1. 愛国主義教育は人民全体への教育であるが、その重点は広範な青少年である。学校・部隊・農村・街道・機関や企業の単位 、特に共青団 や少先隊(少年先鋒隊)などの組織は広範な青少年の愛国主義の感情を養成し、彼らの愛国主義の自覚を高め、彼らが正確な理想・信念・人生観・価値観を樹立するように導くことは思想政治教育の重要な内容である。当面と以後の時期において、党の基本路線の教育、中国近代史・現代史や国情の教育、中華民族の伝統美徳と優秀伝統文化教育に重点を置く。

  2. 学校は青少年に教育を行う重要な場所であり、幼稚園から大学に到教育、つまり教育の全過程で愛国主義教育を貫かねばならず、特に教室での教育に主な経路を発揮しなければならない。各省・自治区・直轄市の教育部門は国家教育委員会が公布した『小中学校で中国近現代史と国情教育を強化する綱要 』と『中学思想政治、小中学国語、歴史 、地理学科教育綱要』の要求に基づき、各学科(自然科学を含む)で愛国主義教育の学科ごとの計画を制定し、愛国主義教育の内容を分解して関係する学科の教科教育に貫徹させる。各種大学も積極的に条件をつくりだし、中国歴史や文学、美術、科学技術などの内容の伝統文化の選択科目を開設し、愛国主義教育を主要な内容とする特定テーマ講座を開設する。

  3. 機関・企業・農村など基層単位は社会主義「四有」新人を育成する責任を直接負い、青年幹部・職工・農民対する愛国主義教育を特に重視・強化し、この任務を文明単位・文明村鎮を建設する活動の重要な内容に取り入れる。広範な青年に国家の主人公としての責任感を堅固に樹立し、個人の利益と国家の前途・命運を結びつけ、国家・集団・個人の三者の利益関係を正確に解決し、祖国を愛し、故郷を愛し、集団を愛し、職場を愛し、自らの職務に立脚して、国家のために大きく貢献するように教育する。

  4. 青少年の特徴に焦点を合わせて、映画・図書・音楽・演劇・美術・物語会などを運用する形式に注意し、広範な青少年に豊富で生き生きとした愛国主義教材を提供する。各地区各部門は中央宣伝部・国家教育委員会・広播影視部・文化部「優秀な映画作品を運用して全国の小中学校で愛国主義教育を展開することに関する通知」(教基[1993]17号)を真剣に貫徹実行し、またこれら優秀な映画作品を教学や教育計画に取り入れ、着実に放映・観覧・宣伝・教育工作を行い、たゆまなく力を入れていく。企業などの単位や農村、部隊も優秀な映画作品を利用して、青年職工や農民、兵士に愛国主義教育を行わなければならない。

四、愛国主義教育教育基地の建設を立派にやる

  1. 各種博物館、記念館、烈士記念建造物、革命戦争の重要な戦役、戦闘記念施設、文物保護単位、歴史旧跡、風景景勝、我が国の二つ文明(精神文明と部室文明)建設成果の重要な建設事業に関する展示、都市と農村での先進単位は愛国主義教育を行う重要な場所である。各級の共産党党委宣伝部は当地の党委と人民政府が提出する要求に従い、教育行政部門や共青団組織および文化・文物・民政・園林などの部門と合同で、教育基地を確定する。都市・農村の基層単位と共青団組織は積極的に基地を利用し教育活動を展開する。学校はこれらの教育活動を徳育教育活動計画に取り入れなければならない。

  2. 各級の民政・文化・文物部門や各種専門博物館・記念館は1991年中央宣伝部などの部門が共同で発布した『存分に文物を運用して愛国主義と革命伝統教育を実行することに関する通知』を継続して貫徹実行し、青少年の参観・仰ぎ見る活動に組織して接待し、必要な支持と援助を提供する。教育基地を参観する際の料金を決め、学校が組織して教師と生徒が参観する際には費用を免除する。展示する単位は有効で高い素質のガイト班を形成し養成しなければならない。

  3. 教育基地の重大な建設事業都市や農村の先進単位は、青少年に対して行う愛国主義教育を単位の光栄ある任務として、自発的に熱烈に関連する単位と協力し、青少年が参観して学習活動するのを組織して受け入れなければないない。

