【カイロ=佐藤貴生】イスラエル政府は22日未明、イスラム原理主義組織ハマスがパレスチナ自治区ガザに連行した人質のうち女性や子供約50人を解放するのと引き換えに、ガザでの戦闘を4日間休止すると発表した。ハマスも合意を認め、人質約50人の解放に合わせてイスラエルが拘束しているパレスチナ人の女性や子供約150人が解放されるとした。

ハマスとイスラエル軍の10月7日の大規模戦闘開始以来、戦闘休止の合意は初めて。イスラエルはハマスが追加で人質を10人解放するごとに、1日ずつ戦闘を休止する方針も表明。米政府によるとガザへ人道支援物資の搬入も合意した。

協議は米国とカタールが仲介し、バイデン米大統領は合意を歓迎した。カタールは恒久的な戦闘停止につながることに期待を示し、合意の実施開始時刻は24時間以内に明らかになるとした。

イスラエルのネタニヤフ首相は臨時閣議を招集し、22日未明にハマスとの合意が承認された。ネタニヤフ氏は「難しいが正しい決断だ」とする一方、ハマス壊滅や人質全員の解放に向けた戦闘を継続するとし、停戦は拒否する意向を示した。

ガザで拘束されている人質は約240人。ロイター通信によると半数以上が外国籍の保有者で、米英仏独やタイなど40カ国以上に及ぶ

ハマスは10月7日に奇襲攻撃を仕掛け、イスラエル側で約1200人が死亡した。イスラエル軍は空爆を経てガザで地上作戦を拡大。ガザ保健当局によると1万4100人以上が死亡した。同国軍は病院付近でも軍事作戦を展開し、人道危機が深刻化して戦闘休止を求める声が強まっていた。

11月22日 産経新聞