Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

鳥居民著『「反日」で生きのびる中国』

2005-04-23 06:27:25 | 国際
昨日(2005年4月22日)、近くの書店で鳥居民著『「反日」で生きのびる中国-江沢民の戦争』(草思社、2004年2月27日発行、ISBN 4-7942-1288-7、税込定価 1,470円)を見つけたので購入した。

「中国で反日デモが起ることを鳥居民が正確に予想していた」とあちこち雑誌などに書かれているのを目にしていたので、私もぜひ読んでみたいものと思っていた。けれども、連日の新聞報道に目を通すのが忙しくて、アマゾンに注文することさえしないままになっていた。

帰宅後、すぐ読み始めたが、就寝までに全10章構成のうちの第7章まで、それこそあっというまに読み進んでしまった。まあ、推理小説でもなければ、こんなスピードで読み進むことは珍しいだろう。「鳥居民が中国で反日デモが起ると予想していた」というのは当らないと思う。予測というとえてして感じられるような際物じみた読物ではない。中国現代史そのものがある特定局面から記述されているといったほうが適切ではなかろうか。中国民衆の間に日本憎悪感情がどうして沸き起こってきたのか、彼の説明は極めて説得力があるのである。

鳥居民が詳細な例証を重ねて説明していく内容の大筋は、私が2005年4月22日のブログに「中国の偏向教育」と題して書いたこととほぼ同じ流れになっているといえる。もちろん、鳥居民は数多くの例証を原典を示しつつ駆使して構成していくので、私の書いた単なる感想に過ぎないものと比較しては失礼だろうと思う。私は中国事情に通じているわけではないが、あれだけ激烈な反日デモを目の当たりにすれば、原因が江沢民の推進してきた偏向教育にあることぐらい、すぐ気がつくことだ。鳥居民のこの著書は、一年以上前の2004年2月に出版されているのだから凄い。だから、「予測した」、「的中させた」などといわれる由縁でもあるのだ。

鳥居民によれば、中国共産党は1994年に「愛国主義教育実施綱要」を公布しているという。これは厳密には法律ではないようだが、共産党一党独裁の中国のことだから、法律以上の力を発揮しているらしい。鳥居民の本には文言が逐条的に紹介されていないので、ぜひ読んでみたいと思ってインターネットで調べてみたが見つからなかった。

詳しい読後感は全部読み終わってから改めて書くが、中国の反日デモの原因について理解を深めたい人にはこの本は必見の価値があろう。

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