私が20代まで大好きだったものとして「二輪」があります。大学生のときからはまりました。
特にもオフロード車(トライアル車)が大好きで,林道や獣道など走り回ったものです。仕事に就いてからも二輪好きは変わらず,オン・オフいろいろな二輪車を乗り継いできました。その頃大型のバイクにもあこがれ,限定解除してオンロードは750ccのバイクを乗り回していました。
しかし,30歳を前にバイクを降りました。亡くなった奥さんが二輪に乗ることを心配したからです。そのころ出入りしていたバイク屋の二輪仲間たちのなかで,右直事故で亡くなってしまった方が出たのです。自分が悪くなくても事故は起きる。四輪なら車の破損だけですむような事故でも,二輪の場合は生死に関わることがある。
ちょうど上の娘が生まれたばかりの頃で,この先私が不慮の事故で亡くなったら・・・。妻はそう心配して二輪に乗ることに反対したのですが,心配するのも無理はありませんでした。
二輪から降りてからもやはり二輪に乗りたい気持ちは抑えられず,40代で一度知り合いから古いXL250S(前輪23インチのもの)を無償でもらい少し乗ったり,もう少し走りたいとFZR250(4気筒)を中古購入したり,通勤に最高と台湾製Majesty125を新車購入したりと二輪と関わってきました。でも,またしばらく二輪から遠ざかっていました。
妻が病気と分かったときから,これからは後で後悔しないように今やりたいことをどんどんやっていこうと思うようになりました。もちろん妻にも同じようにやりたいことをやらせてあげたいと思いました。
妻の病気が寛解し,これからまた二人で生きていける。これまで苦労をかけたぶん二人で第二の人生を楽しもう。そんな気持ちだった昨年の春「また,二輪に乗りたい。全身で風を感じたい。自然と一体になりたい。自分が今生きていることを実感したい。」そう妻に話し,再び二輪に乗ることを了解してもらったのでした。
妻の病気が寛解して家族三人で生活していた昨年春,思い切ってリターンライダーになることを決意し,新車バイク購入の契約をしたのですが,コロナ渦の折,欲しいバイクの入荷のめどは全く立たず,実に注文してから11ヶ月が経った3月にバイク屋からバイクがやっと入荷したとの連絡がありました。
妻が亡くなり,娘との二人の生活になりました。60代ですが,まだ遅いとは思っていません。全身で風を感じ,自然と一体になり,自分が今生きていることを実感しながら,二輪に乗れなくなるその日まで,またライダーとして生きていきます。
お母さん,雲の上から見守ってくださいね。