  4. 各地の自然風景や文物旧跡・名勝景勝は人々が祖国の壮麗な山河や悠久な歴史文化に対する熱烈な愛情の念を高ぶらせるのに十分足りることができ、この方面での優位を発揮することに注意し、愛国主義教育は遊覧・観光の中に含まれる。旅行景勝、自然保護区でのガイドの説明・文字による説明・宣伝材料はみな全て愛国主義教育の内容を含まなければならない。各級の旅行景勝部門は特にガイドとなる人員に愛国主義宣伝の意識を樹立し、この方面での教育と訓練を強化し、ガイド人員と旅行景勝が愛国主義教育で十分な作用を発揮することに関して特に注意しなかればならない。

  5. 「万里辺境文化長廊」建設の中で文化事業建設と思想道徳建設と愛国主義教育を緊密に結び付けることに注意し、中華民族の優秀な伝統文化を発揚し、愛国主義教育の重要な拠点と成す。

  6. 愛国主義教育基地を運用して活動を展開し、丹念に構成し、綿密に組織する。各級の教育行政部門・共青団組織は教育基地と業務連絡制度を作り、共同で活動計画を研究設定する。異なる年齢層・心理上の特徴・知識水準・受け入れ能力に対する教育に基づいて、科学的に活動内容を配置し、思想性と芸術性に注意し、努めて吸収力と感染力に富むことを求める。重要な祝日・記念日と結びつけて、組織して参観・仰ぎ見み・墓参りなどの活動を組織することができる;特定の教育テーマと結びつけて、社会考察と社会実践活動を組織することができる;基地の環境を美化し設備を維持する義務労働活動を展開する;参観・仰ぎ見み・墓参りなどの活動を結びつけて、作文の募集や演説会、特定テーマの講座、知識競争など教育活動を組織する。各種学校は夏季・冬期休暇に基地を利用して冬季キャンプや夏季キャンプを設立することができ、また歴史事件や烈士の事績、建設などに関することを党課や団課、労働訓練の教材、学校の郷土教材などに組み入れることができ、思想政治教育と課程教育に貫徹する。

五、愛国主義教育教育の社会の空気を作り出す

     《省略》

六、礼儀の必要性を提唱し、愛国の意識を強化する

     《省略》

七、愛国の先進的な典型を宣伝に大いに力をいれる

     《省略》

八、愛国主義教育の指導を強化する

     《省略》

ジャカルタでの日中首脳会談

2005-04-23 21:59:01 | 国際
讀賣新聞
日中首脳会談で首相、反日デモ再発防止求める
(2005/4/23/21:32)

【ジャカルタ=吉山隆晴】 小泉首相は23日夜(日本時間同)、中国の胡錦濤国家主席とジャカルタ市内のホテルで会談した。

首相は中国の反日デモに伴う日本大使館などへの暴力・破壊行為に抗議し、再発防止を求めたとみられる。そのうえで「日中友好は国際社会全体の利益になる」などとし、日中両国の政府間対話や民間交流の強化を呼びかけた模様だ。今月3日に中国で大規模な反日デモが発生して以来、日中首脳が意見交換するのは初めて。

会談は、首相が中国側宿舎のホテルに胡主席を訪ねる形で行われた。

首相は、反日デモに関し、中国に在留している日本人や日系企業の安全確保を強く求めたとみられる。

これに対し、胡主席は「一部の国民による過激な活動には賛成しない」との中国政府の見解を改めて示したとみられる。

首相は、先の大戦について「痛切なる反省と心からのおわびの気持ち」を表明した1995年の村山首相談話を踏襲し、戦後60年間の日本の平和国家としての歩みを説明。「友好こそが日中両国にとって最も大事だ」などとし、長期的な視野で日中友好関係を再構築する必要性を強調した模様だ。

首相は、東シナ海の天然ガス田開発問題についても、話し合いによる解決を探る意向だ。日本政府は、5月に再開予定の日中実務者協議で、中国政府が提案している共同開発の可能性を含めて協議に応じる方針を固めている。

17日の日中外相会談では、日中の専門家による歴史共同研究の実施や、青年交流などを盛り込んだ「共同作業計画」の策定などで合意している。

首相と胡主席の会談は昨年11月のサンティアゴでの会談以来5か月ぶり、4回目。

讀賣新聞
日中関係改善、胡主席が強い意欲を表明
(2005/4/23/23:13)

【ジャカルタ=石井利尚】中国の胡錦濤国家主席は23日、小泉首相との会談終了後に記者会見し、歴史問題での日本側の対応を批判する一方、反日デモなどで悪化した日中関係の改善に向けた強い意欲を表明した。

