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[劇場アニメ] 宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章

2021-10-31 | 映画

「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-」を川崎チネチッタにて鑑賞しました


いよいよ公開された「新たなる旅立ち」ですが基本的には旧作を踏襲しつつ、「2199」や「2202」の要素も当然引き継いでる展開になっていました


冒頭、まさかの芹沢虎鉄による振り返りダイジェストから始まったのにはビックリしましたが、「西暦2202年の選択(→感想)」ラストにおける ”君たちが羨ましい” というセリフの裏側というか、”嫌われ役” をやらざるを得なかった心情や背景が語られててちょっと涙が出てしまいました(ガミラスへの先制攻撃命令は早計ではありましたが、相手の覇権主義からしたら結果はどの道同じではありましたし、波動砲艦隊構想にしても地球の命運的には推進して正解でした)


そして物語は「ヤマト3」で登場した天の川銀河を二分する ”ガルマン・ガミラス帝国vsボラー連邦” の構造を先取りするカタチで、デスラーが新たな移住先として最適なガルマン星を発見し、領有するボラー連邦へ ”譲渡” を願い出るというシーンから始まります

あのデスラーが ”跪いて” 請うも、ガルマン人を単なる奴隷扱いしてるボラー側がそれを受け入れるハズもなく、当然の様に決裂も想定していたデスラーによって結局は武力による ”奪取” となってしまうと(音楽と相俟っての ”デスラー戦法” のシーン最高でした!)

破壊されたマザー・シャルバート像が意味深に登場してたり、脚本の福井晴敏が今後を ”大河路線” に発展させたいと発言してるように、「永遠に」の暗黒星団帝国、「ヤマト3」のボラーやシャルバート信仰、「完結編」のアクエリアス文明などの要素を複合的に絡めた壮大なシリーズ展開を構想してるっぽいので期待は膨らみますヽ(゚∀゚)ノ 

 

こちらは今作のイメージビジュアルですが、見ての通りに土門竜介というキャラがメインの扱いとなっていて(松本零士っぽさが強調されててアツい)、明白に ”世代交代” をアピールしています

旧作の「新たなる」から「3」にかけても同様に世代交代を目指してたフシがあるんですが、古代と雪の存在感が良くも悪くも強すぎたのと、「ヤマト3」が当初の一年から半年の放送で打ち切られてしまった事もあって上手く成し遂げられなかった事へのリベンジなんですな

「2199」から始まったリメイク版における最大の違いに年代設定があって、旧作ではガミラスとの戦いから一年ごとに地球が侵略の危機に晒され、古代の初登場時18歳から僅か4年後の2203年に「完結編」の展開を迎えるという相当に無茶な展開となっていましたからねえσ(^◇^;)

おそらく目指す ”大河路線” の理想としては古代が沖田艦長のレジェンダリーなポジションに到達する所までを描写したいのだと思われますが、最初の旅から6年が経過してる古代はそれなりに艦長としての経験と貫禄を身に付けててもう ”代理” 降格される事もないでしょうし、この上で「2202」のラストの高次元で得た ”悟り” の体験を小出しにしていく事でその道筋はある程度は福井晴敏の中でも見えてるといったカンジでしょうか


”身内” 感覚で憧れていた徳川太助から、”憎い” とまで思っていた土門竜介まで新乗組員たちがヤマトに抱く様々なスタンスは、現代の新たな観客たちとヤマトとの関係性に重ねてる部分もあった様に感じられましたが、多数のアナライザー型AIが補佐する事で乗組員の総数が大幅に減ってるのを見て、少子化の現実も反映してたりするのかなとか思ってしまって面白かったです

また、世代交代の後押しという意味ではヤマトのメインキャラクター達の分散化を行っているのも興味深かったです……新たに随伴艦であるヒュウガとアスカを登場させる事でヤマトが艦隊行動をとることが基本となり(そう簡単に退場もしなさそう)、古代の責任をより拡げた上で ”ヤマト単艦” という最大のロマン要素を犠牲にしてでもリアリティの底上げを行った制作現場の大きな ”決断” を長年のファンとしても大いに応援したいですな


三艦が索敵、攻撃、防御など互いに補完し合って連携する役割分担が為されてることで、旧作でもあった訓練風景が絵的にも量的にも相当に派手になってる事が楽しくて仕方ありませんでしたが、「2202」では艦隊同士がどっかんどっかん撃ち合う描写で手一杯だったのが残念だったのは否定できませんので(特にコスモタイガー周り…)、ヤマトを中心とした戦術の拡張性に期待したいです

それに初代ヤマトや「ヤマト3」が行く先々で様々な宇宙の驚異と出会うハズだった ”センスオブワンダー” な冒険展開へのリベンジも期待できると……「2199」で登場したビーメラ星みたいな小ネタから繋がるイスカンダル文明についても掘り下げられるのは次の「後編」で確定してるでしょうし、第11番惑星にも痕跡があるアケーリアス文明、更には「YAMATO2520」のゴーダ文明まで神秘的な大ネタはいくらでも膨らませられそうなので ”大河路線” の未来にワクワクが止まりません( ゚∀゚)o彡゚

 

さて、ここからもう一方の主役であるガミラスです


旧来のマニア層からも好評だった「2199」ですが、ガミラスとの総力戦を回避した事や、デスラーの乱心っぷりのせいで ”終盤の展開はいただけない” という評価にはオレも頷ける部分があります……特にヤマトの波動砲封じに代表される ”続編潰し” などと揶揄される要素はどうなるものかと思ってましたが、どうにかこうにか「2202」の結末でキャラの関係性や世界観情勢を(「さらば」や「2」も踏まえた上で)”原状復帰” にまで持ち込んだ福井晴敏の手腕はそれだけでも十二分な評価に値すると思います

デスラーは総統としてガミラス臣民のために身命を賭して頑張るキャラとして、また古代ら地球人を対等の友人として見做す土壌も整備されてるので安心して見てられましたが、不意打ちのようにキーマンのメッセージが流れたシーンでぶわっと涙が出てしまったのは、オレの中で結構な思い入れが出来てたんだなと再認識…(ノД`)


ガミラス本土の方でも6年という期間が経過してる事を示す目立った要素がヒスとシュルツ娘くらいだったことは少々残念で、個人的な欲を言えば、ユリーシャを指導者として再編されたガミラスが歩んだ民主国家への経過を知りたかった所ですが、星そのものが崩壊してしまう設定が復活した事でそういう事情が些末化してしまったのも致し方ないですな(政治的な描写を好むオレみたいなのは圧倒的少数派であることもわかってます、ええw)

でもそんな ”ガミラス側の事情” を象徴する存在としてヤーブこと薮が思いっきりクローズアップされたのは嬉しい誤算でした……ベタな家族ネタではありますが ”人道上” というわかりやすいヤマトが戦いに介入する目的と、ガミラスどころか土門や太助たちとの ”橋渡し役” までこなす脚本上の適材適所っぷりは見事な差配と言う他ありませんヽ( ̄▽ ̄)ノ

ヤマトの ”叛乱” が恒例行事扱いされてるのはどうかと思いましたがw、星名の保安部の存在が大活躍してるというのは何気に嬉しかったりもしました(実際は大問題でしょうけどw)


フラーケンはいつもの調子として、バーガーが歴戦の猛将感を漂わせ始めてるのも頼もしい限りでしたが、地球側から提供された例のアンドロメダ型に乗ってないのはどういう事情なのか(ていうか地球のアンドロメダ型は残存してる?軍縮で廃棄された?)……勝手な想像ですが、おそらくガミラス軍が波動砲艦隊を保有することを指導者ユリーシャ(スターシャ)が許さなかったのではないかと


スターシャ母さん「何そんなのよその家から貰ってるの!返して来なさい!」
バーガー「はぁい…(しょぼん)」


…というのは半分冗談として(半分?w)、そのスターシャといえば新たな謎がいくつか蒔かれていて、デスラーが少年時代に出会った際には既に大人の姿をしていたことで再び妖怪疑惑(参照→2199第七章感想)が…ってそうじゃなくてw、”儀礼” とやらで不死性みたいなのを獲得してるっぽい…?

確かにイスカンダルの ”使命” とやらからすると、残ってるイスカンダル人がスターシャ姉妹だけっていうのはどうやっても存続が無理ゲーに過ぎると言いますか、そもそもどうやってこれまで続けて来たんだっていう当然の疑問が…

 

6年前に示唆されていた古代守との子がどうなってるかというのも気になりますが、”サーシャ” と呼ばれている大型の波動コア状の物体は一体何なのか、ヤーブがヤマトに持ち込んでるのは次元潜行艦のコアなのか、デザリアム(暗黒星団帝国)がイスカンダルに何を求めているのか(少なくともエネルギー資源のガミラシウムの設定は無くなったっぽい?)、そもそもデザリアムの正体とは、「永遠に」はどういう公開形態になるのか気になる要素は満載です

「後編 -STASHA-」の公開2022年2月4日(金)を刮目して待ちたいと思います!!

 


ここから後編のネタバレ注意:

 


オレが劇場に行ったのは最終週ということで、上映後に「後編」の冒頭7分半がオマケで見られたんですが、”イスカンダル防衛線” に颯爽と介入したヤマト艦隊の活躍をいきなり見せつけてくれて盛り上がってましたねえ( ̄▽ ̄)=3

艦載機や空間騎兵の活躍は勿論、アスカの波動共鳴導波はユキが艦長でホント良かったと思いましたし、ヤマトの ”全砲門一斉射” のシーンは実にシビれまくりでした

古代がバーガーとガッチリ握手したりもグッとくるシーンだったなあ

 

後章 -STASHA- 感想

 

「2199」感想リンク:

宇宙戦艦ヤマト2199第一章宇宙戦艦ヤマト2199第二章宇宙戦艦ヤマト2199第三章宇宙戦艦ヤマト2199第四章宇宙戦艦ヤマト2199第五章宇宙戦艦ヤマト2199第六章宇宙戦艦ヤマト2199第七章宇宙戦艦ヤマト2199追憶の航海宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟

「2202」感想リンク:

第一章感想第二章感想第三章感想第四章感想第五章感想第六章感想第七章感想

 

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[映画] アメイジング・スパイダーマン 1-2

2021-09-21 | 映画

「アメイジング・スパイダーマン」の1と2をNetflixにて視聴しました

 

アメコミ映画があまりヒットしない日本においては、サム・ライミ版の「スパイダーマン」がずっとアメコミ映画の中ではトップの成績だったと記憶してるんですが、Wikipediaによると1~3がそれぞれ興収75億、67億、71億円で、世界ランキングを次々と塗り替えたMCUシリーズですら「エンドゲーム」の61億が最高で未だ超えられてないと……ここ10数年、日本の興収ランキングはアニメや邦画が中心で、アメコミに限らずハリウッド映画が全般的に地盤沈下してるというのが数字で如実に表われてるカンジですな

サム・ライミ版「スパイダーマン」が何故日本でもヒットしたのかについては、「3」の感想にて触れてるので気になった方はこちらへ↓
「スパイダーマン3」の感想

 

で、紆余曲折あった末のリブート版である「アメイジング・スパイダーマン」をオレは完全スルーしてたんですが、何で見なかったのかを考えてみると…

・元々アメコミには興味がない
・”リブート” の風潮がイヤだった
・そもそもサム・ライミ版を見たのは「ダークマン」が大好きだったから

…等の複合的な要因だった気がしますが、どうして今更「アメ~」を見る気になったかというと、先日公開されたMCU版の最新作「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」の予告編を見てしまったからに他なりません

ヒーロー大集合みたいな展開を終えたMCUシリーズは、多元宇宙論を元にした ”マルチバース編” みたいなのに突入してるんですが、サム・ライミ版「2」の敵役が当時の役者そのまんまで予告に再登場(17年も前の映画ですのでCGで若返ってます)した事にぶったまげまして( ゚∀゚)o彡゚

勿論世界中のファンが大騒ぎで、Youtubeのリアクション動画を見てたらチラッと「アメ~」の敵も登場してるぞみたいな声があったので、(実際に再登場するかの真偽はともかく)折角だから見ておくべきかなと思った次第です

ちなみにMCUシリーズについては昨年の緊急事態宣言の際に、23本分の感想をまとめて書いたので興味がある方はそちらへ↓
「マーベル・シネマティック・ユニバース」の感想

 

前置きが長くなってしまいましたが「アメイジング・スパイダーマン」の感想ですが、まあ、うん、二作で打ち切られてしまったのも仕方ないかなあと…(^_^;)

