はみ出し行政書士日記

破天荒(?)な行政書士が、遭遇する様々な事件に挑戦する日々の実態+α

「身の丈起業」のすすめ

2005年09月02日 18時07分08秒 | 書評
巷には溢れるほどの起業本、ハウツー本が並んでいるが、もうそろそろ飽きてきた頃ではないかと思う。
斯くいう私も、独立する前には、そういった本を数冊読んだことはある。

しかし、どれもスーパー起業家の成功談が多く、自分にあった企業方法を学ぶにはあまりにもかけ離れすぎた話ばかり。
まるで天上人のような起業家の成功談を聞いても、それは単なる憧れか、ねたみぐらいにしかならない。
実は、サムライ業のためにもそういったハウツー本は多数存在する。中には、開業1ヶ月目から売上100万円とか、開業1年目で何千万も稼ぐ方法なんて本がある。

たしかに、それを書いた人にとっては、経験談でありそうやれば上手くいくのだろうが、ほとんどの人には当てはまらないといってよい。

そんな時に少し視点を変えてみても良いと思えるのが、この本なのだ。
モーレツ起業家ではなく、自分なりの起業家になることを勧め、新しいことにどんどん取り組むのではなくて身の回りにあること、経験してきたことを仕事にしなさいと、極めて現実的な話題ばかり。

しかしこの本を読むに連れて、私は自分のスタイルに合っている(=今まで実践してきた内容にかなり近い)ということがわかり、自分のやり方でも良いのだと、ほくそえんでしまったほどだ。

夢のような話は話題を呼ぶが、自分の身の回りにそんなことはめったに無いのだから、その現実をどう捉えてどう自分に活かしていくのか、それを良く教えてくれる良書だと想う。

ただ一点、難点があるといえば、こんなことを言いながら、なぜか最後にはIPOの話題が載ってしまうところか。これは起業家の夢だから仕方ないのかもしれない。


「身の丈起業」のすすめ
一橋総合研究所著
講談社現代新書
ISBN4-06-149795-2
Y720-

国際離婚

2005年07月18日 22時55分07秒 | 書評
興味深い題の本を見つけたので、早速買って読んでみることにした。

「国際離婚」松尾寿子著 集英社新書 2005年6月22日刊
ISBN4-08-720298-4

以前にも、国際結婚の本は何冊も読んでいるが、離婚をテーマにすること自体大変珍しい。
離婚の書物と言うと、どちらかと言えば、我々専門家が使う実務所と思いがちだが、この本は新書であることから分かるとおり、一般向けの書籍。

離婚に関する難しい問題をエピソード風にまとめてあるので読みやすい。
こう言った話にしょっちゅう付き合わされている(仕事だから当たり前なのだけど)我々が読んでも飽きさせない構成になっており、大変示唆に富んだ良い本だと感じた。

どちらかと言えば、我々が扱うのは日本人男性と外国人女性のケース(女性はアジア出身が圧倒的に多い)なのだが、男女に関係なく抱える問題が同じであると言うことに気づかされる。

そして、最終的に考えるべきことは、文化の違い、言葉の違い、法制度の違い、社会の違いをどう乗り越えていくのか、そのことを強く訴える著者の主張には、共感を覚えるものがあった。

国際結婚を夢見る人達に是非読んでいただきたい本である。

※私は国際結婚を否定しているわけではありません。念のため。妄想を抱いて失敗する人をたくさん見てきた経験から、お勧めしております。