Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

私が描いたパソコン画(5)

2005-04-27 15:34:29 | 美術・音楽
友人 Y.S が撮ってきた中国桂林の風景写真を元にして描いた。元の写真は目の覚めるような青空の下の桂林だったが、空を白いまま残したら水墨画風になった。現代の中国人画家たちが描く色彩入りの水墨画だ。

パソコン画というと、和紙に墨で描くときのような滲みなどはとても出せないだろうと思う人が多いだろう。だが、透明度を適切に設定してやれば、かなり滲みに近いものが出せる。この絵はそういう技法の問題にチャレンジするために取り組んだ実験的作品である

パソコン画の場合は何事も過剰になりがちだ。だから、滲みの技法も、むしろできるだけ抑えるようにしなければ、作品全体として自然な感じにはならない。

パソコン画には、パソコン画だけしかない独自の世界がある。その一方で、在来の絵画の世界に寄りかかった作品もあるように思われる。

また、桂林の風景はどうかわからないが、在来の絵画の世界に寄りかかった実風景もあるのではないか。おそらく、「記号化された風景」というものがあるのだろう。「富士山」なんか記号そのものじゃないか。だから「○○富士」、「△△富士」なんかがあるのだ。

というわけで、滲みはパソコン画の世界では記号のひとつと考えればよい。


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桂林風景

亡命中国人のコメント

2005-04-27 12:14:32 | 国際
いま届いたメールマガジン「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成17年(2005年)4月27日(水)通巻第1112号は、「米国へ亡命した知識人らはいかなるコメントをしたか。中国共産党は「愛国」を語る資格があるか。「反日」は政治道具だ」として、胡平、呉国光、林保華の3人の次のようnコメントを紹介している。

『北京之春』を主催する胡平(主幹)は;-
「中国共産党は抗日戦争の主体でもなければ八カ国連合軍の一員でもなかった。その強烈な劣等感から過度の反日歴史改竄となる。政治の暗黒、官僚の腐敗、困窮する農民、失業のあえぐ労働者、庶民は開発ブームにも乗れず、満足な家にも住めず、子供を学校へやることさえ出来ない。「反日」なんぞ、いったい彼らと何の関係があるのか?」

呉国光(趙紫陽のブレーン、「小平の死と中国」の著者のひとり)は;-
「中国共産党が愛国を吹聴する資格などあろうか? マルクスは労働者に国境はない、と国際的な共産主義を説いたように、共産党は外国製であり、しかも共産主義が中国においてすら破産した事実は明白である。これを、庶民や青年のあいだにとくに強い民族主義的情緒や愛国主義なるものに訴えて誤魔化し、庶民を利用しようとしているが合理的でもない。かれらは共産党の利益のためには愛国とか民族の利益とか、利用できるものを手段化し、利用しているに過ぎない。かれらのいう愛国は偽物である。選挙もなければ表現の自由ももたない中国の民衆はいずれ、党の鼓吹する「愛国」にはなんらの価値がないことを知るべきである。

林保華(NY在住評論家)は;-
「北京政権は反日を騙しの材料に使った。内政的需要がそうさせたのだ。いま百万人もの退党運動や台湾への反国家分裂法へのリアクションの強さを目撃して、反日情緒を梃子いれし、海外華僑もついでに駆使して、日本の国連常任理事国入りを阻止しようとしている。これで日中関係はもっと悪化しようが、反国家分裂法が日本と米国の安全保障の絆をむしろ強めてしまったように、中国共産党の硬軟使い分け戦術は逆効果を産むだろう」

これらのコメントは彼らがいままで主張してきた内容と変わらず、今回の反日デモで新しい視点が加わったわけではない。けれども、中国共産党が将来展望なく一党独裁体制を続けており、それは破滅への道を突き進んでいることなのだという彼らの主張は、ともすれば経済優先の支店しか持とうとしない我々日本人には、改めて傾聴に値することと思う。

ところで、胡平のいう「八カ国連合軍」とは何だろうか。「八カ国連合軍」といえば、私は義和団の乱の際の「八カ国連合軍」、すなわち、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、ロシア、日本、イタリア、オーストリアの八カ国連合軍しか思い浮かべることはできない。

終戦詔書に挙げる「米英支蘇四国」、すなわり、アメリカ、イギリス、中国(支那)、ソ連の4カ国、それに植民地を日本に侵されたフランス(仏印)とオランダ(インドネシア)の2カ国、更に日本と実際に交戦したオーストラリアとニュージーランドの2カ国の合計8カ国のことだろうか。イギリス軍の一翼を担って日本と戦った、カナダ、インド、ビルマなどの国々は入っていないのだろうか。また、これらの国々は正確な意味で「連合国」を構成していたのだろうか。

いずれにせよ、1949年に建国された中華人民共和国が「八カ国連合軍」に含まれていたはずはない。そういうことが彼らの強烈な劣等感に繋がっているというなら、その劣等感に掻きまわされる周辺の国々は迷惑至極なことである。

今回の反日デモ騒動の推移

2005-04-27 02:00:09 | 国際
今回、あたかも突沸したかのごとく現実化した中国における反日デモなど一連の騒動は、中国政府がおこなったさまざまな締め付け策が功を奏したらしく、4週間連続という事態は避けられた。

しかしながら、問題がこれで解決されたというわけではない。中国におけるこの社会的問題はむしろ火種となり、共産党政府がその身中に抱え込むことになったのである。この火種は、扱い方によっては共産党一党独裁体制が崩壊する危険性すら孕んでいる。

一方、日本側は中国政府がこの10年来推し進めてきた「愛国主義教育」の危険性に初めて目を開かされたといえるのではなかろうか。一部の識者は「愛国主義教育」の危険性をかねてから指摘していたらしい。だが、大多数の日本人はデモ参加者が叫ぶ「愛国無罪」のシュプレヒコールで初めて耳にしたことだった。そして、この「愛国無罪」の叫び声こそ、日本側・中国側双方にとって身の毛のよだつ恐ろしさを秘めているのかもしれない。

大多数の日本人は、芙蓉社の歴史教科書の内容に対してそれぞれ意見は分かれていよう。意見の違いは大きくとも、「中国はどうして内政干渉まがいの言い方をしてまでこの歴史教科書の内容に文句をつけるのだろうか?」と一様に解せぬ気持を持っていたのではなかろうか。他国に対して言いがかりのようにぶつけるそうした文句が、実は共産党一党独裁体制を維持していくための道具にされていたとは、日本人なら誰もが「まさか」という思いになったに違いない。

一方、いまや日中両国経済は相互に深く噛み合っているから、いくら相手を誹謗したりしても、経済抜きではもはやどんなことも成り立たなくなっている。日中両国が激突して経済関係がストップするようなことになれば、両者ともに大きなダメージを受けることになろう。

しかしながら、中国に対する日本人の見方は、これからは劇的に変化していくのではなかろうか。日本人の心の底流に「中国は社会主義国である」という意識が付き纏うようになるであろう。そうすれば投資行動などにも、少しずつ影響が及んでくるのではなかろうか。

次のリンクは、中国情報局が纏めた「反日デモ関連騒動の推移」(2005年3月29日~2005年4月25日)である。これは今後日中関係を考えていくとき、極めて重要となるであろう2005年4月の1ヶ月間のクロニクルである。


反日デモ関連騒動の推移