映像とかアクションはかなり凄くて、主人公が自らのメカ知識で研究開発とかを頑張るシーケンスもちょっといいなと思ったんですが、全体的なノリがどうにも微妙でした

サム・ライミ版との差別化をしようとする余りにおかしな方向へといいますか、主人公のピーターの性根が腐ってる…とまでは言えないまでも、歪んでるのが一番気になってしまって、一作目でも二作目でもそんな主人公の行動がきっかけで胸糞展開に陥るのは流石にやり過ぎだったと思います

一作目の ”蜘蛛” であることの特徴を利用した作戦や、クライマックスで市民が協力してくれる展開は胸アツでしたが、敵役の悲哀要素も強調することで爽快感を削ぎ落としちゃってるのもなあ……しかも二作目なんかは、敵役が二人ともただただ可哀想な存在になっちゃってるのに、主役の性格が微妙なままなので、もう誰も応援したくならないという空気が映画全体を覆ってしまってて…

壮大なシリーズの一作として、アイアンマンやキャプテン・アメリカたちと絡むMCU版の面白さの後で見てしまった影響も大きかったのかもしれませんが…

 

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追記:

「ノー・ウェイ・ホーム」が素晴らしすぎ問題(バレ感想


[映画] 子供はわかってあげない

2021-08-24 | 映画

「子供はわかってあげない」をイオンシネマ港北にて鑑賞しました

2019年に映画化が発表され、本来なら2020年に公開の予定がコロナ禍により一年延期されていたんですが、オレとしては2014年に マンガ版の感想 を書いた時点で間違いなく映画化されるだろうなと確信してたので、”7年” 待っていたというのが実感に近いです( ̄▽ ̄)=3

原作については上記の感想の方を読んで頂くとして、この7年で作者の田島列島は(寡作ながら)「マンガ大賞」や「このマンガが凄い」といった賞レースの常連と言ってもいい程になってますし、マンガ好きの間だけでなくその名を目にする人も増えてるのではないかと思われますが……うーむ、それでも単館系での上映ですか(…川崎でもチネチッタならかけてくれると期待してたんですが)

一人でも多くの人にこの非常によく出来た青春映画を見て貰いたいんですが、このご時世では全国上映にこぎつけられただけでも幸運なのかもしれません

 

 

 


以下ネタバレ感想:

 

原作の感想の方で ”映画的にこだわってる” と書きましたが、マンガにはマンガの、映画には映画の出来ることと出来ないことがあり、媒体が違えば表現する手法も展開も変わるんだなというのを改めて実感させてもらったカンジです

上映時間155分と結構な長尺の作品でしたが、上下巻とコンパクトにまとまってる原作から更に登場人物を半分以下にまで減らすことで、映画としての ”間” をじっくりと描写する贅沢な作風になってましたねえヽ( ̄▽ ̄)ノ 

マンガではコマ割り等で工夫するしかなくとも、映画では3秒なら3秒の、3分なら3分の時間感覚を実際にストレートに観客に与えることが出来る特性はやはり強いなと……冒頭のいきなりの「KOTEKO」アニメに驚かされてからのw、”朔田家の団らん” の長回しシーンですが後にサクタさん自身が述解する、”絵に描いたような幸せ家族” が互いに気を遣ってるが故に生まれてる空気感だっていうのを原作読者としては理解しながら見せられてることもあって、見事に引き込まれました

そしてやはり映画では ”生身” の人間が演じてることが最大の強みで、原作では丁寧な仕草や振る舞いの描写に加えて、膨大な量のセリフによる小ネタの応酬が ”人間性” を表す独特の面白さを際立たせていたんですが、役者の表情や存在感が持つ情報量はケタ違いでしたな(゚д゚;)


もじ兄の本気というか、名探偵っぷりを見せるミステリーやサスペンスの要素が丸々カットされてしまったのは非常に残念でしたが、その分を実の父である藁谷さんの描写に注力して、教団周りをシンプルにしたのは正解だったと思います

個人的には ”直人が直也みたいな能力を…!” と全く関係のない作品の思い出込みで楽しんでしまってたんですがw、あの豊川悦司がこんなに ”かわいらしい” お父さん役(ワケありの凄み付)を見せてくれるとは、人間が年齢を重ねることの尊さみたいなのも存分に味わうことが出来て素晴らしかったです

古舘寛治お父さん「待って、ヤマトと一緒に写りたい」
豊川悦司お父さん「ヤマト持ってるのがお父さんか」

なんかこの二人のセリフを聴けただけでこの映画の元が十分に取れちゃった感もありましたがw、もちろん主役の二人もとても良かったです

もじくんは、お兄さんの活躍との絡みでもうちょっと深くサクタさんに惚れ込んでいく過程が端折られてしまったのが勿体なかったですが(サクタさんの暴れ馬ジョニーにしても)、二人ともとても眩しくて ”イイもの” でしたよ……ラストはずっとボロ泣きしてました(T∀T)

ちだくんのトラウマを、(泳いでる時にも笑ってる要素と上手くかみ合わせて)”真剣な時ほど笑ってしまう” と転換させた脚本は見事なアレンジでしたし、もじくんが視界を塞いで観客全員をドキッとさせる演出は(地味ながら)映画史に残るレベルなのではないかとまで思わされました

 

プールにすら行けずにコロナ禍と向き合い続けなければならないキツい現実の中、正直、映画を見に出かけることにも躊躇はありましたが、どうしても応援したかった想いも込めて、より細心の注意を払って劇場に足を運んで本当に良かったと心から思わせてくれた ”夏” の名作でした

 


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[劇場アニメ] 「宇宙戦艦ヤマト」という時代

2021-06-13 | 映画

「「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択」をチネチッタ川崎にて鑑賞しました

 

劇場を後にする際、”真田さんは古代兄弟が大好きすぎるな”…などとアホみたいな感想が一番に思い浮かんだんですがw、「2199」と「2202」の ”骨芯” 部分を抽出しつつ、(新生)ヤマトの ”これまで” と ”これから” をとてもワクワクするカタチでまとめてくれたのがとても良かったです

 

スピンオフ「星巡る方舟」が公開されたのが2014年なので、「2199」に触れたのは約7年ぶりという事になりますが(あ、youtubeやニコニコでAMV的な動画はちょこちょこ見てました)、僅か30分ほどにまとめられたダイジェストでも泣けてしまいました…(ノД`)

「2199」の前史である、アポロ計画、復元された戦艦大和、内惑星戦争、ガミラスとの遭遇戦(火星沖海戦)といった辺りが新規作画で描写されましたが、麻宮騎亜がアニメーターとしての最後の仕事として絵コンテからレイアウトから原画まで全てを手がけたとのことで、まさに ”入魂” のド迫力でした(パンフによれば、初仕事も「ヤマト完結編」の動画だったのだとか)……沖田艦の艦首衝撃砲(ヤマトの主砲に相当)の発射シーンはヤマトファンの長年の夢を叶えてくれた感が素晴らしかったです

今作はドキュメンタリー的に真田さんへのインタビューにより振り返るという形式なので、古代守の存在が結構なウェイトを占めていたのに意表を突かれたカンジでしたが、逆に、思い切って雪の要素を全面カットした判断も凄いと思いました(゚д゚;)……真田さんは(記憶を失ってる)雪の後見役みたいなポジションでもあったハズなんですがw、まあ「2199」の古代進はクール系で、終盤になるまで雪への執着みたいなのはあんまり見せなかったですからねえ…

なので、雪の存在感を「2202」パートに全振りしたのは正解だったと思います

「2199」パートでも何度か泣けたんですが、涙の量としては「2202」の方が圧倒的だったのは自分でも驚きで、正直「2202」は各エピソードに情報が詰め込まれすぎで(^0^;)、どうしても舌足らずな印象が拭えなかったんですが、こうして振り返る形式で(背景事情も織り込み済みで)”真田さんから見た古代進” をピンポイントで見せられるともう完全に思い入れが暴走状態でした(T△T)


福井晴敏は(同時に手がけてる「ガンダム」にしても)旧来のファンからは叩かれがちではあるんですが、「2199」で蒔かれた ”種” を回収する手腕と、そこから氏の得意とする壮大な歴史観や政治劇をディテールとして組み込んだ全体的な ”構造” みたいなのが今回、「2199」から「2202」までの流れを一気にまとめた事でキレイに浮かび上がっていたのではないでしょうか


以前どこかで、「機動戦士ガンダム」の ”哀・戦士編”は、「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」のタイトルに対抗してつけられたと聞いたことがありますが、今や ”三大アニメ” の内の二作に関わってる福井晴敏が語る ”愛” は両作品の根底で繋がっているというか同質で、(他者と関わる上で)今日より明日を少しでも良くしようとする意志の ”可能性” に帰結させてるように見受けられます……それは勿論50年前のヤマトや40年前のガンダムでも提示されてはいたんですが、人権や男女差などへの意識の変革や情報化の進んだ社会においてどう振る舞えばいいのか、”正解” はあるのかと(可能性を)問いかけ続けるパターンが現代の ”王道” ということなのかもしれません


あれ?…そういえば今このタイミングって、”三大アニメ” のヤマト、ガンダム、エヴァが全て劇場公開されてるのか……凄いな令和w


そして物語は「2205」へと繋がっていくわけですが、10月8日(金)より前編が公開されるようです

旧作の「新たなる旅立ち」とどこまで準えるのか、地球もガミラスもかなり背景事情が違ってきていますが、ガミラスが星としての寿命を迎えつつあるという布石が「2202」にて既に打たれている事以外、イスカンダルやガミラスの状況は敢えてスルーされて来ているので現状がどうなってるのか気になるなあ(…ガミラスにまで波動砲艦隊を提供しちゃったりスターシャには一体どうやって落とし前をつけるのやら(^_^;))

 

まあ何にせよ、劇場公開されたら必ず見に行きたいと思える程に期待していますし、改めて ”ヤマト” が好きだと思わせてくれた今回の総集編には感謝しかありません

 

「2199」感想リンク:

宇宙戦艦ヤマト2199第一章宇宙戦艦ヤマト2199第二章宇宙戦艦ヤマト2199第三章宇宙戦艦ヤマト2199第四章宇宙戦艦ヤマト2199第五章宇宙戦艦ヤマト2199第六章宇宙戦艦ヤマト2199第七章宇宙戦艦ヤマト2199追憶の航海宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟

「2202」感想リンク:

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[映画] シン・エヴァンゲリオン劇場版

2021-03-08 | 映画

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を川崎109シネマズにて鑑賞しました

TVシリーズが1995年から26話かけて放送され、1997年から公開された旧劇場版にて二度目の完結、そして2007年から始まった新劇場版が14年の歳月を経て三度目の完結を迎えました

思えば26年前、ニュータイプ誌上であのガイナックスが!、あの庵野秀明が「ナディア」以来の監督作を!と放送前に記事が組まれ、”とにかく第一話と二話がとんでもないクオリティになってて必見” みたいに煽ってるのを読んで楽しみに放送開始を待ち構えたっけなあ…(遠い目)

アニメ史には革命的な影響力を持った作品が三本あると言われていて、一本目が70年代の「宇宙戦艦ヤマト」、二本目が80年代の「機動戦士ガンダム」、そして三本目が90年代の「新世紀エヴァンゲリオン」となりますが、前二本は様々なクリエイターが様々なタイミングで携わることでシリーズとして息の長い興業を繰り返してきていますが、エヴァに関しては庵野秀明という一人の天才クリエイターによって基本世界観が紡がれているというのが最大の ”強み” であると同時に ”弱点” でもあったことが今回の完結作によって改めて明確にされた気がします


庵野監督自身は従前から、自ら以外のクリエイターによって新たに ”拡張” されるエヴァ世界を渇望してるというハナシなんですが…


どうなんだろう、個人的には果てしなく難題な気がしてなりません

 

 

 

以下ネタバレ感想:

 

 

 

一応、庵野監督以外のクリエイターによるエヴァ作品として、キャラクターデザインを手がけた貞本義行による公式コミック版が2014年に完結してたりもしますが、TV版エヴァも旧劇エヴァも貞本エヴァも今回の新劇ヱヴァにしても、基本的には同じ展開と同じオチなので、”庵野秀明による世界観” と見做せるかと思います(「ANIMA」が映像化されるような事があれば可能性の広がりとしてはまた別にあるかも)


「シン・ゴジラ」に引き続き「シン」の名を冠した今作ですが、”神” と ”真” の意味合いがメインでありつつ、ちょっと捻って親子親友親愛親切等の ”親” も入ってるイメージでしょうか……そして本作はぶっちゃけ庵野監督版の「風立ちぬ」(=身勝手な自分の総括と助けてくれた家族や仲間へ綴られた感謝)なのかなと思いながら見てました