胡主席は、歴史問題と台湾問題での日本側の対応について、「いくつかのやり方は従来の約束に背き、中国とアジアの人民の感情を傷つけた。中国とアジアの人民の強い反応は、日本側が深く考えるに値する」と述べた。

日中関係については、「中日友好を発展させるという方針は変わっていない。両国の善隣友好をさらに発展させることは、両国の大多数の国民の願いである」と述べた。

さらに、「中国と日本は、アジアと世界で大きな影響力を持つ国だ。中日間の深刻な問題をうまく処理しなければ、両国関係だけでなく、アジアの安定と発展にも影響する」との認識を示した。

讀賣新聞
日中関係改善、胡主席が強い意欲を表明(同文)
(2005/4/24/00:3)

【ジャカルタ=石井利尚】中国の胡錦濤国家主席は23日、小泉首相との会談終了後に記者会見し、歴史問題での日本側の対応を批判する一方、反日デモなどで悪化した日中関係の改善に向けた強い意欲を表明した。

胡主席は、歴史問題と台湾問題での日本側の対応について、「いくつかのやり方は従来の約束に背き、中国とアジアの人民の感情を傷つけた。中国とアジアの人民の強い反応は、日本側が深く考えるに値する」と述べた。

日中関係については、「中日友好を発展させるという方針は変わっていない。両国の善隣友好をさらに発展させることは、両国の大多数の国民の願いである」と述べた。

さらに、「中国と日本は、アジアと世界で大きな影響力を持つ国だ。中日間の深刻な問題をうまく処理しなければ、両国関係だけでなく、アジアの安定と発展にも影響する」との認識を示した。


朝日新聞
小泉首相、冷え込んだ関係修復に力点 日中首脳会談
2005年04月23日21時51分

アジア・アフリカ会議(バンドン会議)首脳会議出席のため、インドネシアを訪問中の小泉首相は23日夜(日本時間同)、ジャカルタ市内のホテルで中国の胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席と会談した。中国各地で相次いだ反日デモをめぐり、冷え込んだ日中関係の改善に道筋をつけられるかどうかが焦点だ。首相は暴力行為の再発防止と在留邦人や日系企業、在外公館の安全確保を求めるものの、デモ被害に対する「謝罪と補償」は要求せず、関係修復に力点を置く考えだ。一方、胡主席が首相の靖国神社参拝や歴史認識をめぐり、どのような対応を示すのかも注目される。

会談は同日午後6時47分(日本時間同8時47分)から、中国側が宿泊するホテル内で始まり、約50分間行われた。日中両国の首脳が会談するのは昨年11月、チリ・サンティアゴで行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の時以来で、5カ月ぶり。

首相は会談の冒頭、この日、スマトラ沖大地震で被災したスマトラ島北部のバンダアチェを視察したことに触れ、「ひどい惨状でした。山々に津波がぶつかり、2階建ての屋根が津波で壊されていた」と語りかけた。これに対し、胡主席も「インドネシア政府のもと、国民の皆さんが必ず困難を克服すると確信している」と応じた。

首相は会談に先立ち記者団に対し、「(友好関係が)いかに両国の利益になるか、世界の利益になるか、(中国側も)分かっているはずだ。そういう観点から、これからも日中友好重視、共通の認識を持つ会談にしたいと思う」と語った。

首相同行筋によると、17日の日中外相会談で日本側は、反日デモ被害に対する謝罪と補償を求めたが、今回の首脳会談では直接的な要求はせず、関係改善のきっかけをつかむことに焦点を絞る方針だという。

具体的には、まず、日中両国の友好関係は2国間のみならず、東アジアや世界全体の平和にも重要だとの考えを表明する。そのうえで最近、両国間ではさまざまな障害が生じていることを改めて指摘。最後に問題解決に向けて議論を深め、前向きな話し合いを続けたいという姿勢を示し、中国の同意を取り付けたい考えだという。

反日デモによる被害についても触れるが、「謝罪と補償」についての直接的な表現は避ける。また、東シナ海の石油・ガス田開発をめぐる問題では、昨年11月の首脳会談で「協調の海とする」ことを確認している経緯を踏まえ、海洋権益や境界画定などの問題も含めて引き続き対話による解決をめざす姿勢を示す方針だ。

日本側は、胡主席が首相の靖国神社参拝や歴史教科書問題を取り上げる可能性もあると見ている。その場合、首相は22日のバンドン会議首脳会議の演説で、95年の村山首相談話に基づいた歴史認識に改めて触れたことを説明し、理解を求める考えだ。

