77歳の女性のお話
夜8時ごろ、電話のベルが鳴った。
今頃誰からかなと思い
受話器を手にすると、
「ボク〇〇だけれど。こんばんは」
と息子の名前を言う。
でも、息子とは声も口調も違う。
「ついに来た!
我が家にもなりすましの電話」と思い、
どんな話をするのか会話を
続けてみることにした。
「今どこからかけてるの。
何か用事?」と私。
「会社から。しばらく話をしてないから
どうしているかと思って」
私の息子は、ひと月前に
我が家に来たばかり。
用事もないのに職場から
電話をよこすなどありえない。
一体どこからの情報で息子に
なりすましているのかと思い、
「誕生日はいつだっけ?」と聞いてみた。
「どうして?」
「そろそろ誕生日のはずだから、
何かお祝いしようと思って」
「50年の〇月〇日だよ」
「私そんな日に産んだ息子は
いないんだけど」
「そうですか」と言って電話は切れた。
息子より4歳若いのだなあと
思いながら、もうひと言話したかった。
「君を産んでくれた本当のお母さんに
電話をしてあげて」と。