様々な思惑を思わせぶりに匂わすだけで、ひたすら膨大な情報量と痛快で衝撃的なアクション描写によって視聴者や観客を煙に巻いていた要素も勿論あるんですが、基本的に本作では ”種明かし” のごとく明快にキャラクターの動機や心情が語られるので、

”これが(良くも悪くも)エヴァンゲリオンという作品の本質”

”オレ(達)はこういうのが好きで好きで大好きだから作っただけの作品”

”もはや呪いというべきか、エヴァというトラウマからみんな解放されるべき”

…といった庵野監督の姿勢がスクリーンから絶えず伝わってくるような内容でした(僕は僕のやったことに落とし前をつける~というシンジのセリフにしてもエヴァという呪いを生み出してしまった監督の心情そのものかと)


重度なオタクが抱える ”社会不適合性” を心底憂えてるといいますかσ(^◇^;)、完全にセラピーな展開で、そして上でも書いたように、これってあの物議を醸した(そして全ての始まりでもあった)TV版の25~26話や旧劇でも(貞本エヴァでも)既に語られてることなんですよね……その上で本作の最大の特徴は、主要キャラに対して丁寧に一つ一つ ”浄化” や ”昇華” を実施していった事で "完結" の印象がより強くなったカンジですな


アスカは惣流から式波へと変更された意味が判明して、綾波オリジナルは(限りなくユイに近い状態で)初号機で頑張ってて、綾波初期ロットはDASH村で学んだ上でシンジを救い、カヲルは永遠に仕組まれっぱなし、トウジとケンスケの意外な扱い、ミサトは子をなしたことで未来を信じ、そして今回は誰よりもゲンドウにクローズアップされてたのも印象深かったですが、懐かしい舞台からメタフィクショナルな舞台まで目まぐるしく移動しながら戦ってる光景はかなりシュールでしたな(大変に押井守というかw)


そしてクライマックスでアツいタイトル回収がなされ、みんなめでたくエヴァを ”卒業” していくエンディングなワケですが、「Q」で思いっきり突き放された感覚があまりにも強烈だった為か、心穏やかに感慨深かったという面持ちで劇場を後にした気がします


”父に、ありがとう”
”母に、さようなら”
”そして、全ての子供達(チルドレン)に”

”おめでとう”


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[映画] 罪の声

2020-10-31 | 映画

「罪の声」を川崎109シネマズにて鑑賞しました


”グリコ森永事件” と聞いてリアルな記憶を持ってる人は最低でも40代以上の人になると思いますが、今から35年前、猛毒を混入した商品を無差別に店頭にバラ撒くとグリコや森永製菓等の食品企業を脅迫した上に、”劇場型犯罪” の走りと言われたようにマスコミ各社へ挑戦状(挑発)を送りつけたり、捜査陣を攪乱するかのような様々な情報が入り乱れて日本中が大騒動となった未解決事件です


オレはイブニングに連載されていた原作小説の漫画版を読んでいたので、元々の事件のあらましも、原作の展開も知っている状態だったんですが、それでもかなり新鮮な気持ちで見られる映画になっていました

もちろん設定や展開自体は同じなんですが、原作(漫画版)だと犯行の一連の流れとか犯人グループの動機といったミステリー要素を追いかけて行く ”大人の事情” に主眼を置いているイメージだったのを、今回の映画では(脅迫メッセージに録音された声の主である)”子供の事情” に集中して、丁寧に丹念に追いかけて行くエモさ満点の構造だったのが実に素晴らしかったです(脚本を担当した野木亜紀子の原作改編の手腕は相変わらず見事!)


当人もすっかり忘れていた自分の ”声” が、昭和の大犯罪に利用されていた事実を知った星野源演じる主人公が、一体何がどうなってそんな事態に(幼少時の)自分が巻き込まれていたのかを調べ始めるワケですが、実際、原作者は ”あの子供たちは今どこでどうしてるんだろう?” と思ったのが本作を執筆する最初の動機だったのだそうです

”とっくに時効を迎えていて、誰かが死んだわけでもない、金銭的な被害があったわけでもない、30年以上前の事件を今更ほじくり返すことに意味なんてあるのか?”

…↑的なセリフでもう一人の主人公である小栗旬演じる30代の新聞記者が自らに問いかけるシーンが序盤にありますが、オレ自身は ”キツネ目の男” やら ”かい人21面相” やらの要素を何となく憶えてるだけで、犯人グループに利用?された子供の存在に思いを巡らせることなんて一度もありませんでした……漫画版を読んだときにも思いましたが、(とても身近な存在である)お菓子類が脅迫に利用されてたってことは当時子供だったオレ自身だって(事件の進行が関西を中心にしていたのとは関係なく)”当事者” だったんだと言っていい視点はとても新鮮でしたねえ


全く違う方向から同じ事件を追いかける、星野源と小栗旬の調査が少しずつ交錯していく演出は見応えありましたし、その後のちょっとしたバディ展開においても ”人間の幸せ” について短いやり取りながら的確に示唆や表現をしていて良かったなあ


残る二人の ”子供たち” の境遇にはもちろん、失踪扱いとなった際の親友や学校の先生たちの想い、そして ”何の為に30年以上前の事件を~” の問いかけに対するひとつの答えにも涙が止まりませんでした(T△T)


どんな些末な登場人物も血の通った人間であり、それぞれの人生や想いを背負った存在であることを示す ”日本映画” の底力を見せて貰った気分で劇場を後にしました

 

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[映画] ミッドウェイ

2020-10-20 | 映画

「ミッドウェイ」をユナイテッド・シネマ アクアシティお台場にて鑑賞しました


前エントリの「テネット」と共に前売り券を買っていたんですがナカナカ劇場に行く都合がつかず、公開劇場がどんどん減っていくのと「鬼滅~」がとんでもない記録を打ち立ててるのとを横目にもう半ば諦め状態だったんですが、最後の一館の最終週にて滑り込み鑑賞です

 

”ミッドウェイ海戦” といえば ”太平洋戦争の分水嶺” だったという認識が一般的かと思いますが、この映画は日米開戦の発端である ”真珠湾攻撃” から ”ミッドウェイ海戦”へと至る流れが ”米機動部隊” の目線を中心に描写されています

太平洋戦争モノの作品となると ”敗戦” に向けて日本人や日本軍がひたすら追い詰められていく、”ミッドウェイ以降” の印象がどうしても強いですが、オレが今作を見てて新鮮に感じたのは日本軍の立ち位置といいますか、”ミッドウェイ以前” のアメリカ人から見た日本像でした


”米機動部隊” の目線を中心に~と上で書きましたが、海軍における機動部隊とは航空母艦を中心に、周囲を護衛の駆逐艦や巡洋艦等によって艦隊を組むシステムの事で、史上初めて機動艦隊の運用を始めたのは日本海軍で、”真珠湾攻撃” の戦果(被害)を目の当たりにしてアメリカも空母の運用に本腰を入れ始めたという歴史の流れがあります

大艦巨砲主義から航空戦力の時代へのパラダイム・シフトを自ら実証してみせた日本が、結局は思想を転換しきれずに大敗北へと坂道を転がり落ちていったのと対照的に、アメリカはその工業力の粋を尽くして空母を中心とした軍備を拡張していきますが、ミッドウェイ以前の段階の彼らにとってはまだまだ手探り状態だったというか、”未知の戦術” だった(要するに日米双方とも未熟だった)というのが描写されてるのがなるほどそりゃそうだよな、と意表をつかれたようで興味深かったです

そして ”分水嶺”というだけあって、ミッドウェイ以前の日本というのは北は千島列島や樺太、西は朝鮮半島や満州等の大陸権益、南は台湾を領土としていた上で、まさに破竹の勢いで東南アジアのほぼ全域からビルマ、オセアニアにまで侵攻して(植民地の宗主の国々を蹴散らしていた)いたワケですから、そりゃ欧米人にとっては(有色人種の台頭という要素も相俟って)恐怖以外の何者でもない対象だったろうなと…σ(^◇^;)


正直、今作は ”映画” としては盛り上がりとか面白さに欠ける構成・脚本になってるのが微妙なカンジでしたが、登場人物が基本的に実在の方々ばかりなので過度にドラマチックに演出したりすることを避けたんだと思われます……投下される爆弾にカメラが追随するようなシーンもありましたが、基本的にはコクピットとか艦上の人物の主観視点のドキュメンタリー的なカメラワークが多い印象だったのでまあその辺はあの「パールハーバー(2001)」への反省という意味合いもあったりするのかもしれません(^0^;)

着艦や発艦、偵察、ドッグファイト、急降下爆撃など ”機動部隊” と聞いてイメージする見せ場が盛りだくさんだったので全く退屈したりはしませんでしたし、日本人観客としては赤城、加賀、蒼龍、飛龍の四隻の空母群の壮絶な撃破シーン、それにちょっとだけ大和の勇姿なんかも壮大なCG描写で見せてくれたので満足感は非常に高かったです(そりゃ複雑な心境もありましたが)

トヨエツとか浅野忠信とか國村隼とかは期待通りの演技を見せてくれてたと思います


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[映画] TENET テネット

2020-09-25 | 映画

「TENET テネット」を川崎チネチッタにて鑑賞しました

コロナ禍のせいでおよそ9か月ぶりの劇場体験でしたが、見飽きてうんざりしてたはずの ”映画泥棒” ですら嬉しく感じてしまいましたね(対決でパルクールやってる新作映像だったこともありますがw)

いやしかし、ネットで予告が公開された時からどうしても劇場で見ておきたかったノーラン監督の最新作でしたが、久々の劇場で見るには、150分もの長丁場の上に見応えも歯ごたえもありまくりの内容が(家でのいつでも一時停止やらのんびり視聴体験に慣れきった)身体的にキツかったなあ…(^0^;)


ダークナイト・ライジング」のメイキングでノーラン監督は「007シリーズ」に対する、世界的な陰謀に立ち向かうスパイ映画としての面白さや、大がかりなスケールで生身のアクションや爆破をやってのけるワクワク感みたいな思い入れを語っていたんですが、遂にそれを自らモノにしてみせた映画になっていました

 


以下ネタバレ感想:

 

後から思い返してみると「007」的なスパイ映画としての基本構造は結構シンプルになってて、”世界を破壊したい狂ったテロリストの野望を阻止する(ボンドガールもいるよ)” といったカンジでしたが、その阻止手段がとんでもなくぶっ飛んだ仕掛けでしたなσ(^◇^;)


この映画の ”仕組み” みたいなのは終盤の解説で何となく理解は出来たんですが、自分の目で見た展開がどうしてそう見えていたのか、序盤~中盤にかけての ”干渉” がそれぞれどの様なモノであったのか、爆破阻止作戦の ”順行” 組と ”遡行” 組の入り乱れる流れ等は、正直何度か見直してみないとハッキリわかりそうにないですw

(少し未来で)時間の流れを ”逆再生” させるシステムが開発されて、その逆再生の流れに乗っかれば誰もが過去へと ”遡行” が可能、そして遡行中にもそのまま世界に ”干渉” も可能~ってホントよくもまあこんな設定を思いついて、そして映像化してしまったものです(゚д゚;)

デビュー作以来、”時間” をテーマにし続けてきたノーラン監督としては、かつての(デジタル化以前の)映像制作の現場の ”リニア編集” が発想の取っかかりになったんでしょうか……撮影したビデオテープを巻き戻したり早回ししたり、そのシーンの該当箇所までいちいち飛んで編集点を設定(切り貼り)して全てを録画しなおしていく感覚を彷彿とさせる映像体験だった気がしました


どれだけ因果が逆転したように見えても最終的には ”起こったことは変わらな” くて、”自分で自分を救う” 仕組みそのものは「インターステラー」の焼き直しとも言えるかもしれませんが、主人公が(人知れず)世界を救ったのにも関わらず、呪いのループみたいなのに囚われてしまってる ”ビター” なエンドだった部分で評価が分かれてしまいそうですかね……ニールの運命なんかも(T△T)

オレはその辺りはどうだろう、正直見終わった直後の今のオレの脳内では(良し悪しを超越してしまって) ”困惑” の方が先立ってしまってるかなあ(^0^;)

 


あ、そういえばちょうどアマプラで見たばかりだったので、「イエスタデイ」の主役の彼も出演してるのを見つけたときは何だか嬉しかったですw

 

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[映画] イエスタデイ

2020-09-13 | 映画

「イエスタデイ」を amazon prime にて視聴しました

一昨年の暮れ、「ボヘミアン・ラプソディ」(→感想)の興奮が未だ冷めやらずといった頃に予告編が公開された際に、これは是非とも劇場で見たい!と思いつつもいつの間にか劇場公開が終わってたどころか、気づいたらアマプラでとっくに配信されてるに至ってました…(゚д゚;)