今回の首脳会談は、17日の日中外相会談で、日本側が22日から24日までの予定で開かれるバンドン会議の期間中に実施するよう正式に提案したのを受けたもの。中国側は「前向きに進めたい」(李肇星(リー・チャオシン)外相)と応じ、両政府間で調整が続けられてきた。22日夜になって、最終的に開催が決まった。

朝日新聞
小泉首相、冷え込んだ関係修復に力点 日中首脳会談
2005年04月23日22時28分

アジア・アフリカ会議(バンドン会議)首脳会議出席のため、インドネシアを訪問中の小泉首相は23日夜(日本時間同)、ジャカルタ市内のホテルで中国の胡錦涛(フー・チン・タオ)国家主席と会談した。中国各地で相次いだ反日デモをめぐり、冷え込んだ日中関係の改善に道筋をつけられるかどうかが焦点だ。首相は暴力行為の再発防止と在留邦人や日系企業、在外公館の安全確保を求めるものの、デモ被害に対する「謝罪と補償」は要求せず、関係修復に力点を置く考えだ。一方、胡主席が首相の靖国神社参拝や歴史認識をめぐり、どのような対応を示すのかも注目される。

会談は同日午後6時47分(日本時間同8時47分)から、中国側が宿泊するホテル内で始まり、約50分間行われた。日中両国の首脳が会談するのは昨年11月、チリ・サンティアゴで行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の時以来で、5カ月ぶり。

会談終了後、首相は記者団に対し、英語で「非常に良い会談だった」と語った。一方、胡主席も終了後、記者団に「現在の中日関係に出現した困難は目にしたくないものであり、妥当に処理しないと中日両国だけでなく、アジアの安定と発展に影響する」と指摘。さらに「最近の日本の歴史、台湾問題に対するいくつかのやり方は、自らの約束に背き中国人民とアジア関係国の国民感情を傷つけた。日本の反省に値する」と日本を批判した。

首相は会談の冒頭、この日、スマトラ沖大地震で被災したスマトラ島北部のバンダアチェを視察したことに触れ、「ひどい惨状でした。山々に津波がぶつかり、2階建ての屋根が津波で壊されていた」と語りかけた。これに対し、胡主席も「インドネシア政府のもと、国民の皆さんが必ず困難を克服すると確信している」と応じた。

首相は会談に先立ち記者団に対し、「(友好関係が)いかに両国の利益になるか、世界の利益になるか、(中国側も)分かっているはずだ。そういう観点から、これからも日中友好重視、共通の認識を持つ会談にしたいと思う」と語った。

首相同行筋によると、17日の日中外相会談で日本側は、反日デモ被害に対する謝罪と補償を求めたが、今回の首脳会談では直接的な要求はせず、関係改善のきっかけをつかむことに焦点を絞る方針だという。

具体的には、まず、日中両国の友好関係は2国間のみならず、東アジアや世界全体の平和にも重要だとの考えを表明する。そのうえで最近、両国間ではさまざまな障害が生じていることを改めて指摘。最後に問題解決に向けて議論を深め、前向きな話し合いを続けたいという姿勢を示し、中国の同意を取り付けたい考えだという。


反日デモによる被害についても触れるが、「謝罪と補償」についての直接的な表現は避ける。また、東シナ海の石油・ガス田開発をめぐる問題では、昨年11月の首脳会談で「協調の海とする」ことを確認している経緯を踏まえ、海洋権益や境界画定などの問題も含めて引き続き対話による解決をめざす姿勢を示す方針だ。

日本側は、胡主席が首相の靖国神社参拝や歴史教科書問題を取り上げる可能性もあると見ている。その場合、首相は22日のアジア・アフリカ会議の演説で、95年の村山首相談話に基づいた歴史認識に改めて触れたことを説明し、理解を求める考えだ。

今回の首脳会談は、17日の日中外相会談で、日本側が22日から24日までの予定で開かれるアジア・アフリカ会議の期間中に実施するよう正式に提案したのを受けたもの。中国側は「前向きに進めたい」(李肇星(リー・チャオ・シン)外相)と応じ、両政府間で調整が続けられてきた。22日夜になって、最終的に開催が決まった。

