Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

反日デモの雰囲気

2005-04-17 14:55:40 | 国際
今回の反日デモでは、学生たちが一斉に「中華振興、愛国無罪」などと繰り返し唱和していたのが印象的だった。

若い彼らを、あのような過激行動に駆り立てたエネルギーは、日本の安保理常任理事国入りや教科書歪曲などに対する反対というよりも、むしろ「我々は中国をもっともっと優れた国家にしたいのだ」、「こんなに国を愛しているのだから、何をやっても許されるべきだ」という、抽象的ではあるが彼らなりに切実な主張を、彼らにはまだ捉えることのできない「何物か」に向けて、思い切りぶつけてやりたいという強い鬱積感が源泉となっていたのではなかろうか。そのためのバーチャル・ターゲットがたまたま「日本」という隣国だったのであり、具体的にはその現地公館だったのではあるまいか。

もちろん、デモの中核となった「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」などの反日団体はそんな甘いわけではなかろう。彼らは確信をもって明確に日本をターゲットにしていたはずだ。けれども、あれだけ多くのデモ参加者のうちのかなりの比率は、日本を単に一時的なターゲットと想定して「中華振興、愛国無罪」と叫んでいたのではなかろうか。

デモの映像はテレビのニュース番組で放映されている。けれども、どれもごく短い映像ばかりで、現場の雰囲気を掴むには物足りない。臨場感がよく滲み出ているのはロイターのビデオ映像である。次の" REUTERS RAW VIDEO "の文字をクリックしていただきたい。ビデオ映像を囲む枠縁の右上の"Full Screen"の文字をクリックすれば、モニター前面に拡大された映像を見ることができる。


REUTERS RAW VIDEO


Anti-Japan Protest in China (Reuters Raw Video)

Shouting "Japanese invaders must die", thousands protested against Japan's wartime past in eastern China on Saturday (April 16), hurling rocks and bottles and burning Japanese flags at Tokyo's consulate in Shanghai.

Japanese restaurants along the protest route were attacked with stones and bottles.

At the consulate, hundreds of paramilitary police in full riot gear stood at the ready as police used loud hailers to appeal for calm.

Chinese have been protesting against what many see as Tokyo's failure to own up to atrocities by its military during World War Two, new textbooks seen as whitewashing that wartime past, and Japan's bid for a permanent seat on the U.N. Security Council.

Japan has pledged not to let the series of disputes hinder their broader relationship.

The situation worsened on Wednesday after Japan announced it had started procedures to allocate rights for test-drilling in a disputed area of the East China Sea.

China has come under fire for tacitly encouraging the unrest, which started in Guangdong and Sichuan provinces early this month and has spread north to Beijing and, now, east to Shanghai and Hangzhou.


屈託ない彼らの姿を見ると、血で染まった天安門事件(1989年6月4日)のことが思い出される。最後には悲劇的結果となったが、あのとき天安門広場に集まってきた若者たちも当初は屈託なく、至って和気藹々とした集団だった。今回のデモ参加者の雰囲気には、あのときの若者たちの姿と一脈通ずるものが感じられる。

ところで、あのときの天安門広場は人民開放軍の兵士たちの隊列で埋まった。今回のデモは人民開放軍の兵士たちの姿は見られず、北京は武装警察官、上海は一般の警察官が取り締まりに当っていた。

一方、4月15日のローターは、4月11日から13日にかけて、人民開放軍の退役軍人たち2千人が恩給引き上げを求めて北京で座り込みをしていたことを伝えている。改革開放政策を推進したこの15年間は、中国に大きな経済発展をもたらしたが、その一方で、退役軍人たちを生活苦に陥れる結果となったのである。


REUTERS
中国で退役軍人が建国以来最大規模の抗議活動
2005年4月15日 13:30 JST

[北京15日 ロイター] 中国人民解放軍関係者や目撃証言によると、中国の北京で今週11日から13日にかけて、退役軍人約2000人が恩給の引き上げを求める座り込みを行った。

退役軍人による抗議活動としては、1949年の中華人民共和国建国以来、最大規模で、これまで軍の助けをかりて政権を維持してきた共産党内部では、警戒感が強まっている。

ある軍関係者は、ロイター通信に、「政府は不意をつかれた。退役軍人が、今後も抗議活動を続け、社会混乱を引き起こすのではないかと懸念される」と述べた。

私の描いたパソコン画(2)

2005-04-17 12:38:10 | 美術・音楽


あさがほは下手のかくさへ哀也あはれなり  芭蕉


【神戸大学名誉教授 堀信夫氏の註】
はかないものに喩えられる朝顔ゆえか、下手が描いた絵にさえ、捨てがたいおもむきがある。門人・嵐雪の絵心への隔意ない褒美句。貞享4年(1687)作句。季語は「蕣」、秋。

この句は門人に与えた「褒美句」ですから、自分で自分の絵に添えてはいけないのですよね。


絵の上をクリックしてください