日本での公開時期は昨年の10月ということは、「ジョーカー」(→感想)の少し前か……全然気づかなかったなあ


”売れないシンガーソングライターの主人公はある日、バスに轢かれたのを機にビートルズが歴史上に存在しなかったif世界へと飛ばされてしまうが、彼は誰も知らないビートルズのナンバーを世に出すことでスターダムを駆け上がっていく…”


いわゆる ”異世界転生(無双)” モノがウケるのは世界共通なんだなと予告編を見たときにビックリしたのを憶えてますがw、音楽(特に洋楽)にとことん疎いオレなんかでもそれなりに思い入れのある(兄がかなり聞き込んでるのに影響受けました)ビートルズに対して、下手したら(世界中のファンから)”冒涜” とか言われる危険性あるんじゃねとか余計な心配をしてしまった程ですσ(^◇^;)

ビートルズに関して生半可な知識しか持っていないオレなんかが大したことは言えませんが、今作「イエスタデイ」を見終わって真っ先に思ったことは制作者たちの熱烈な ”ビートルズ愛” でした

1962年のレコードデビューから70年の解散までのほんの数年間で世界の音楽業界に革命を起こした歴史的な意義や偉業やテクニカルな要素についてはサラッと描写するに留め、(例え半世紀を経ようとも)ビートルズの楽曲がいかに世界中で愛されてるかの ”普遍性” を改めて現代に示して見せた快作だったのではないでしょうか


…余談ですが10年ほど前にかわぐちかいじが「僕はビートルズ」というマンガを連載していて、こちらは現代のコピーバンドがタイムスリップをして、本家ビートルズのデビュー前に彼らの楽曲を次々と発表していくという展開でしたが、畏敬や背徳といったファン心理を押しのけてまで主人公達を駆り立てたモノがただの功名心やらではなかった仕掛けにとてもグッと来たので未読の方にはオススメしたいです(賛否も凄かったみたいですが)

 

 

以下ネタバレ感想:


ビートルズが存在しなかった ”if世界” の面白さについて、繰り返しになりますが音楽的な素養が全然ないオレにとっては、”ストーンズはいるけどオアシスはいない” みたいなネタを心底楽しむことが出来なかったのは残念でなりませんが(^_^;)、今作の主人公がまだ20代の青年で、敢えて(主題の)ビートルズについても特に詳しいワケでも熱狂的なファンというワケでもないという設定にした事で(万人向けとして)映画に入りやすくしていたのが個人的に助かりましたし良かったです(逆に濃い音楽ファンにとっては賛否が分かれる所でしょうけど)

音楽以外の部分で、コカコーラやタバコやハリポタが存在してない因果に果たしてビートルズがどう関連してるのか、おそらくは ”それくらい味気ない世界ってことだぞ” 的なアピールの意味とバタフライエフェクト的なネタってだけだとは思うんですが、裏設定みたいなのがあるとしたらちょっと知りたいですねw


記憶を頼りにビートルズの楽曲を再現して発表を始めた主人公がそれでも誰にも見向きもされず、やはり(売れなかったのは)自分自身に問題があるからなのかと苦悩するシーンでグッと引き込まれて、続く線路脇の個人スタジオでの青春のきらめきを爆発させたりするシーンでもう涙がちょっと流れてました(T∀T)……本家ビートルズもレコーディングの際のちょっとしたアクシデントやトラブルなんかを敢えて、本番の音源として収録しちゃってる遊び心がありましたが、その辺りのノリを上手く取り入れてる感もあって楽しかったなあw

オレがビートルズの楽曲を一番聞いていた頃は解散から既にかなりの年数が経ってましたし当然、”生” の観客の反応なんて体験したことがなかったのをこの映画が叶えてくれたようで嬉しかったです

歌詞がうるおぼえでテキトーだったり、"Hey, dude" みたいに軽いギャグのノリで改変されてしまっていた要素が、”ホワイトアルバム” がポリコレ的にダメ出しされたりする辺りから徐々に主人公の中で罪悪感が恐怖へと変わっていく描写はドキドキしましたし、それに付随して主人公以外にもビートルズの存在を知ってる人物が見え隠れするサスペンス展開も楽しめました


そしてそこから ”彼” の登場するシーンの衝撃といったら…!Σ(゚д゚;)

78歳となった ”彼” が生きて、語った内容がいかにも ”らしく” て完全に感極まっちゃってもう…(T△T)

何より、
”ビートルズとまでは言わないけど、一度はステージで喝采を浴びてみたい…”
主人公のそんな些細な願望から今作のif世界は生まれてしまったんじゃないかと観客に思わせておいて、ひょっとしたら ”ビートルズがいない世界” を望んだのは ”彼” だったのかもしれないなと考えさせる描写には実に唸らされましたねえ…(ノД`)


日常の何気ないやり取りの中や縁のある地を ”聖地巡礼” することで、次々と歌詞を思い出すヒントが出てくる展開は楽しくて仕方なかったですし(意識せずとも人生でビートルズに当たり前の様に接していた証左でもありますな)、ラストにて全ての楽曲が盗作であったことを明かし、版権フリー素材として世界に開放するというオチも実に洒落てる(もちろん本家ビートルズが長年に渡って権利騒動でモメにモメた事への皮肉もw)と思いましたし、実に爽やかな気分で映画を見終えることが出来たのはホント素晴らしかったです

 

 

ただ残念に思う部分もあって、それはやはり音楽的に(ビートルズ)すげえと観客を唸らせる説得力や迫力のあるシーンがあんまり見られなかったこと…

主人公が彼女ちゃんに語りかけるように歌った "In my life"、追い詰められた心情を歌った "HELP!" のシーン等ドラマ的には盛り上がっていたんですが、ラブとかコメとかの要素をメインにしすぎてもうちょっとドロドロした要素が欲しかったというのは贅沢でしょうか

 

ここでちょっと「ボヘミアン・ラプソディ」について触れたいんですが、あの映画が物凄くいい映画だったという事とは別の次元で、オレとしては途轍もなく羨ましくも感じていました……それというのも、クイーンというバンドが活動していたのは3~40年前なのにも関わらず、CMやドラマのタイアップ曲として何年おきかに情報の ”アップデート” が為され続けた結果、新規世代のファンを絶えず獲得し続けていたというイメージが(門外漢のオレにですら)ありまして、大ロングランとなった「ボヘミアン・ラプソディ」の劇場に詰めかけたあらゆる年代の観客層はまさにそれを裏付けていたと思うんです

方やビートルズの方は、”古典” として知る人ぞ知るポジションでしかない気がしてならなくて、ぶっちゃけ日本で一番ビートルズについての馴染みのあるエピソードって、”かのドリフターズが前座を務めた(in武道館)” 事なんじゃないかって気がしてなりません…(^0^;)

↑それにしたって(ビートルズの)音楽要素が注目された話題でも何でもないですし、まあCMタイアップなんかは結構あった気もしますが、それが若年層にムーブメントを起こしたなんてケースは寡聞にして知りません

このままでは今の50代以上の年代の方々の中でどれだけ伝説級の扱いを受けようとも、ファン層がジリ貧になっていくのが悔しくて…


まあオレなんかが悔しがったところでどうなるものでもありませんが今後、映画でもなんでもビートルズファンの裾野を一気に拡げてくれるような起爆剤が世に出てくることを祈って止みません

 


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[映画] マーベル・シネマティック・ユニバース

2020-07-12 | 映画

長らく更新されていないこのブログですが、新型コロナの影響で昨年末の「スターウォーズ9」を最後に劇場に足を運ばなくなってるせいでもあります……映画好きとして、今回の非常事態宣言の中でイロイロと考えたことや想いはあるんですが、一つだけ言わせて貰えば普段から引きこもりがちな生活態度だったオレでも、”いつでも好きに出かけようと思えば出かけられる自由” というのは精神的に(存外に)大きかったんだなと思い知らされる自粛の日々でした(-_-;)

で、そんな鬱屈とした日々の癒やしとなってくれたのは映像配信サービスでして、個人的に途中で脱落していた「MCUシリーズ」に改めて手を出してみるいい機会となってくれました


「スパイダーマン」や「Xメン」等を出版してきた80年以上にも及ぶ長い歴史を持つ ”マーベル・コミック” を原作とした映画作品はイロイロありましたが、2008年公開の「アイアンマン」を基点として、世界観と登場人物を完全に共有した壮大なシリーズ展開を続けているのが「マーベル・シネマティック・ユニバース(Marvel Cinematic Universe = MCU)」です

日本人に身近な例として挙げると、水島新司先生の「ドカベン」やら「野球狂の詩」やらの高校野球マンガのキャラクター達が「大甲子園」という作品で一同に会したり、松本零士先生の「999」にハーロックが登場したり、藤子F先生の「ドラえもん」と「パーマン」が実は世界観を共有していたりとかそういう趣向に読者がグッと来るというのはどこの国だろうと共通というワケですなw


MCUとしてのシリーズ展開が開始されてから10余年、長らく不動の一位と二位の座を独占していた「アバター」と「タイタニック」を越えて世界歴代興収一位の座を始め、トップ10に3作品(11位と12位にも)が位置しているというバケモノ級の大ヒットシリーズとなっているようですが、オレも一応、(日本における公開順として)第一作目の「ハルク」から見始めてはいました…

 


■インクレディブル・ハルク(2008)
このブログの下書きフォルダに、2008年8月18日にほぼ白紙の状態での本作のデータが残ってるんですが、どうしてエントリを書かなかったのか全く憶えてないな…

「ハルク」については事前からの思い入れがあって……というのもアメコミ原作ではなくテレビドラマ版を小学生の頃に視聴していた記憶が微かにありまして、毎回クライマックスで怒りを爆発させた主人公が緑色のマッチョに変身して大暴れするカタルシスがあったんですが、ラストではもの悲しいBGMと共に孤独に去って行く余韻とのギャップが強く心に刻み込まれていた気がします

劇場で見て映像的にも内容的にも大幅に進化していて結構面白かった気がするんですが、本作で主演したエドワード・ノートンが何故かシリーズへの出演を降板してしまった件が未だにモヤモヤしてて、後にオレがMCUから脱落してしまった遠因にもなってた気がするなあσ(^◇^;)


■アイアンマン(2008)
いつ頃だったろう、2011年の震災の影響が落ち着いた頃にレンタルDVDにて本作を視聴したかと思います

アメコミの代表作と言えば「スーパーマン」や「バットマン」というイメージで、オレとしては特にDCやらマーベルやらのアメコミに知識や思い入れがあるわけでもなく、壮大なMCUシリーズの幕開けと言われても全くピンと来てなくて、一番の関心事はロバート・ダウニー・Jrが主演という部分だった記憶があります

軍産複合体のトップがゲリラ兵に拉致された事件を経て、”反戦” の象徴として超科学を駆使するヒーローとして生まれ変わる展開は荒唐無稽でしたが、いかにもな ”USA万歳” 的なハリウッド志向への皮肉を込めつつなのが痛快で楽しかったです


■アイアンマン2(2010)
前作に引き続き、レンタルDVDにて視聴

連続して見たのでローズ中佐の役者がいきなり別人になってるのに困惑しましたがσ(^◇^;)、ハルク役のノートンにせよ、MCUが今ほどの巨大な影響力を持つシリーズになるとは思われてなかった(舐められてた?)のか、もしくは逆に大人気だったからこそ金銭的なトラブルになってしまったのか…

”ヒーロー” がこの世に実在したとしてその存在による社会的な影響というか、生まれ落ちてしまう ”光と影” の描写は「ダークナイト(2008)」がとにかく秀逸で、本作のシナリオにも大きな影響を与えたんじゃないかと感じた記憶があります(そういやトニーもブルースも超能力や超パワーではなく知力と財力で何とかしなきゃならない境遇も共通してるか)

北野武が昔、”続編を作るには一作目の3倍面白さを詰め込まないと観客は満足してくれない” と「座頭市」の続編を作りにくい背景事情を語っていたんですが、まさにこの言葉通りに、”軍用量産型” の登場、まるで ”変身” するかの様な装着プロセス(今後どんどん複雑化していくw)、時を超えた ”SHIELD” との因縁等々、見終わった後の満腹感が凄かったですねえ


■マイティ・ソー(2011)
記憶が曖昧ですが、おそらく2013年頃にスカパーからhuluへと移行したタイミングにて視聴したと思います

MCUを見てて何が新鮮だったかって、今作みたいな ”神話系” のヒーローまでが普通に現代の地球に同居している展開でした……”神々” の存在は設定的にはSF寄りで ”(高度な文明を持った)異星人” 扱いされてるとはいえ、北欧の歴史で巨人族と戦ってるし異次元とか普通に出てきちゃってるし、「ハルク」や「アイアンマン」と比べたら随分とファンタジーな展開だなと面食らった憶えがあります

