日本人はますます貧乏になるしかない…アベノミクスが「失われた30年」を止められなかったワケ
>なぜか日本の経済政策は近代経済学の常識に反し、経済成長を避けるようなことが行われてきました。バブルが弾けても増税、大震災が起きても増税です。
>財務省は「国は借金をしてはならない。歳出は歳入の範囲に収めねばならない。しかし、それができずに財政状況が悪化しているので、不況でもなんでも増税だ」と考える特異な人々の集まりです。
>日銀はインフレーションを目の敵にする、これもまた特異な人々の集まりです。
>金融資産を運用する銀行の親分であるという意識なので、「金利を上げたい病」「インフレ退治万歳」になるわけです。
>「デフレ脱却の数字的目標をインフレ率で設定し、達成するまで金融緩和をしてお札を市場に流せば、お札は希少品ではなくなり人々が汗水流して働いた結晶である商品の価値が上がるのでデフレは脱却できる」とする理論を中核とするリフレ政策は、「アベノミクス」と呼ばれるようになります。
>参院選に勝利した2日後、最初の財務大臣記者会見で麻生太郎が「これで増税ができない環境は無くなった」と不穏な発言をしています。包囲網に加担するマスコミは、安倍が何も決めていないのに、事あるごとに「首相増税決断」と報じ、またたく間に包囲網が安倍を取り囲みました。
>増税包囲網は大勢力です。自民党の九割、公明党の全部、野党民主党の幹部全員、経済三団体すべて、連合、マスコミの六大キー局および六大新聞社が「増税しろ」の大合唱の状況です。ただ、心ある日本人はいました。リフレ派の経済学者や言論人は「ここで増税したら景気が悪くなるぞ」と繰り返し訴えます。
>メディアによく露出している識者が次々と増税に転んでいく中、あくまでも増税反対を貫いた人たちもいます。後に日銀政策委員会審議委員となったエコノミストの片岡剛士など、一歩も退かず筋を曲げなかった立派な人です。消費増税の意見を聞くために政府が設置した有識者会議に呼ばれ、堂々と反対意見を述べています。
>忖度そんたくなしに反対したのは片岡のほか、米イェール大学名誉教授の浜田宏一、筑波大学名誉教授の宍戸駿太郎、大蔵官僚出身の内閣官房参与だった本田悦朗らですが、少数派です。本田ですら、最後には「1年ごとに1%ずつ増税」という妥協案を言わざるを得なくなりました。
>世論が「増税やむなしか?」と傾いてもなお、良識派の識者は、目に見えて景気が回復する中、まさか増税して景気を腰折れさせるなどというバカなことをやるわけがないと思っていました。
>少なくとも、アベノミクスが政権の命綱で、消費増税は自らの首を絞めるに他ならないと分かっている。
>安倍の公式見解を一応言っておくと、「ギリギリまで考えた」です。周りのほぼすべてが敵に回った環境で「ギリギリまで考えて、自分で決めた」と言わなければならないほど、追い込まれたのです。
>10月1日午後6時、安倍は記者会見で消費増税を宣言してしまいます。その前の昼の閣議で「消費税を8%に引き上げる」との決定が伝わった瞬間に、株価が垂直に下がる「ナイアガラ」と呼ばれる現象が起きました。
そして2019年10月に8%から10%への消費税率引き上げてアベノミクスは死亡する