はみ出し行政書士日記

破天荒(?)な行政書士が、遭遇する様々な事件に挑戦する日々の実態+α

役所の対応

2004年09月29日 20時41分23秒 | その他
今日はいつもと違い、許認可手続の話を少々。

行政書士が従来から主要業務としてきたものに許認可の取得のための手続がある。(正確には在留資格関係の手続も許可だが、従来からのものとかなり性質が違うため、ここでは別扱いとしておく。)
これは今でも多くの行政書士が取扱う業務である。いわゆる「代書屋」としての仕事がこれらの申請書類作成や申請代行なのだ。

ところが、近年行政書士法の改正があったことで、単なる「代書屋」から脱皮して、依頼主の代理人として、関係省庁との交渉や調整役などを一括して引き受けることが多くなってきた。私が許認可関係の手続依頼を受ける時もまた同様に、コンサルティングに始まり、関係省庁との折衝、法的な周辺環境の整備を行うところまで全て引き受けたうえで、許認可の申請を行う。

ところが、役所は未だにその感覚に慣れていないため、何か問題があればすぐに依頼主(すなわち申請人)に問合せなどをするようになる。
役所としてはその方が手っ取り早いと考えているのかもしれないが、コンサルティングも含めて依頼を受けている立場上、直接申請人とやり取りをされるのは、行政書士としての立場云々以前に、仕事が二度手間どころか三度手間になってしまうこともあって非常に困るのだ。
何しろ依頼主から、「県庁から問合せがあったけどどうなってるんだ?」と聞かれ、私も何のことかわからないので、県庁の担当者に話を聞いた上で、更にそれを依頼主に説明しなおしたり、改善指導をしたりしなくてはいけない。一往復半の情報のやり取りが必要となる。これが直接私のところに県庁から連絡が来れば、それで万事OKなのだ。この無駄は誰が見ても明らかだろう。依頼主に不要な不安を与えることもない。
それを役所に伝えても、「書類上の不備は無いから、あとは実態の調査の問題で、行政書士さんはもう関係無いですから。」とばかりに無視されてしまう。書類に不備が無いのは当たり前の話で、そこから先の改善指導等を含めて私たち行政書士が依頼者と役所との間を取り持つにもかかわらず、まだまだ行政書士が代理人として活動しているということを行政は理解してくれていないようである。

先日も、北関東の某県庁の某課の担当者と話をしていると、「もう鈴木先生の役目は終わってますので、待っててください。」などというのだ。代理人として仕事を頼まれた身としては、許可不許可に拘らず、最後まできちんと責任を果たす必要があると説明しても、一向にそのことを理解してくれない。
役所が変わるのには時間がかかるといわれるが、法律改正には対応して欲しいと思うのが正直なところである。

個人情報なのに・・・

2004年09月22日 22時45分28秒 | 衝撃の事件
近年、治安の悪化などと共に議論される話題に個人情報漏洩というものがある。
実は、私たちの仕事は、個人情報そのものを扱っているので、そういったことにはかなり敏感である。

ところが、世の中の企業にはまだそういったことに鈍い(こういう言い方は失礼だが正直鈍いと思う)企業があるのも現実なのだ。
依頼者の都合によって、私が各種証明書の取得を代理で依頼されたりする場合、役所関係であれば、委任状を依頼者からもらうか、或いは職務上請求用紙という士業者が使う専用の申請書を使うことになる。(この職務上請求用紙は、役所で発行される個人情報の証明書を委任状を使うことなく取得できるものであるが、使用できるのは士業者に限られており、また、全ての用紙にシリアルナンバーが付され、不正使用は絶対に許されないようになっている。もし、不正使用をすれば、各士業会から何らかの形で懲戒を受ける。中には、興味半分で芸能人などの住民票や戸籍を取得して懲戒処分を受けている士業者もいると言うから、倫理観の欠如が私たち士業者の業界にもあるということを痛感させられる。)

さて、このような委任状などによる個人情報の証明書取得は、何も役所だけに限ったことだけでなく、企業に発行してもらう証明書についても同じ。在職証明書、源泉徴収票等の証明書関係も基本的には本人が請求し、それが出来ない場合は委任状を持った代理人に発行するのが原則と言ってよい。