正直、見る前は全く興味の持てる世界観ではなかったんですが、(何故か)浅野忠信が出てるって事で見たんじゃなかったかなあw……ソーの傲岸不遜キャラが絆されていく王道の展開にナタリー・ポートマンの可愛さ、そして壮大なファンタジー要素をその存在感だけで説得力を持たせてしまうアンソニー・ホプキンスが見応えありました

今から思うと、後にMCUが ”宇宙の危機” を救うレベルの展開が待ち受けてる事を前提に、世界中の観客に向けて世界観を拡張する ”覚悟” をさせる為の重大な分岐点だったというのがわかりますな


■キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー(2011)
引き続きhuluにて視聴

”キャプテンアメリカ” の存在は何となく知っていて、元々のアメコミが出版されたのは第二次世界大戦中で、その星条旗をあしらったド派手なコスチュームのビジュアル通りに、”(良くも悪くも)アメリカの正義そのもの” を体現しているヒーローだという認識でした

…まあ、ぶっちゃけると見た目にも思想的にも ”古くさい”っていう先入観がどうしてもあったんですが、それは製作側も重々承知の上でシナリオは構成されていて、アイアンマンと共にMCUの中核を担うもう一人の高潔高邁な職業軍人ヒーローとして、そしていわゆるショッカー的な ”悪の組織” の登場編として、物凄く丁寧にわかりやすく紹介してくれた印象の映画でした

いやしかし、主人公が ”超人化” する前の小柄なヒョロガリの青年時代を凄いCG合成だなと思ってましたが、あれから10年足らずでディープフェイク技術の発達によって、誰もがスマホ一つでいくらでも別人の顔や表情を付け加えたり、年齢を自在に変化させられたりと映像技術の進歩は凄い物ですな…


■アベンジャーズ(2012)
「アベンジャーズ」一作目にしてフェイズ1が今作にて終了、これまでの作品では一部のセリフと、SHIELDという組織を媒介としてのみ世界観の共有が図られていたカンジでしたが、いよいよ満を持しての「大甲子園」編ですw

”もう何を見ても驚かない”
”驚く方に10ドル賭ける”

凄まじい物量とクオリティのCGで観客を圧倒するのはMCUの(ていうか90年代以降のハリウッド映画の)定番でオレもすっかり麻痺してる気でいましたが、それでも空中空母のシーンには驚かされましたねえw……ここは劇場で見ておきたかったなと流石に思わされました( ゚∀゚)o彡゚

4作品のヒーロー達が集合するだけあって物語のスケールも大きく、死んだハズのロキによって ”地球存続の危機” がもたらされるワケですが、なんだろう…(事前から設定もちゃんと仕込まれてるので)無理やりなクロスオーバー作品な「スーパーロボット大戦」ほどではないにしても、それぞれに見せ場を用意する必要もありますし、やはり展開が大雑把に感じられてしまったのは仕方ないか…

いやもう、畳みかけるように見せ場が連続して2時間半近く、ハラハラドキドキしっぱなしなのは間違いなく凄いんですが、出来るだけ単純な ”勧善懲悪” の構造にはしたくないという製作側の志の高さが逆に作用してしまってると言いますか、アクセルを全開にしつつもブレーキの方も全力で踏み続けるかの様な展開にフラストレーションが溜まってしまうのも事実でした(^_^;)

登場して早々のホークアイが洗脳されて敵側に、ヒーロー達の早々の仲違い、決戦兵器である空中空母の早々の無能化等々…

終盤でそれらの不満が一気に解消される構造なのはわかるんですが、元々のアメコミを知悉しているファンに向けて捻りの入った ”応用編”ってカンジで、特に思い入れのないオレみたいな人間にとっては戸惑いの感覚の方が先に立ってしまって置いてけぼり感や疎外感が大きくなるばかりで……戦いの後、ニューヨークの甚大な被害を問題視する声がありましたが、オレの中でもそっちの方が気になってしまって素直に勝利を喜べない気持ちの方が大きかったです(後のシリーズでその辺りの要素もちゃんと引っ張ってるのを見てようやく腑に落ちた部分もありますが)


■アイアンマン3(2013)
「アイアンマン」単体作第三弾にしてフェイズ2開始作……果たして彼は ”スーツ” が無ければただの人なのか

変身ヒーロー物なんかでお馴染みのテーマでしたが、PTSDや脅迫神経症を負ってしまった心を癒やすには、”生身で勝負して” 自分に自信を取り戻す事が有効だったワケですな

3部作の中で一番毛色の違うエピソードでしたが、生身のロバート・ダウニー・Jrの「ダイハード」ばりの勇姿もヒューマンなドラマもたっぷり見られて一番好きだったかもしれません……ラストバトルのバリエーション総登場には笑わせてもらいましたがw、片手片足のパーツのみを装着したアクションは斬新だったなあ


■マイティ・ソー ダーク・ワールド(2013)
「ソー」単体作第二弾……今作で一番面白くなりそうだった要素、”科学” が ”魔法” と区別がつかなくなるまで進歩している時代(世界)に、地球の物理学者が直接赴くことによるワクワク感みたいな部分がほとんどなかったのがとにかく残念(-_-;)

…ていうか展開があまりにも雑で、個人的にはフェイズ1~3を全体的に見ても今作のつまらなさは際だってたと思います

ナタリー・ポートマンの役は「アベンジャーズ」に出演してなかったですし、もう再登場も無いのかなと残念に思ってたんですが、こんな適当な再登場ならむしろ見たくなかったかも……それにしてもこのシリーズはロキという存在に依存しすぎというか、(製作にも観客にも)好かれすぎなのではw


■キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー(2014)
「キャプテン・アメリカ」単体作第二弾……アメリカという国家の表と裏を体現してるかの様に、MCUシリーズ開始からずっと見え隠れしていた影の組織SHIELDでしたが、実は更に裏があって、その草創期から浸食していたヒドラの虚々実々、深謀遠慮っぷりがヤバかったです……”悪の組織” の有能さの描写としては(ウィンターソルジャーのカッコ良さも含めて)、オレが触れてきた全てのエンタメ作品の中でもトップクラスだったかと思います(゚д゚;)

このシリーズは、”純朴なキャップ少年を如何に周りの大人たちが汚せるか” に腐心し続けてる気がしてなりませんがw、ただでさえ裏切りと欲望に塗れて人間不信の寸前くらいにまで追い込まれてるところに、(前作を踏まえた)親友のバッキーと再会する展開は実にグッと来ました

あの空中空母3隻を惜しげも無く轟沈させる巨大なスケール感は勿論、カーチェイスや生身のアクションも凄くて、ヒューマンなドラマまでが素晴らしいと来たら正に ”文句のつけようのない出来” と言って差し支えないんですが…


どうしてオレが今作を機にMCUシリーズから脱落してしまったか改めて考えてみても、何度も繰り返しになってしまいますが、疎外感や置いてきぼり感がどうしても拭えなかったんですよ

また例に挙げてしまって恐縮ですがσ(^◇^;)、言うならば「ドカベン」等の下地となる作品群を知らないまま「大甲子園」を読んでる状態と言いますか……如何に甲子園球場における試合描写が物凄い予算をかけて豪華で劇的だったとしても、端々に地方大会での要素が散りばめられてると(思わせられるだけで)やっぱりどうしても入り込めない気がしてしまうんです

あとこれは贅沢な悩みみたいなものですが、どんなに美味しい料理でも無理やり詰め込まれてる感が先走ってしまえばそれは苦痛でしか……って、まあそこまでネガティブに捉えなくとも、なんか十分に ”満足” してしまったとも言えるのかもしれませんw


■ドクター・ストレンジ(2016)
…というわけでオレは、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014)」「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン(2015)」「アントマン(2015)」の3本をすっ飛ばした状態で、フェイズ3の今作を劇場で見るに至りました

その辺りの経緯と感想はこちら

ぶっちゃけ、今作で描写された様々な超常現象の意味についてはほとんど理解出来てないんですが(^0^;)、「ソー」よりも更に踏み込んだ ”科学=魔法” の描写、そして多元宇宙の思想や概念を(もはや宗教的に)ビジュアル化した革新的な映像美はホントに凄かったので、機会があればもう一度劇場で ”体験” したいなあ

 

 

    ※さて、ここからが2020年に自宅で配信を視聴したシリーズの感想となります

 

 

■ブラックパンサー(2018)
MCUシリーズを更に3本ほどすっ飛ばすことになりましたが、2月某日ディズニーDXにて視聴しました

ディズニーDXに加入したのは「マンダロリアン」を見る為で、2020年末?の第二期の配信開始まではアカウントを凍結させておく予定だったんですが、とりあえず2月一杯までは視聴期間が残ってたので、ずっと気になってた「クリード」のライアン・クーグラー監督が手がけた今作を見てみることにしました

アメリカ本国にて、”アフリカ文化を尊重した黒人映画” が遂に巨大資本の元で製作された~と高評価につながっていたのだそうですが、確かに独特の民族描写とかアフリカ大陸で秘匿されていた超文明とか非常に新鮮で楽しめましたね……「クリード」のマイケル・B・ジョーダンが単純に悪役とは言えない、”純” な復讐者みたいなポジションだったのも面白かったです(ラストの夕焼けが美しかった)

MCUとしてのリンク要素はほとんどなく、考えてみると「ドクターストレンジ」もそんなカンジだったので、「ウィンターソルジャー」から5年くらいMCUから完全に離れてた気分だったんですが、ラストのチラ見せで不意にバッキーが登場するのを見てなんていうか ”懐かしい” 気分にさせられました……マーベルやらアメコミやらに特に ”思い入れ” は無いと言い続けて来ましたが、MCUを見始めてからだけでも既に10年以上が経過してるワケですから当然の心情と言えるのかもしれません

あとやっぱり単純に、”いい映画” だったのは間違いなく、これはちゃんとMCUシリーズと向き合おうと決意が固まりました


■ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014)
まだ非常事態宣言こそ出されてはいませんでしたが、世の中は完全に自粛ムードとなり、まともに外出する気にもなれない3月某日ディズニーDXにて視聴しました

事前の期待が一番低く…というか全く予備知識が無い状態で単に公開順通りに消化しようという動機で見始めた今作でしたが、舞台は遙か銀河系の彼方で、ある意味「ソー」のファンタジー世界よりももっと遠くの世界観だったのが功を奏したのか、MCUで一番素直に楽しめたのが今作だったかもしれません

キャラクターの勝利と言いますか、古き良きスペースオペラを好ましく感じられたのと同時に、”ほとんどギャグ畑のキャラだけどこいつらいずれあの(ハードな)「アベンジャーズ」に合流するんだよな?マジで?”…と疑問に感じ続けながら見てるのがメタ的にも面白かったですw

ラスボスであるサノスがいよいよ登場してますが、この時はまだそのヤバさに全然ピンと来てなかったっけなあ…(遠い目)


■アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン(2015)
(オレにとっては)およそ8年ぶりの「アベンジャーズ」第二弾で、3月某日ディズニーDXにて視聴しました

相変わらず、アクセルとブレーキを同時に全力で踏み続ける(仲間内で足を引っ張り合う)かの様な展開はフラストレーションが溜まりがちでしたが、「アイアンマン3」でトニーが病んでたのを彷彿とさせる、”精神攻撃” を得意とする魔女が敵となる展開は見応えありました(ホークアイがロキにやられたのを教訓にしてたり、トニーが破壊するビルを事前に購入してたりする辺り流石w)

今回登場した ”ハルクバスター” がアイアンマンが更に大型のスーツを纏ってる形態なのを見て、”ガイバー・ギガンティック” を真っ先に連想したマンガ好きはオレだけではないと思うんですが、つい気になって調べてしまいました……ネット情報によればアメコミ版で初登場したのが1994年、日本のマンガ「強殖装甲ガイバー」で二重殖装(巨人殖装)が登場したのが92年頃なので、どうやら「ガイバー」のアイディアの方が元ネタっぽい…?