朝日新聞
日中首脳会談、関係改善で一致 中国側「歴史」反省促す
2005年04月24日00時12分

アジア・アフリカ会議(バンドン会議)首脳会議出席のため、インドネシアを訪問中の小泉首相は23日夜(日本時間同)、ジャカルタ市内のホテルで中国の胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席と約50分間会談した。両首脳は両国の友好関係がアジアの安定や発展にとって不可欠との認識で一致。中国で相次いだ反日デモをめぐって冷え込んだ両国の関係改善に向けて、両国の交流を拡大することなどで合意した。首相は反日デモについて、中国側が適切な対応をとるよう要請したが、謝罪と補償は求めなかった。一方で、胡主席は会談後、歴史認識や台湾問題をめぐる日本側の最近の対応について「反省に値する」と改めて批判した。

会談は同日午後6時47分(日本時間同8時47分)から、中国側が宿泊するホテル内で行われた。会談終了後、首相は記者団に対し、英語で「非常に良い会談だった」と語った。

引き続き首相は記者会見を開いて、会談の内容などを説明した。それによると、首相は会談の中で中国国内での反日デモについて触れ、暴力行為の再発防止や在留邦人や日系企業、在外公館の安全確保を胡主席に要請したという。これに対し、胡主席は(1)侵略戦争を反省し中国やアジア人民の感情を傷つけるべきではない(2)台湾独立を支持しないことを希望する(3)両国の交流を拡大し、民間にも広げ、中日関係を健全に安定的に発展させたい――などと主張した。

会談の席上、胡主席からは靖国問題も持ち出されたという。ただし首相によると、胡主席は「この問題についていちいち討論する気はない」と話し、首相からは「具体的に話はしなかった」という。首相はさらに記者会見で靖国参拝について「適切に判断することに変わりはない」と語った。

首相は今回の会談について、「一時的な対立や反日デモ、日本の嫌中感情に惑わされず、日中の友好を発展していくことがいかに重要かを共有できる会談にしようと臨んだ。胡主席も同じだった。極めて有意義な実りある会談だった」と語った。

首相同行筋によると、17日の日中外相会談で日本側は、反日デモによる被害に対する謝罪と補償を求めたが、今回の首脳会談では直接的な要求はせず、関係改善のきっかけをつかむことに焦点を絞る方針で臨んだ。

このため、首相は安全確保は要請したものの「謝罪と補償」についての直接的な言及は避けた。

鳥居民著『「反日」で生きのびる中国』

2005-04-23 06:27:25 | 国際
昨日(2005年4月22日)、近くの書店で鳥居民著『「反日」で生きのびる中国-江沢民の戦争』(草思社、2004年2月27日発行、ISBN 4-7942-1288-7、税込定価 1,470円)を見つけたので購入した。

「中国で反日デモが起ることを鳥居民が正確に予想していた」とあちこち雑誌などに書かれているのを目にしていたので、私もぜひ読んでみたいものと思っていた。けれども、連日の新聞報道に目を通すのが忙しくて、アマゾンに注文することさえしないままになっていた。

帰宅後、すぐ読み始めたが、就寝までに全10章構成のうちの第7章まで、それこそあっというまに読み進んでしまった。まあ、推理小説でもなければ、こんなスピードで読み進むことは珍しいだろう。「鳥居民が中国で反日デモが起ると予想していた」というのは当らないと思う。予測というとえてして感じられるような際物じみた読物ではない。中国現代史そのものがある特定局面から記述されているといったほうが適切ではなかろうか。中国民衆の間に日本憎悪感情がどうして沸き起こってきたのか、彼の説明は極めて説得力があるのである。

鳥居民が詳細な例証を重ねて説明していく内容の大筋は、私が2005年4月22日のブログに「中国の偏向教育」と題して書いたこととほぼ同じ流れになっているといえる。もちろん、鳥居民は数多くの例証を原典を示しつつ駆使して構成していくので、私の書いた単なる感想に過ぎないものと比較しては失礼だろうと思う。私は中国事情に通じているわけではないが、あれだけ激烈な反日デモを目の当たりにすれば、原因が江沢民の推進してきた偏向教育にあることぐらい、すぐ気がつくことだ。鳥居民のこの著書は、一年以上前の2004年2月に出版されているのだから凄い。だから、「予測した」、「的中させた」などといわれる由縁でもあるのだ。

鳥居民によれば、中国共産党は1994年に「愛国主義教育実施綱要」を公布しているという。これは厳密には法律ではないようだが、共産党一党独裁の中国のことだから、法律以上の力を発揮しているらしい。鳥居民の本には文言が逐条的に紹介されていないので、ぜひ読んでみたいと思ってインターネットで調べてみたが見つからなかった。

詳しい読後感は全部読み終わってから改めて書くが、中国の反日デモの原因について理解を深めたい人にはこの本は必見の価値があろう。