ところが、企業の中にはそのようなことを一切しないところもあるようだ。
驚いたことに、とある企業は私からの電話のみで証明書関係を発行するという話にまで発展してしまった。
請求する側としては、手間が省けて大助かりであるが、情報を管理するという面から見れば、明らかに失格である。少なくとも本人に確認すべきであるが、請求者の身元確認すらせずに個人情報を提供してしまうことは、非常に問題があると考える。

これは、ごく一部の例なのであろうが、まだまだ危機意識の足りない日本社会の現実を見たような気がした。

交通事故

2004年09月21日 22時11分53秒 | 衝撃の事件
今日は事務所近くで、バイクと車の接触事故を目撃した。
信号が変わるタイミングで、スピードを出して交差点を突っ切ろうとした乗用車が、大型自動二輪を跳ね飛ばしたのだ。
乗用車がリッターカークラス、バイクが大型であったこともあり、跳ね飛ばされたといっても、ほんの僅かであったが、こういうときは二輪車の危険性を痛感させられる。自分を守ってくれるガードが一切無いのだ。
様子を見るに、全身の打撲と、足の骨折のようだった。
こういうものを見ると、単なる野次馬としてみていられないのもこの商売の悲しいところ。
何か相談されたわけではないが、これからの治療のみならず、仕事はどうなるのだろうか、賠償はどうなるのだろうか、加害者側との交渉はきちんとできるかどうかと、他人事ながら心配してしまう。
先日も、交通事故で加害者側と被害者の過失割合が9:1の事故なのに、相手が一切謝罪に来ないと憤慨して相談してきた人が居た。このケースでは保険会社が付いていたので、私が何か役に立つことも無かったのだが、精神的な面だけでも支えになれればと思い、話を聞くだけ聞いた。当然、事前に私が何か出来るものではないということを承知してもらって。
そういう些細なところからも、我々が市民の役に立つのかと思えば、またそれも一つの仕事の仕方なのだろう。
今日の事故も、被害者と加害者が早く和解できることを、そして何より怪我が早く治ることを祈って止まない。

飛び込み依頼

2004年09月15日 21時23分31秒 | つぶやき
今日は面白い出来事があった。

ごく稀になのだが、喫茶店などで依頼者と一緒に打合せや相談等をしていると、周辺の座席に座っている人から声が掛かる。

今日もそれがあった。

質問者:「すみません。弁護士さんですか?」
私  :「いいえ違いますが。」
質問者:「さっきからお話を伺っていると法律やビザに詳しいみたいなのですが。」(他人の話に聞き耳を立てないで欲しいが聞かれてしまったのは仕方が無い)
私  :「はい。そのコンサルティングなどが私の仕事なので。」
質問者:「申し訳ないのですが、相談したいことがあるのですがよろしいですか?」
私  :「いいですよ。でも、先約があるので、こちらが終わってからにして頂いてよろしいですか?」
質問者:「はい。お願いします。」

こんな感じのやり取りだった。
年に数回と無いこのような飛び込み相談も、快く受けるのが私の流儀である。悩みを抱える人はどこにでもいるし、その人たちの役に立てるのなら、多少なりとも尽力する。

ところが、今日は本音を言うと受けたくなかった。
というのも、声をかけてきた人の身成が良くなかったからなのだ。

この商売をしていると、その人の内面をのぞこうとするクセが付いてよくないのだが、目つき、身成、言葉遣いなどからある程度その人の状況が読める。
そのうえ、今日は新宿東口という特殊な環境(背後に歌舞伎町を控えている)のせいもあって、この人たちに近付いたり関りを持つのは危ないという本能が働いたのだ。

結局、先約の相談が長引いたため、声をかけてきた人は「別の用事があるから」と、喫茶店から出て行ってしまった。ホッと一安心だった。
普段なら、ここで名刺の一枚でも渡しておいたり、連絡先だけでも聞いておくのだが、今日だけはさすがにどちらもやめておいた。
「君子危うきに近寄らず」である。

研修会出席

2004年09月10日 22時28分58秒 | 業界裏情報?
本日は、所属する行政書士会八王子支部(といっても、私の事務所は八王子の中心地から遠くはなれたところにあり、八王子支部の一員だという認識が薄いのが難点である)の研修会があり、暴力団対策について専門の講師を呼んで勉強してきた。

外国人とのかかわりを持つ仕事をしていると(というよりも、この商売は皆そうなのだが)、少なからず暴力団対策を考えねばならないことがあり、こういった研修によってスキルアップ、知識の蓄積を図ることは非常に重要と考える。

