こころの・・・

^~^ スナフキンです
今日の貴方の心は~~~  

天女

2015-08-03 13:39:18 | 日記
昔々、三保の村というところに 伯梁という漁師が暮らしていました。
村の浜辺には美しい緑の松林が続いています。
ある日、伯梁が清々しい朝日を浴びながら、波が静かに打ち寄せる浜辺を歩いていると、
何処からともなく、とてもよい香りが漂ってきました・・・
きょろきょろと辺りを見回すと、
松の枝にこの世のものとも思えぬほど美しい衣が掛けられていました。
「なんと美しい!」
伯梁は早速手を伸ばし衣を持ち帰ろうとしました。
すると、松の木陰から一人の女性が姿を現しました。
『お待ちください。それは私の衣です。』
「いや、これは拾った俺のもの。家の宝にするんだ!」
『いいえ、それは天人の羽衣です。
 地上の人間には必要のないものです。
 どうか、お返しください!』
「そうか、天女の羽衣だったのか・・・
 そんなら、なおさら返すことはできないな!」
『なんて悲しいことをいわれるのでしょう。
 羽衣がなくては、私は空を飛べません。
 天上界に帰ることができないのです。
 どうか、お願いですから返してください!』
「だめだ、だめだ!!」伯梁は冷たく突っぱねるのでした。
泣くばかりの天女の悲しみに打ち震える姿が、 あまりにも痛ましく見えて
伯梁は、次第に可哀そうになってきました・・・
「では、こうしよう。天女の舞を見せてくれれば、
 衣を返してもいいが、どうだ!」
『それは容易いことです。
 天女の舞をご覧にいれましょう。
 でも、そのためには先ず、衣を返してくださらないと・・・』
「まてまて、この衣を返したら、舞を見せず
 そのまま天に昇ってしまうつもりなんだろう!」
天女は静かに答えました。
『いいえ、疑いは人間界にしかありません。
 私たちの天上界には、嘘や偽りというものはないのです。』
伯梁は暫く考え込んでから、
「いや、これは真に恥ずかしい・・・」
羽衣を受け取った天女は、美しい曲を奏でながら、
舞を披露し、やがて天へと帰って行きました。


嘘偽りは人間界にしかないのですよ 
優しく語りかける天女の言葉に
わが身の醜い姿が照らし出されて恥ずかしい!!
こう叫ばずにはおれなかったのです。


嘘偽りに満ちた今の人間社会、
恥ずかしいことを恥ずかしいと感じる心こそ
真に世を明るくするのでしょう!

コメント
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