「ガイバー」の作者はアメコミ好きで影響を受けたと公言してたと思いますし、「ガイバー」もハリウッドで二度も映画化されてたりするので日米のクリエイターが互いに影響を与え合ってたと思うと何だか嬉しくなっちゃいますな(高屋良樹先生ご自身がどう思ってらっしゃるのかはわかりませんが…)

人工知能の ”暴走” の副産物として謎のヒーローが誕生してしまった流れは未だによく理解できてませんが、ソーのハンマーを持ち上げてみせただけで有無を言わせぬ ”説得力” がおそらく世界中の観客を納得させてしまった展開には変な笑いが出てしまいましたw


■アントマン(2015)
新たなコメディ枠wの今作にてフェイズ2が終了で、4月某日ディズニーDXにて視聴しました

極小サイズの戦いはMCUというよりもいかにもな ”ディズニー” らしいワンダーな驚きに満ちた映画で楽しかったですヽ( ̄▽ ̄)ノ 

ヘビーな「アベンジャーズ」を見た後はドッと疲れてしまって、しばらく続きを見る気にはなれなかったんですが、おマヌケ三人組やヒロインのチャーミングさ(押井守がめっちゃ好きそうw)でだいぶ心が救われた気分でしたw


■シビル・ウォー キャプテン・アメリカ(2016)
「キャプテン・アメリカ」単体作第三弾にしてフェイズ3の開始で、4月某日ディズニーDXにて視聴しました

実質、「アベンジャーズ」の3作目なんじゃないかってくらいに全員集合なエピソードでしたが、アメコミ映画がそんなに受けない日本市場でほぼ唯一と言っていい大ヒットを飛ばしたのがかつてのサム・ライミ版の「スパイダーマン」でしたし、オレとしても今回から遂にスパイダーマンまでが加入して来たのには燃えましたねえ( ゚∀゚)o彡゚

しかも新顔としてはワカンダ国と絡んでブラックパンサーが既にここの段階でガッツリ登場していて、「ブラックパンサー」を見た後からこうして初見のタイミングに立ち戻った見方が果たして正しかったのかどうかはわかりませんが、オレとしては非常に面白い見方が出来たと思っております(バッキーが何故ワカンダにいたのかも判明して良かったw)
…まあでも考えてみたら、シリーズとして10年以上続いてるので基本的にはどの作品からでも新規客が入ってこれるようには作り込んでるワケですよね……そういう視点からだけでもやはり凄いシリーズですな

アントマンは…お前ギャグ畑のキャラだろwと余計な老婆心からついハラハラした状態で見てしまいましたが、結構な活躍を見せてくれてホッとしました……欲を言えば、せっかく相手がブラックウィドウなんだから、もっといやーんとかなる攻撃をすればいいのに!と下品な考えも頭の中にはあったことを付記しておきます(←最低だw)

”アベンジャーズを国連指揮下に”~的なやり取りは、アメリカが国家として ”世界の警察” や ”正義” を標榜してきたことへの矛盾やら限界やらとリンクさせてるんでしょうけど、正解のない問題提起は見ててモヤモヤするばかりなのであんまり好きではありません


■ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(2017)
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」単体作第二弾で、4月某日ディズニーDXにて視聴しました

前作を見た時とは打って変わってw、かなり期待値の高い状態で見始めたんですが、まさかのスタローンやデビッド・ハッセルホフが出てきたりを始め新鮮な驚きに満ちた続編で面白かったですヽ(^O^)ノ ……何よりも前作のクライマックスでクイル達が何故インフィニティストーンを持っても大丈夫だったのかが、きちんと明かされたのに一番ビックリしました

ジョン・カーペンター監督の名作SF「スターマン」の壮大なパロディといいますかw、カート・ラッセルが父親役で、宇宙スケールで播種するネタはSFでお馴染みだったりしますが、実にド外道な本性が判明するシーンはゾクゾクが止まらなかったですね……ヨンドゥの真意が報われるクライマックスは涙がこぼれました(T△T)

あと細かい部分ですが、前作での経緯からガーディアンズのメンバーが皆グルートに対する敬意を忘れてない態度なのも良かったです(エンドロールでグレちゃってましたがw)


■スパイダーマン ホームカミング(2017)
MCU版「スパイダーマン」第一弾で、5月某日amazon primeにてレンタル視聴しました

初登場は「シビルウォー」にて済ませている為、従来のような ”誕生編” みたいな展開が無い変則的な一作目ですが、トニーが背後で技術的なバックアップをしているという事実だけでイロイロと自動的に補完されてくれるのはMCUならではの強みですなw

「バットマン」と「バードマン」を経たマイケル・キートンが遂に悪役になり、彼が「アベンジャーズ」一作目の ”後始末” をしている側面や、トニーが父親代わりみたいに振る舞ってしまう展開、あとこれまでも一応MCUでもスカーレットウィッチなんかがいましたが、ごく普通のティーンエイジャー(高校生)が主人公というのも新鮮でしたね……最後の最後でMJが誰なのかが明かされるのも洒落てました


■マイティ・ソー バトルロイヤル(2017)
「ソー」単体作第三弾で、5月某日ディズニーDXにて視聴しました

…正直、前作がアレだったので全く期待せずに見たんですが、雑というか、無茶苦茶な勢いが突き抜けたかのような展開が逆に面白かったですw

これまでの二作で積み上げてきたキャラクター要素をあっさり捨てた上(ナタリーポートマンはセリフだけで破局、浅野忠信たち仲間もほとんど瞬殺扱い)、もはやロキ無しでは考えられないシリーズと化してしまってることがいいのやら悪いのやらもう判断がつきませんが(^_^;)、序盤でソーやロキを手玉に取るストレンジの再登場に喜んだことなど軽く吹き飛ばしてしまった、まさかのタイミングでのハルクの再登場には大笑いしてしまいましたw

ジェフ・ゴールドブラムが志村けんのバカ殿みたいなキャラなのにも笑わせて貰いましたが、とにかくMCUシリーズは(ゲストにどんな大物でも呼べる)金が唸るほどあるんだなというのを毎回思い知らされますw


■アベンジャーズ インフィニティ・ウォー(2018)
「アベンジャーズ」第三弾で、5月某日ディズニーDXにて視聴しました

まさに ”絶望” に始まって ”絶望” に終わるという…(>_<)

脱出したアスガルド民たち諸共、まさかのロキまでが(今度こそ)殺される所から始まり、これぞ ”最終決戦” と呼ぶに相応しい激闘に次ぐ激闘シーンの果てに何とラスボスが勝利してしまうバッドエンドには呆然としてしまいました…

(オレの)期待を背負った「ガーディアンズ」のメンバーの渾身のギャグ描写もちゃんとあったのに、いやあったからこそ、絶望の描写がより深く感じられてしまったのは製作側の相当な計算高さに唸らされるばかりでしたね……何よりヒーロー達が全力を出し切ってるというか、”総力戦” で挑んだけれども ”完敗” してしまったという ”説得力” がハンパなかったです

いやはや、2020年のオレにとってはすぐにでもこの続きを見る事が出来たワケですが(とても続けて見る気力はありませんでしたがw)、2018年にリアルタイムで劇場で見たファンの絶望感はそりゃ凄かったでしょうねえ(^0^;)


■アントマン&ワスプ(2018)
「アントマン」単体作第二弾で、6月某日ディズニーDXにて視聴しました

あれ?このタイミングで「アントマン」が来るの?…と拍子抜けした思いで再生ボタンを押したのは否定出来ませんが、そういえば「シビルウォー」の刑務所からの消息は不明だったので、その後の動向がわかったのは良かったですw……すっかりコメディ枠のゆるんだ空気を楽しんでたら、ラストのラストで「インフィニティ」の時系列と繋がって…(ノД`)

「ソー」や「ガーディアンズ」での ”銀河宇宙” の極大スケールから、「アントマン」での ”量子宇宙” の極小スケールまでの両極端の描写を見せつつ(更に「ストレンジ」では時空すら超越)、きちんと ”地続き感” みたいなのを維持してるのってホントMCUの世界観の懐の深さがヤバいですな……元々の(歴史のある)アメコミ原作に沿っているのだとはいえ、最初の「アイアンマン」以前に(プロットレベルで?)よくもこれだけの世界観を設定したものだと今さらため息が出る程です


■キャプテン・マーベル(2019)
6月某日ディズニーDXにて視聴しました

あれ?SHIELDのコールソン…?とか思ってる間に、若き日のニックも登場してなるほど!これが ”始まり” のエピソードか!となり、往年の名作SF「ヒドゥン」を彷彿とさせる ”擬態型” の宇宙人を追う捜査官的な流れはまさにオレの大好物でしたのでテンションがめっちゃアガりましたねえw

MCUに全く気持ちが向いてなかった昨年の今作公開当時、(DCコミックの)「ワンダーウーマン」が好評だったみたいだからマーベルもそれに追随したんかなとかぼんやり思ってた気がしますが、いやはやとんでもない ”伏兵” が待ち受けていた気分です( ̄▽ ̄)=3

タイトルがふざけてるとまでは言えなくとも、”キャプテンアメリカ” よりも更に時代錯誤というか、シュールと言っていいネーミングだと思うんですがw、素晴らしい脚本とキャラクター、そして「インフィニティ」の ”絶望” に対する ”希望” の象徴として、こんな ”隠し球” ヒーローがいたんか!と気持ちよく ”裏切って” くれました

ちなみにオレがMCUシリーズの視聴を再開するにあたって、”予告編は見ない” でいきなり本編を見るようにしてるんですが、これがもう大大大正解でしたね……どんなに印象的なシーンでも予告編で既に見てしまっていると(本編を見てる際に無意識にでも)何割かはその感動が減じられてる気がしてましたが、改めてその思いを強くしたものです

…ただフェイズ4の公開開始が年内に迫ってる今(今後のシリーズはちゃんと劇場で追いかけたいと思います)、果たして予告編を見ずに公開までガマンすることが出来るのか…?w


■アベンジャーズ エンドゲーム(2019)
「アベンジャーズ」第四弾で、6月某日、ディズニーDXからディズニープラスに移行してから視聴した初作品でした

3時間の長丁場の作品も久しぶりでしたが、語るべき背景事情やらが多過ぎで全く時間が足りてなかったですな……当初の予定(2008年以前の企画時?)では「インフィニティ」と「エンド」の内容が一本の作品として想定されていたとの事ですが、10年以上、21本もの作品(しかもそのほとんどが2時間越えの超大作)で描写されてきた出来事の ”集大成” な作品ですから時間なんていくらあって足りないに決まってますσ(^◇^;)

人間ドラマをまともに描写するのはアベンジャーズの中心だったトニーとスティーブの二人に絞り(次点としてソー、クリント、ブルース、ナターシャ、ロケット、ネビュラ辺りか)、あとの連中はほとんど顔見せレベルだったことが今作に対する不満点として挙げられますが、とにかく尺の都合だってのはわかりますので致し方ないですな


「インフィニティ」によるあの絶望の状況をひっくり返すにはサノスが直前でヴィジョンに使って見せたようにタイムストーンを使ってどうにかするんだろうな…ってな事を誰もが思ったでしょうし、しかも今度はキャプテンマーベルがいれば何とかなりそうかなとオレもそう思ってましたが、まさかその可能性が完膚なきまでに叩き潰される事から始まるとは、完全に製作側の掌の上で踊らされました(゚д゚;)

そして為す術の無いまま5年の時が経過し、状況を変える一手となったのが ”希望” のコメディ枠w、アントマンのスコットだったってのが嬉しかったですねえw

その後のタイムトラベル展開には正直、釈然としない部分もあったんですが、いみじくも劇中で語られていたように、”タイムトラベル映画のルールは忘れろ” というのを呑み込むしかないんだろうなと心に言い聞かせながら見てましたw

結果から判断すると抑えておくポイントは三点、
・過去改変は不可能(パラレルワールドを生み出してしまうだけ)
・ストーンを ”借りた” 時点から同じ時点に返せば過去改変にはならない
・ストーンで ”戻せる” のはストーンで ”消された” 人間だけ(死ぬ運命は覆せない)
…ってのを理解しとけば一応、展開に齟齬は無かったカンジでしょうか

サノスのまさかの ”未来への殴り込み”、(ほぼ)全員復活の今度こそ本当の ”最終決戦”、トニーの夫婦共闘からの顛末、ストレンジが最後まで見通してお膳立てをしてた風なのもグッと来ました(T∀T)


こちらのツイートは昨年のアメリカ本国での初上映の際にジョー・ルッソ監督がこっそり撮影していたという ”全員集結” シーンにおける観客の様子だそうで、アメリカ人たちにとっては何十年?にも渡るファンの悲願成就みたいなシーンでしょうし、こういうヒャッハーな反応が素直に出まくるアメリカの劇場はちょっと羨ましくなりますw

 

残るモヤモヤといいますかw、あれどうなったんだ要素は、
・パラレルと現実との関係性(老スティーブはパラレルから来た?なんとかGPSの機能?)
・2014年の時点からサノス一味が消えた影響
・ネビュラが過去ネビュラを撃ち殺したのとガモーラの運命
・ロキがストーンを持ち去った問題
・キャプテンマーベル強すぎ問題
・タイムマシン存続問題
…辺りは今後のシリーズへの布石になりそうですかね

