もぐ菜のみっしり茶匣(はこ)院

ようこそ腐女子の匣喫茶へ お好みのモノをどうぞ、召し上がれ。 日々を書き連ね、妄想をこよなく愛でます

数十年ぶりに。 *もぐ菜の怪談話し*

2010-08-08 12:00:39 | Weblog
Dさんは三十代で大手企業の営業マンで、若くして結婚したので奥さんと子供が二人居る。誠実な人柄なので営業廻りの取引先の会社と勤め先の会社にも信頼されていた。Dさんは飛び切りの美男子ではないが、性格の良さが顔つきに表れており人目は引き背も高い。

Dさんは東京に勤めて居るが営業指導と言う名目で地方都市の支部に出張に来た。営業指導は何度も経験はあるが不安でもあった。新幹線も停まる駅なので駅近辺は拓(ひら)けていた。

一週間で営業の指導と言う事で、支部の営業マン達と一緒に営業廻りをした。週明けの月曜日に東京へ帰り報告をする予定である。

Dさんの営業指導も良く支部の営業マン達とも打ち解け、営業の反応も良く楽しい仕事となりDさんは任(まか)された仕事を出来て満足した。

営業指導も終わり週明けには東京へ帰るので駅近くのビジネスホテルに宿泊してたがDさんは、温泉に入りたいと思い駅から離れた温泉旅館に実費で泊まった。

駅に温泉旅館の車で迎えに来て貰い、Dさんは駅から離れた静かな山間(やまあい)の温泉旅館へ向かった。 温泉旅館の料理は美味しく露天風呂から眺める景色も良くDさんはたった一泊でも大満足した。

そして月曜日の朝になり朝食を食べて東京へ帰る仕度(したく)を済ませ、Dさんは温泉旅館の送迎の車に乗らずに路線バスに乗り駅へ。

静かな山間(やまあい)で国道沿(そ)いにあるバス停へ向かうが、 コンビニにもなくバスが来るまで時間がりDさんは暇を持て余す。

バス停からやや離れた場所に田舎ならではの近隣住民の、ご用達の日常用品を販売している小さな店を見かけたので店へ行く。

まだ早いらしく店は開店しておらず、店の軒先(のきさき)に新聞販売機がありDさんはスーツの上着の内ポケットから財布を取り出し小銭(こぜに)を出して新聞販売機に入れた─────────



Dさんは新聞販売機から新聞を取り出し口から取ろうし屈み込み姿勢を直すと………




──────────Dさんの目の前に女の顔があり、女の顔は無表情にも見えるが何か恨めしげにも見えた───────




女は表情を何一つ変えずに消えた。




Dさんは硬直(こうちょく)し驚くが声は出ずにこのままでは、危ないと思いバス停へ急いで走り戻った。朝から何か見たらしいが朝から何があったのだろうか??と思い店の軒先(のきさき)にある新聞販売機を見るが誰も居ない。

Dさんは幽霊の類(たぐい)は端(はな)から信じてはない。そんなモノがうじゃうじゃと出歩かれては困ると言う人間であった。心臓に良くないモノを朝から見てしまった。

そうこうして居るとバス停に路線バスがやって来たので、Dさんはとにかく一安心したく路線バスに乗った。席に座り車窓(しゃそう)から通り過ぎる店の軒先(のきさき)を見るが何もない。

車窓からDさんは店の軒先(のきさき)を振り返ると、白いパジャマを着た女が居たがDさんと視線が合うと消えた。


Dさんは思わず声を出した。


何故(なぜ)に朝から?? 見てはいけないモノを見てしまいDさんはへこんんだ。路線バスの運転手がそんなDさんを心配して声をかけて来た。

お客さん、どうしました?? お具合でも悪いのですか?? 女を見た??それも白いパジャマを着て居た!? あぁ……


路線バスの運転手は難しい顔をして運転をして居る。Dさんはきっと何か昔あったと思い年配のバス運転手に聞くと────────


えぇ、私がまだ若くこのルートの路線バスを運転する様に、なったぐらいに聞いた話しですよ。

まさかねぇ、出るの出ないと噂になりまして~ 結婚目前の女がおりましたが、結婚が破談してしまい相手の男に逃げられてしまったと。

その相手の男を理由を聞くとどうも女の性格がキツク偏執(へんしつ)狂で合わずに何度も考え直したと──── 女には寝ずに耳でしたからね。 女ですか?? 精神的にショックに陥(おちい)り狂乱し家族に暴力を振るい家では見切れなくなり病院へ入院しましたがね……

東京では結婚しないなんて当たり前ですが、何せ田舎では結婚出来ない女と言われて何故(なぜ)に結婚出来ないかと言われつづけてまして。女の親は地主だから見合いで婿(むこ)でもと言われ婿(むこ)を摂(と)りましたがね。私はそんな話しを聞いて呆れましたよ。結婚をそんなに無理せずにと同僚に言うと田舎はそうはいかないと言われました。

女は病院で治療(ちりょう)をしてましたが、病院職員の隙を見て病院から抜けだし何処(どこ)かへ。 警察や住民も手分けして捜し回りましたが姿はなく。それから一ヶ月ぐらいしてあの店の軒先(のきさき)に倒れて居たのを発見されまして、発見をした者は臭いを嗅(か)いだだけで嘔吐(おうと)をするし女の着てた物はボロボロで生きてはなく死んでました。



貴方みたいな若い男性を見ると女が出ると言うから、こんな物を持たされているんですよ。お清めの塩です。朝からお疲れ様でしたね。どうぞ、お使いください。 ほんと数十年ぶりですよ、その女の幽霊が朝から出るなんて。



Dさんはお清めの塩を容器から指で摘(つま)み何度か身体に、お清め塩を振り掛けると身体がふっと軽くなった。




          おわり

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