はみ出し行政書士日記

破天荒(?)な行政書士が、遭遇する様々な事件に挑戦する日々の実態+α

人の心

2006年07月03日 16時50分21秒 | つぶやき
学生の頃、法律の授業を受け(私は阿呆学部御世辞学科出身なので、もともとの専門は行政学)、法律は筋を通した者勝ちだということを知ったのだが、実はそれだけではないことをこの世界に入って何度と無く見てきた。

その典型例は、「人の心を法律が縛ることは出来ない」ということ。

偶然にも、数年前、結婚時の手続についてアレコレとお手伝いをした女性から「離婚したいのだけれども、どうしたらよいだろうか?」という相談を受けていた。

聞けば、嫁姑の争いが絶えず、ダンナとの関係も冷め切って、結婚当初のような気持ちはもう戻ることは無いという。男女の関係は難しい。つい数年前熱々カップルだったのが、今では冷え切って「キモチワルイ。恐ろしい。鳥肌が立つ。」とか。

法律では、「離婚する、しない」で調停や裁判をすることは可能だが、たとえそれで婚姻継続という結論が出たところで、人の心は戻ってこない。
一度離れた人の心を戻すのが如何に難しいのかを思い知らされる。

今回の依頼は、そのことをダンナに思い知らせるという嫌な役割なのだが、こういったことも仕事のうちだと思ってしまえば、なんとも思わずに出来てしまうところがまた恐ろしいところでもある。

で、やったことというと、妻の代理人として、「あんたには愛想尽きた。結婚していてもお互いにいいこと無いから、とっとと別れましょ。」という手紙を送ること。

でも、我々が仕事として受ける以上、相手に威圧的かつ合法的でなければいけない。
(文面については明記できないことご理解ください。)

理屈上は、結婚も離婚も両性の合意によって成立するのが原則であるから、ダンナが納得しなければ、離婚は出来ない。もし強制的にしようというのであれば、裁判に出るしかないのだが、相手もそれを拒否する反訴をしてきたら全面的に争うことになってしまう。仮に婚姻継続という結論を得たところで、妻の愛を取り戻すことは難しい。そのギャップこそが、法律の無力さを痛感させる部分でもある。

さて、結果はどうなることやら。