・真田広之の酷い扱い
…何度思い返してもこれは酷いヾ(`Д´)ノ"

ラストの葬儀シーン、シリーズメンバーが一同に会してますが、実際に撮影時にこのメンバーが揃ってたとしたら(大ベテランから若手まで)プライベートでどんなやり取りをしてたのか非常に興味深いですw


■スパイダーマン ファー・フロム・ホーム(2019)
MCU版「スパイダーマン」第二弾でフェイズ3終了作、6月某日amazon primeにてレンタル視聴しました

トニーの ”遺産” によって地球上で ”最強の高校生” になってしまったピーターが、とんでもない陰謀に巻き込まれてしまう展開でしたが、ある意味 ”馬鹿馬鹿しい”、いい意味で ”子供だまし” な敵が相手でしたな

アメコミ原作の元ネタみたいなのはわかりませんが、”幻影” による攻撃に対処する為に ”スパイダーセンス” に覚醒するという展開も心憎い演出でしたし、ついでに一歩大人になるっていうのも良かったです

そして衝撃のラスト、ニックも迂闊な…と思わせておいてからのどんでん返しに見事にやられてしまいましたが、どうやら宇宙規模のSHIELD的な組織?が既に動き出しているみたいですな

現実と見紛うばかりの幻影による壮大な ”虚仮威し” を使って民衆をたぶらかすっていうのは、ハリウッド映画そのものへの(自虐的な)皮肉も込められてるようで、”アベンジャーズロス” な観客へ ”安易なニセモノには気をつけろよ” 的な警句という意味合いもあったのかなとかつい思ってしまいましたw



いやー、ようやく書き終わった…

配信サービスの便利な所で、気になった部分をちょこちょこ流し見しながらこのエントリを書いてましたが、23本分の感想を一気に書くなんて勿論初めてですしめっちゃ時間がかかってしまった…


旧来からのファンや熱心な方々にはとても及びませんが、オレなりに ”思い入れ” も出来てきたと思いますので今後は応援して行きたいと思います


まずはフェイズ4開始作、「ブラック・ウィドウ」の2020年11月6日公開を楽しみに!

 

2020年10月某日追記:「インクレディブル・ハルク」がアマプラに入ってたので12年ぶりに見てみたんですが、メチャメチャ面白かったです……”またやっちゃった” 展開の後の賢者タイムwでドラマ版のBGMがサラッと流れるところとか最高でした

何より、オレの中でマーベル作品にそれなりに思い入れが出来た後なので、スタークが登場するラストでの興奮っぷりがヤバい(当時このシーンを見た時の記憶は全くありませんがw)……そしてやっぱりノートン本人がどう思ってるのかはともかく、ハルク役を降りちゃったのはホント勿体なかったなあ

 


MCU感想その2
MCU感想その3


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[映画] スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け

2019-12-21 | 映画

「スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」を川崎109シネマズにて観て来ました

「スターウォーズ」シリーズは最初の三部作が1977年からEp4と5と6、新三部作として1999年からEp1と2と3、そして新々三部作として2015年からEp7と8と9が公開され、これにて9部作が完結すると謳われています

ぶっちゃけて言うとEp7「フォースの覚醒」は4「新たなる希望」の焼き直し作品でしたが、今回のEp9は5「帝国の逆襲」と6「ジェダイの帰還」を合わせた焼き直しといった感じで、では一体Ep8「最後のジェダイ」は何だったんだ?っていう…σ(^◇^;)


一応、8も(三部作構成における)5をそれなりに踏襲していて、(新しい試みなんかを)基本的には面白いとは思ったんですが、時を経るごとにもうオレみたいな旧シリーズのファンは ”切り捨てられた” んだなといった感覚が強くなっていき、正直、今作についてはほぼほぼ期待値がゼロに近いところまで落ち込んでいたのも事実でした
おそらく当初の予定では9にて完全に ”新世代” へと移行するつもりで旧シリーズの象徴であるジェダイやスカイウォーカー家といった ”ルーカス色” を薄める事を優先しすぎた結果、あまりの8の不評っぷりにちょっと急ぎすぎたと判断されたんだと思われます

スピンオフ映画の企画も止まってしまい、このままではせっかくの(これから何十年も稼いでくれるはずの)SWシリーズの ”存続の危機” だとディズニーも本気で焦ったんでしょう……まずは失地回復を狙って、全力で(多少強引にでも)ジェダイやスカイウォーカー家の物語に回帰させる事に注力したカンジの今作でしたが、その目論みは見事に成功してるんじゃないかとオレは思いました







以下ネタバレ感想:



金曜ロードショーにて放送されていた8を久しぶりに見ましたが、”新世代”への布石としたかったであろう要素が(9を見た後だとなおさら)空回りしてる印象が強かったですな…(^0^;)

8ではジェダイやスカイウォーカー家について蔑ろにするだけでなく、7から新たに登場したキャラクター達の魅力を引き出すことにも失敗してたのを反省し、レイ、レン、ポー、フィンというメイン級のキャラをいかに ”立てる” かに腐心しつつ、ルークやレイアやジェダイ(とシス)の要素をフォローしなおしていた印象だったのがとにかく良かったですねヽ(゚∀゚)ノ
序盤から矢継ぎ早にトラブルやイベントが発生して(細かいことを観客に考えさせずに)”冒険感” を全面に出していたのはまさにJJ節で、その後もレイ達4人の登場シーンに注力して視点がほとんどブレなかったのが奏功してて、キャラの過去やセリフの言い回しなんかにも相当気を遣ってるのが感じられましたな……ポーもフィンも、7の時点でここまで掘り下げてくれるのはさすがに難しかったと思いますが、せめて8の段階でこういう掘り下げが出来てくれてれば…


あれだけフォースの本質からは程遠いと全否定していたジェダイやシス(の神格化)を臆面も無く連呼し、”7や8で不評だった要素は全部ひっくり返したから許してね!” 的な ”媚び” まくる態度にモヤモヤしたのは否定できないんですがw、 そんな不満なぞ軽く吹き飛ばす勢いの ”大団円” 描写にスッキリさせてくれた事には感謝したいです
本来なら ”新世代のスタート” と位置づけたかったEp9を(スカイウォーカー家を総括する)”完結” エピソードとせざるを得なかった事で今後のSW世界を展開する計画が変更されてる的なニュースも聞こえて来ていますが(もう三部作構想には囚われない等)、個人的にはもう ”満足” させてもらいました……もともとスカイウォーカー家の物語としてはEp1~6で完結してたじゃんと言われればそうなんですが、やはりルークやレイアの ”その後”も見てみたかったですからねえ(…厳密にはルーカスの本来の9部作構想をw)


レイアについては今作の撮影前にキャリー・フィッシャーが亡くなったことでどうしても出番が制限されてしまってましたが、まさかの若ルークと修行する若レイアを登場させてくれたことで、あのたった一瞬の回想シーンだけでもEp6の直後をイロイロと想像させてくれて、長年のスターウォーズファンの不意をついてくれた感が素晴らしかったです……8の宇宙遊泳シーンはさすがにシュールすぎでしたし、あのシーンがレイア最大の思い出としてファンの心に刻みこまれなくてホント良かったσ(^◇^;)

そして不意をついたと言えばやはりソロの再登場シーンも外せませんな……ジェダイのフォースの思念体ばりの再登場には賛否が分かれるというか、ぶっちゃけ反則技みたいなものかもしれませんがw、ハリソン・フォードなんて旧シリーズの段階で ”さっさと殺してくれ” という態度だったことは知られてますし、今回のサプライズ出演に対する本人の真意はどうあれ、シリーズやファンを ”救って” くれてありがとうという感謝の気持ちで一杯です


ルークについてはどうだっただろう……8における無能描写というか、弟子育成に失敗したルークのキャラクター像にはファンから物凄い反発がありましたが(マーク・ハミル自身も甚だ納得が行ってないとのハナシも)、何もかもが中途半端な状態でしかジェダイ騎士としての修行が出来なかったルークの ”その後” としてあり得ない描写でもないかなというのが正直な感想でした(そりゃ遣る瀬ない気持ちが何より先に来ましたよもちろん)
”ジェダイを否定する” ことが第一義だったEp8においてはそれが ”正しい” 描写だったのが、9で華麗に手のひらクルーされてしまった事で、なんだか座りの悪い状態なんですよねえ……まあヨーダに至っては(今作クライマックスで)レイに語りかける資格無いやろってくらいに ”ジェダイ全否定” だった態度をどうしてくれんねんって気持ちですが…w


C-3POが結構出番があって活躍もしてたのは望外の喜びでしたが、BB-8が結局R2と全く変わらないポジションだったのがなあ……あれじゃR2で良かったじゃんというのは言わないお約束か


ランドはチューイとの絡みがほとんど唯一の見せ場だったかな……ラストで颯爽と登場するだろうと思わせて、その通りに登場したのはおいしいポジションでしたが、どうやって反乱の機運を盛り上げたのか、8で全く動こうとしなかった全銀河がなんで急に盛り上がったのか釈然としない気持ちの方が大きかったです(…でもとても「インディペンデンス・デイ」みのあった演出の力で泣かされたので許しますw)


後はパルパティーンについてですが、もうまさに ”デウス・エクス・マキナ” というやつで(劇中でも文字通り ”機械仕掛け” でもありました)、今回のEp9でハナシをまとめるのにやたらと便利に使われてましたなw

古き良き ”絶対悪” なんて現代の映画界ではもうホラー映画くらいにしか存在が確認されてないカンジですが、”おとぎ話” で始まったシリーズの終わりなんだからこれでいいのだ感はハンパなかったです
ただ、レイがパルパティーンの系譜だという説は確かに7の時点で結構ネットで言われてるのを見たんですが、最初からそう設定されてたのか個人的にはちょっと疑問なんですが……でもとにかくこれで丸く収まった感はハンパなか(ry


あー、あと疑問といえば、ラストでレイがスカイウォーカーを名乗るのもどうなの?って…

ずっと居場所を探し続けていて、スカイウォーカー家をリスペクトするのは別にいいんですが、”私はパルパティーンではない”=スカイウォーカーってイマイチ繋がらないような……レン(ベン)と結婚でもした気でいるってことなのかなあ

 

追記:
ネットの感想を見て回ってたら、本来ならソロの出演部分はレイアの役割だったのではないかという感想を見て、なるほど ”キャリー・フィッシャーのため” ならば無償でも出ただろうなと納得しました(エンドロールにもパンフにも一切ハリソンの名前はないみたいでガチで無償のようです)

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[映画] ブライトバーン

2019-11-24 | 映画

「ブライトバーン/恐怖の拡散者」を川崎チネチッタにて観て来ました

宇宙人でありながらその超常的な能力を正義の為に行使していくスーパーヒーローの元祖的存在の「スーパーマン」ですが、アメコミに特に詳しいわけではないオレでも数々の映画化作品やアニメ版等によってお馴染みの存在であることは間違いありません

今作「ブライトバーン」はそんなスーパーマン的な出自とか能力の設定はそのままに、正義とは ”正反対” の存在となってしまった少年を主人公としたホラー映画です


宇宙からの謎の飛来物から発見された赤ん坊は、ごく普通の田舎町に暮らす子供のいない夫婦によって育てられ~というよく見知った流れの所々に不穏な影が差し込まれるのを見ながらオレは、あー、そういえば読んでた当時は全然意識してなかったですが、「ドラゴンボール」の悟空って元々は地球人を絶滅させる為に送り込まれた宇宙人という設定が途中で明かされたけど、あれは「スーパーマン」をひっくり返してたのかと今さらながら気づかされたのがちょっと感慨深かったですw





以下ネタバレ感想:




一発ネタというか、”飛び道具” 的なアイディア一本の映画なので、構造は驚くほどシンプルで古典的なホラーなってましたな……”一人の少年” が全ての元凶となる展開はどうしても「オーメン」と似通ってしまうって事かもしれませんが


ホラー映画でお馴染みの、(普通の人間の目からは超常現象としか思えない)”殺人鬼” が一瞬で目の前から消えたり出現したり、猟奇的な殺し方だったりを、”スーパーマン的な能力” で全て再現しようとしてるのは実に皮肉に満ちてて面白かったですw

そんなに思い入れとかも無いオレなんかとは違ってアメリカ人にとっては半ば神格化されてる存在だとも聞きますし、こういう ”冒涜的”、”背徳的” な仕掛けはより効果的だったのかなと思うと羨ましいやら気遣ってしまうやら複雑な心境ではありますが(^_^;)

ただまあ2016年に公開された「バットマンvsスーパーマン」では、”スーパーマンの存在に異議を唱える” 風な描写止まりだったのを、アマプラにて配信されている「THE BOYS」というアンチヒーロードラマではまんまスーパーマンを揶揄してるかのような存在が出てたりするので、アメリカ人の中でも ”正義” や ”無謬性” への疑問はもう(エンタメ作品であっても)隠しようが無いってことなのかもしれませんな