その一方で、我々が一般市民などとの係りを持ちながら得た、貴重な情報(と思われる)をシェアリングして、公的な暴力団対策(広く犯罪対策としても)に役立てるルートがまだまだしっかりと出来ていないという感触を得た気がする。

永住(特別永住)ビザは磐石か

2004年09月10日 22時23分04秒 | 業界裏情報?
日本に外国人が滞在するための在留資格は、日本国内での活動内容などに応じて27種類に分類されている。就労系、配偶者系、留学系、公用など幾つかの大きな括りに出来るのだが、その中でも活動内容に制限が設けられていない在留資格が永住(特別永住)というものである。(特別永住者とは、サンフランシスコ平和条約発効日発効以前から引続き日本に滞在していて、同条約発効により日本国籍を離脱した人等に対して発給される特殊な在留資格である。一般に言われる「在日」の人たちが持っている在留資格と認識してよい。)

通常、就労系ならば認められた職業に就いていない場合は、在留資格の更新などが認められず、帰国しなければならないし、配偶者系の在留資格も、離婚すれば原則帰国しなければいけない。

しかし、永住(特別永住)の在留資格は、そういった制約が一切無い。日本国籍を持つ人との違いは、選挙権の有無と所有するパスポートだけと言っても過言ではない。
生活に窮するようになれば、日本人と同様の条件で生活保護を受けることも出来るし、永住者と結婚した外国人を「永住(特別永住)者の配偶者」として日本に呼ぶことも可能になる。

そのせいか、永住(特別永住)者は自分が外国人であり、日本から在留資格を得て滞在しているということをつい忘れがちになってしまう。これは仕方の無いことなのだが、時々大きな問題を引き起こすことがある。

その一つが「再入国許可」というものである。

外国人は、日本に入国する際に入国許可を得て入国するが、既に在留資格を持つ人が一時的に外国へ出国し、再び日本に戻る時は「再入国許可」を得ておかなければならない。

もし仮に、許可を得ず出国すれば、その時点で在留資格そのものが消滅する。
これは、一般的な在留資格に限らず、永住(特別永住)者であっても同じである。ところが、永住(特別永住)者の中には、親の代から長く日本に滞在しているため、自分が外国人であるという認識はあっても、在留資格を得えているという認識があまり無いケースがあり、日本人と同様の感覚で、海外に長期滞在してしまう場合がある。

すると、再入国許可を得ていても、その許可期限が切れてしまい、永住(特別永住)者としての入国が不可能となってしまうのだ。
永住(特別永住)の在留資格を持っている人の殆どは、日本に生活基盤を持っていて、海外で暮らすことは殆ど不可能といってよい。特に、特別永住者の場合、韓国や北朝鮮、台湾などの国籍ではあっても、日本語を母語として生まれ育ち、母国(と言ってよいかはわからないのだが)に帰国したことがない人もいる。
そのような人が、日本の在留資格を失ってしまうと、流浪の民の如く、生活基盤をどこの国にも持てなくなるという最悪の事態が起きてしまう。

先日も、そのようなケースの相談があり、非常に困難な問題の解決が必要であった。
幸い、領事館への申し立てにより再入国許可の延長(入管法の規定により1年間だけ延長することが出来る場合がある)を認めてもらうことが出来て、特別永住者の在留資格を失わずに済んだ。しかし一歩間違えば、どこにも生活基盤を持てないまま、どこかの国をさまよい続けなければいけないという、とんでもない事態になってしまうところだった。

このような事態になる前に、専門家に一言聞いて頂けると良いのだが、日本で生まれ育つと危機意識が薄く、自分の存在基盤そのものを脅かす可能性のあるものが何かをきちんと認識しきれないことが多いのではないだろうか。

たとえ、究極のビザと呼ばれる永住(特別永住)者といえども、こういうときだけは外国人であることを改めて認識させられる。そして、そういった事態を起こさないためにも、私たちが、日々の仕事の中で広く情報を提供していく必要があると感じさせられた。

不正請求が来た

2004年09月05日 23時39分08秒 | 衝撃の事件
不正請求が来た

一瞬戸惑う。
「すぐに開封し内容をご確認ください」
封筒の表にかかれた文句である。
差出人は、○○商事。
屋号であって会社名ではない。
連絡先は携帯電話。

瞬間、不正請求だとわかる。しかしここからが私たち行政書士の反応の異常なところである。
「やった!来た!」
一体何を喜んでいるというのだ。

確率から言えば、そのうち来るだろうとは思っていたが、まさかそんなすぐにお目にかかれるとは思っていなかった不正請求。実際どのように行われているのか、拝んでみたい気持は前からあった。

