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医師・看護師不足

2009年03月07日 | 経済一般

東洋経済オンラインの記事より

都立だった荏原病院が、東京都保健医療公社に移管されたのは06年4月・・・移管から1年後、荏原病院では地域医療の要である産科を維持できなくなった。原因は看護師の大量欠員だ。入院患者への対応がままならず、07年7月に病棟を1棟休止。東邦大学が産科から派遣医師を引き揚げた。そして同10月、妊婦受け入れ縮小に追い込まれた。

かつて大田区では、5人に1人の赤ちゃんが荏原病院で生を受けていた。現在は院内助産所で月に1人程度の出産を扱うのみ。ピーク時に7人いた産科医は現在4人。うち2人は、年度内の離職が決定している。・・・

定数316に対し、欠員58人――。荏原病院の常勤看護師不足は、悪循環を生んでいる。最大の問題は、夜勤回数が激増したことだ。・・・

昨年10月4日、脳内出血を起こした江東区の妊婦(36)が墨東病院を含む7病院に搬送を断られたうえ、最終的に搬送された墨東病院で出産後に死亡した。同病院は産科医の手厚い配置を義務づけられた総合周産期母子医療センターでありながら、妊婦が運ばれた日の当直はわずか1名の研修医というありさまだった。

墨田区、江東区など東京東部地区で唯一、ハイリスク出産を受け入れる墨東病院には、妊婦の搬送依頼が引きも切らない。千葉や埼玉など他県からの搬送も2割を占める。その最後の砦が、産科医不足に困窮している・・・

都立病院の医師減少の一因として、給与の低さも指摘されている。06年度まで、都立病院の医師の給与水準は全国47都道府県中で最低だった。その後、手当の創設など、思い切った是正が行われたが、「都立病院の給与水準は低い」とのイメージが定着している。一方、自治体病院ゆえに、暴力を振るう患者やホームレスなど、ほかの病院が受けたがらない患者も集中する。勤務がハードで医師が集まりにくいため、医師確保を大学からの派遣に頼ってきた。都は08年度に「東京医師アカデミー」を開講。独自の専門医養成に着手したが、その成果が出るまでには数年かかる。

医師・看護師不足が深刻なようだ。産婦人科や小児科は出産に伴う処置のリスクや子供の診察に関わる手間の問題から、医師のなり手が減り人手不足が深刻である。この問題の背景にあるのは、市場原理と規制の矛盾が歪んだ現実を作り出しているというのがある。医師には定員がありなれる人数が基本的に決まっているが、その診療科は自由なので診療科ごとの仕事量や訴訟のリスク、報酬によって医師の配分が偏ってしまう。さらに、診療報酬は国が決定するため医師や看護師の待遇はそれに左右されうことになってしまう。

特に日本の診療報酬の問題点は、高度な医療の報酬が安く、軽い症状しか見ない開業医の報酬が高いという矛盾があることである。このような状況であるため、高収入に引かれて医師が移動していくため、必要な部分の医療で医師不足が発生するということになる。勤務医として働いている多くの医師は異常な高給という訳ではないが、開業医や一部の医師の高給が全体を歪めてしまっている。この問題を解決するため、より適切な診療報酬体制の構築が望まれるところだ。

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