ブランドン少年は生まれてこの方ケガをしたことがなかったものだから ”痛み” という感覚を全く知らずに育った(だから他者への思いやりも欠如してる)的な演出にはゾクゾクしたんですが、件の宇宙船?の部品で傷つくシーンでは(人生初の衝撃に)もっとパニクるカンジの描写が欲しかった所ですね

あと少し前に「ジョーカー」を見た影響も強いんだと思いますが、見る前までは例え人間だろうと宇宙人だろうと、”(環境次第で)ヒトは神にも悪魔にもなれる(なってしまう)” 的な展開を期待していたんですが、そういった要素がほぼ無かったのは残念でした

一応、思春期ならではの反抗期や学校でのいじめや性的衝動なんかもサラッと描写されてはいたんですが、流石にシャレにならんと判断されたのか、(宇宙人の謎の声とか安易な手段ではなく)そういったきっかけで ”闇落ち” する展開が詳細に描写されてたら映画史に残る名作になってたかもしれないと思うと惜しい気もします……少年役のコの、普段のボケボケのキャラと目つきがガラッと変わる演技が見応えあっただけに


…あー、でも壮絶ないじめの末にクラスメイト皆殺しとかそれはそれで「キャリー」とか言われちゃいそうですし、×××して相手を×××してしまう展開とか(自主規制)12歳の少年にそんな事させる映画なんて発禁レベルかσ(^◇^;)





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[映画] ターミネーター:ニュー・フェイト

2019-11-08 | 映画

「ターミネーター:ニュー・フェイト」を川崎109シネマズにて観て来ました



半年前のティーザー予告が公開された時から情報遮断を貫きました


掲示板や関連ニュース記事には近づかず、劇場で予告編がかかった時にも目と耳を塞ぐという念の入れようで(^_^;)、それでもまとめサイトのタイトル部分等どうしても避けられない情報は入ってきてしまいましたが(本国の興業が爆死してるとか)、どうにかこうにか内容に関するネタバレには触れずに公開日を迎えることが出来ました

(興業不振の報と共に)どうも内容が微妙らしいという評判も防ぎきれなかったのは残念でしたが、とにかく自分の目で確かめるまでは~となるべく予断を持たないことを心がけて劇場に足を運んだ次第です







以下ネタバレ感想:



まず全体的な印象について書いておきますが、オレは結構好きです

「T1」と「T2」が合わせて95点~100点の名作だったとすると、今回のは75点~80点くらいで結構な高得点です
(およそ30年越しの続編としての難易度の高さに得点をプラスαしている部分もあります)



内容についての事前のネタバレは避けられたと書きましたが、”(T2でジョン役だった)エドワード・ファーロングが再登場するらしい” 的な断片的な情報には触れていて、これについてはオレ自身、情報を遮断する前にSNSなんかで ”サプライズで絶対出してくるよ!ていうか期待してる!” みたいな事を書き込みまくっていたのでw、”(真偽はともかく)キャメロンわかってるな!”と、流石に楽しみな気持ちを抑えられないカンジだったんですが…


冒頭の回想で若サラも含めていきなり当時の容姿そのままで少年ジョンが再登場して、CG技術すげえなと感心する間もなく、唐突に登場した若シュワに射殺されてしまって唖然呆然…(゚д゚;)

ええ?これってサラがいつの間にか死んだことにされててファンが一番嫌がってた「T3」の要素じゃん!
更に言えば、「エイリアン2」でかろうじて生き延びた少女ニュートを「エイリアン3」で死なせて大いに落胆させられたのと全く一緒じゃん!

キャメロンどうしちゃったんだ(ノ_-;)…と思うと同時に、ああ、でも ”ジョン・コナー” をもうこれ以上扱いづらいっていうのも何となく理解してた気はするんですよね…


これは(キャメロンの関わっていない)「T3」「サルベーション」「ジェニシス」でジョンという存在を散々こねくり回した事が前提にあるといいますか、基本的にどうやっても不自然というか ”不幸” な存在になっちゃうと……”(運命の)英雄” という ”呪い” にかかってしまってるようなもので、メタ的に見ると素人同然だったファーロング少年が世界的大ヒットをした「T2」に出演した事で(その後の人生を持ち崩す程の)プレッシャーをかけてしまった事にキャメロンが後悔してたりしたんじゃないかなとこれは完全にオレの邪推ですが…

なので(スカイネットの引き起こす)”審判の日” を回避した事でその役目を終えさせたのもキャメロンの温情なのかもなと考えたのはオレだけでしょうか


あと名作との評価は今さら揺るぎませんが、「T2」でシュワ型とT-1000が過去に送られた経緯が謎だった点がほんの僅かな瑕疵として気にはなっていたんですよ……「T1」ではまずスカイネットが開発に成功したタイムマシンを使ってシュワ型を過去に送り、それを知った解放軍がカイルを過去に送ってすぐにタイムマシンは破壊された~的な説明だったんですが、じゃあ「T2」では誰がどういう経緯でタイムマシンを使ったのか?

別のタイムマシン?を使って解放軍側は何らかの事情でシュワ型一体を送るのが精一杯だったとして、T-1000が送られてる時点でスカイネット側はもっといくらでも戦力を送り込めるじゃんという疑問点というか矛盾があったのは事実でしたが、今作のジョン殺害はそこを補完したとも言えるのかもしれません



で、新たな護衛者とターミネーターが未来から送られてくるお馴染みの展開になるワケですが、基本に立ち返ったといいますか、「T1」と「T2」を併せ持ったリメイク的な作品になってましたな

最初の機械工場におけるバトルは「T1」のクライマックスへのオマージュで、体重が200kgくらいあるのをキチンと感じさせる重量感のあるバトル描写にグッと引き込まれ、プレス機でぶっ潰してバトルが終わるも、ただの足止めにしかならないというサービス展開にワクワクが止まらなかったですw

そして工場バトルから流れるように繋がったカーチェイスは「T2」の要素が色濃かったりしましたが、今こうして振り返ってみると、「T1」と「T2」だけでなく「T3」「サルベーション」「ジェニシス」(そしてドラマ版の「クロニクルズ」)の要素も満遍なく込められてた気がしてきました……全てのシリーズを全肯定した、”ターンA” なターミネーターだったとでも言いますかw

直近の続編としての「T3」における各種要素、「サルベーション」における未来描写、「ジェニシス」における老シュワ、「クロニクルズ」における恋愛要素も強化人間グレースとダニーの関係性に反映されてたんじゃないでしょうか

ただ、スカイネットの存在そのものがなくなり、ジョンもサラもシュワ型もこの世界の ”異物” 扱いとなったことで、なんだかスターウォーズ新シリーズが(旧来のファンが愛した)ジェダイの要素を全否定した悪夢が頭をよぎったりもしましたが(^0^;)、”ジョンの為に” ということでシュワ型の行動を一貫させてたのがとてもいいバランスでしたね

新型ターミネーターも社交的な振る舞いと残虐描写のギャップが見事でしたし、分離合体からの、全身を変形させた(「寄生獣」の後藤っぽい)アクションも見応えありました……敢えて苦言を呈せば、どうやって倒されたのかがイマイチよくわからんかったことですが、その辺は観客の意識が完全にシュワ型やグレースに行っちゃってるでしょうからスルーということでw




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[映画] ジョン・ウィック:パラベラム

2019-11-07 | 映画

「ジョン・ウィック:パラベラム」を川崎109シネマズにて観て来ました


ついに「チャプター3」まで来ましたが、内容の無さに拍車がかかり(^_^;)、困ったことに前作前々作で(バカ映画なりにも)それなりに通していた復讐とか義理とかの ”スジ” みたいなのまで完全に放棄してしまった展開は微妙でした……まあ、奇抜な ”殺し技” を見る事が全てとも言っていいくらいのシリーズなのでどうでもいいのかもしれませんがw

前作のラストが、殺し屋ネットワークを完全に敵に回してしまったジョン~というオチでしたが、イロイロと紆余曲折があったように見えて今作のラストでも結局寸分違わぬ同じ位置に戻ってきてしまった徒労感みたいなのでグッタリして劇場を後にしましたねえ…σ(^◇^;)


全員殺してやる~とか息巻いてたのが無様に命乞いする所まで落ちぶれる動機とか全く納得の行くモノではありませんでしたし、最大の問題はもうキアヌの体力やスケジュールの都合なのかわかりませんが、(セルフパロディな)ハルベリーとか組織同士の諍いとかでジョンが全然主役じゃないシーンがかなりあった印象だったことですね

ジョンのバックボーンにロシアがあった部分についても、だからコマンドサンボ的なアクションもあったのねとちょっと納得する部分もありましたがそれだけ…

あと致し方ないとはいえ、一作目であれほど不気味とワクワク感であふれていた殺し屋ネットワークのメッキがボロボロ剥がれ落ちてしまった感も残念だったなあ……「チャプター4」もやるみたいなウワサですが、もう次回は劇場で無理して見る必要ないかも


謎の忍者軍団が意外にも有能…と最初は思いつつも、特に目新しいアクションもなかったので、単にしつこいwとしか感じられませんでしたが、あれ?このちょっと村上弘明っぽいハゲ既視感あるなと思ってたらエンディングにて、そうか!マーク・ダカスコスか!と非常に懐かしい気持ちになりましたw

90年代には紛れもなくアクションスターの一人だったと思うんですが、20年ぶりくらいに見られて嬉しかったですw


ジョン・ウィック感想ジョン・ウィック・チャプター2感想

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[映画] ジョーカー

2019-10-30 | 映画

「ジョーカー」を川崎TOHOシネマズにて観て来ました

個人的に映画はなるべく初日に見るようにしていて、それは公開から時間が経過すると評判やら感想やらの影響でネタバレされる危険性が高まるのと、(鑑賞前の)過剰・過小な期待のどちらも映画鑑賞においては余計なノイズとなってしまうのがイヤだからです

今作「ジョーカー」について、ノーランの「ダークナイト」によって日本でも(ある意味)大人気になったキャラが改めて語られるということで結構前から楽しみにしてたんですが、9月にひいた風邪を少々こじらせて人生初の気管支炎を発症してしまいまして、きっかけになった風邪はとっくに治ったんですが、咳がナカナカ止まってくれなくてとても劇場に行くことはできませんでした…

治療を始めて一か月近く、未だに完全には咳が抜けきってくれてはいませんが(;´Д`) 、安静な状態ならばほぼ止まってるという調子なので久しぶりの劇場鑑賞を楽しんできました








以下ネタバレ感想:



皮肉と悲哀に満ちたジョーカー誕生編であると同時に、ちらっとバットマンの誕生編でもあった贅沢な作品でしたな


最近、巨匠マーティン・スコセッシ監督が昨今のアメコミ映画ブームに苦言を呈してるというニュースが流れたりしてましたが、そのスコセッシ監督の名作「タクシードライバー」をかなりオマージュしたアメコミ映画でこれ程の名作が誕生してしまったのはひょっとして「ジョーカー」の宣伝の一環での発言だったのでは?とつい穿った見方をしてしまいましたw


オレは特にアメコミに造詣が深いわけでも思い入れがあるわけでもなく、(「ダークナイト」撮影後に)死んでしまったヒースレジャーのジョーカー役を越えるジョーカーはもう現われないだろう、という感想は今作を見た上でも変わっていません……ですが、ホアキン・フェニックスがまさにデ・ニーロ・アプローチを実践して作り上げたジョーカー像も見事としか言いようがありませんでした


デ・ニーロ本人まで引っ張り出した「タクシードライバー」だけでなく、おそらく悲劇の名作と名高い「ダンサー・イン・ザ・ダーク」もかなり意識した脚本だったと思うんですが、自らの抱える障害、家族の事情、職場の事情、そして幻想への逃避と次々と積み重なる理不尽に対して ”どこまでも報われない” アーサーがセルマとピッタリ重なって見えて仕方ありませんでした(ノД`)……そしてオレが「ダンサー~」を見終わった後、絶望的な地獄の様な思いを引きずるように劇場を後にした記憶を20年越しに今作が ”救って” くれた気がします

もちろんアーサーの犯した数々の殺人も扇動の罪も決して許されることではないですが、何もかもひっくり返してやる行動力の ”痛快さ” を一庶民でしかないオレなんかが否定出来るわけもなく、この圧倒的な背徳感を併せ持った高揚感を示して見せたクライマックスが映画史に残るのは間違いないでしょう


…さて、ここまでひたすら避けてきた感想やらの情報をようやく解禁できますw


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