早速中身を確認してみると、
「あなたが使用したインターネット~~~~~~云々~~~~~~既に書類は裁判所に提出してありますが、この郵便の到着後8日以内にご入金が無い場合は、提出した書類が正式に受理され、「窃盗罪」「詐欺罪」で利用者から告訴されます。」
とある。

なるほど大変な事態だ。弁護士でも出来ないスーパーウルトラテクを使って、裁判所に書類を預けてあると言うのだ。裁判所は貸金庫業を営んでいるのだろうか?裁判所に書類を持ち込んで、受理させずに預けるというのは、我々プロの世界では思いつかない裏技である。それに加えて、裁判所に書類が受理されると告訴されると言う。
??????
なんのこっちゃ?と思いながら、爆笑するのであった。

その後、「面白いもの見せるよ」と、同業者に見せて回る。これからも、しばらくは笑いのネタになるだろう。コレクションは、時々増えている。しばらくの間、話題に事欠くことは無いだろう。

司法書士と行政書士(その2)

2004年09月02日 13時51分00秒 | 業界裏情報?
ご質問がありましたので、その回答をさせていただきたいと思います。

> 1.司法書士と行政書士に依頼できる仕事内容に違いはあるの?

違う部分と、同じ部分があります。
現状から申し上げれば、会社設立など会社の登記に関る業務は、登記前の書類作成(定款、議事録、調査報告など)は行政書士業務、登記申請書作成と登記代理申請は司法書士の業務となります。
戸籍事務については、殆ど重なっているため、例えば、帰化申請をしたいということであれば、司法書士でも行政書士でも手続に必要な書類を作成することは可能となります。
それ以外の分野では、登記全般、裁判事務、供託などが司法書士の業務で、行政庁への許認可、届出関係、私人間の契約代理などが行政書士の業務です。私が一番多く取扱っている在留資格関係も行政書士業務となります。
列挙していくときりが無いほど多種多様にわたりますので、行政書士業務と言えど、全ての分野に付いて熟知している人は少ないと言えるでしょう。それは弁護士も同じことだといえます。

ただ、現在はこういった専門サービスのワンストップ化(窓口の一元化)が進んでいるため、それぞれの士業でネットワークを組んでいて、頼んだ人本人でなく、別の人の所に仕事が回って処理されていることもありますので、とりあえず周囲にいる専門士業者に相談してみるというのが大事だと思います。


> 2.同じ仕事を頼んで結果は異なることはあるの?

同じ業務を頼むのであれば、ほぼ同じ結果が出てくるのが普通ですが、人によってその業務について熟知していない場合や、業務に対する姿勢が異なる人などが沢山いますので、必ずしも同じ結果になるとは言い切れないところもあります。
特に許認可については、経験の有無によってコンサルティング出来る度合いが異なり、結果を左右することが多々あります。仕事を頼む時は、過去どういう事例を扱ってきたかを良く聞くことや、その人の仕事に対する姿勢をよく理解してから頼むのがよいと思います。


> 3.同じ仕事を頼んで料金に一般的な差はあるの?(公定標準価格は存在しないとは知っているものの)

司法書士の場合は、未だに各都道府県の司法書士会が定める報酬規定が存在するため、大きな差は出ませんが、行政書士は完全に自由化されているため、かなりの差があります。東京都行政書士会が報酬額の集計を取っていますが、同じ業務を依頼しても3倍~5倍程度の差が出ているようです。
これは、その業務個々についてみて見なければなんともいえませんが、表向き同じ手続でも必要とされる業務の内容や難易度に違いがある場合や、経験の度合いにもよると思います。
一見、高そうな料金に見えても、確実に仕事をこなしてニーズを満たしてくれれば、案外安上がりになることがあります。
逆に、極端に安い代わりに仕事も雑で、必要なライセンスが取得できない場合など、やり直しになってしまいますから、却って無駄が増えて(金銭的な無駄以外に時間や労力にも無駄が出ます)結果として損が出ることは考えられます。
金額だけを基準にするのではなく、詳しく話をして納得できた段階で仕事を頼むのが大事なのではないでしょうか。