業務上の問題をユニファイドコミュニケーション(以下、UC)で改善することを提案する本連載。今回は、企業内における「働き方」「働く場所」の多様化から起こるコミュニケーション課題を挙げ、UCで解消する方法を解説していく。ここで鍵となるのは、ビデオ会議システムに代表されるビジュアルコミュニケーションである。
●外出先や在宅での会議環境をどうする?
<業務課題1:出張先や自宅からでは社内会議に参加できない>
会議は、組織がビジネス活動を行う上で重要なコミュニケーション手段だ。会議は通常、会議室に必要な参加者が集まって行われる。しかし、ワークスタイルの変化や組織を横断したチームでの協働作業の割合が増すにつれ、指定された時間、場所に集まって会議を行うことが難しくなってきている。
また、必要な参加者全員を招集するために会議を業務時間外に行う、あるいは必要な参加者がそろわなかったためにもう一度会議を開くなど、非効率な会議運営が行われることも少なくない。こうした、重要な意思決定が行われる会議に関する問題は、どの企業でも抱えていることだろう。出張先からは社内会議に参加できない、在宅勤務のコミュニケーション手段が電話しかないといったケースもこれに含まれる。
業務課題1の改善策は2種類ある。
<解決策1-1:Web会議システムの利用>
上記の問題解消策として最近よく検討されるのが、Web会議システムの利用である。Web会議はPCとネットワークさえ準備できれば、場所を選ばずに会議を開き、資料共有を行うことも可能だ。
ただし、電子化された資料を前提に会議を行うには有効だが、双方向で情報共有を行う場合は、操作や情報の伝達が少し難しくなることもある。Web会議で十分事足りる内容の会議もあるが、相手の表情や微妙なニュアンスを伝えたり感じたりすることが重要な会議などにはあまり適さないと考えられる。
<解決策1-2:ビデオ会議システムの拡張とモバイル化>
遠隔間での集団コミュニケーションとして従来行われているのが、ビデオ会議システムによる会議である。ビデオ会議システムでは、相手の表情やニュアンスを伝えることも容易になる。また、システム導入後のコスト削減の即効性も高く、費用対効果が算出しやすい改善策といえる。
しかし、システムが設置された場所でないと会議に参加できないなどの課題もある。外出または移動が多いといったワークスタイルの社員や在宅勤務員など、オフィスから離れた場所にいる社員は会議に参加できない課題も生じていた。このようなユーザーには、ビデオ会議システムの端末をモバイル対応にすることで機動性に富む会議環境を提供できる(図1)。
従来、ビデオ会議システムは専用の会議端末でないとシステムに参加できなかったが、昨今ではPCにビデオ会議端末専用クライアントを導入することにより、既存のビデオ会議との接続が行える。固定化された会議端末をPCにするだけで、ユーザーの利便性や機動性を大きく高めるソリューションとなり得る。
また、「IBM Lotus Sametime」「Microsoft Office Communicator」に代表される統合コミュニケーションツールと相互接続して、既存ビデオ会議端末として参加することも可能だ。ビデオ会議システムをモバイル化することよる主な効果は、以下の通りである(表1)。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
ビデオ会議システムをモバイル化する場合の製品選びのポイントとしては、対外接続や利用者のモバイル接続方法、メーカー間の相互接続性、モバイルデバイスへの対応などを考慮する必要がある(表2)。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
●働き方・場所にまつわる新しいコラボレーションの創出
<業務課題2:オフィス間で密な対面会議を行いたい>
顧客向けの提案活動や社内の打ち合わせ、離れた拠点にいる社員のマネジメントなど、相手と対面で会議を行うビジネスシーンは多い。例えば、オフィスロケーションが違うために、対面で会議を行うにも移動が伴い、非効率な会議が行われている。しかし、対面会議に勝るコミュニケーション手段がないため、効率が悪いと感じながらも対面で会議を行うことが重要視される傾向にある。
会議をしたい相手が同じオフィス内なら、会議室を利用すれば対面会議はできる。しかし、相手が離れた場所にいるために同じ会議室に集まれないケースも当然あり得る。それを解決するのが、移動を伴わずに綿密な打ち合わせが行えるビデオ会議やテレプレゼンスなどの遠隔対面型会議システムだ。なお、この課題には以下のようなケースが含まれる。
・経営会議のための移動や出張を減らしたい
・電話会議やWeb会議では相手に意思がきちんと伝わっていないことがある
・離れた拠点にいる社員のマネジメントを行いたい
・遠隔地の顧客との効果的な会議やサービスを実現したい
<解決策2-1:ビデオ会議システムによる会議利用>
前述のようにビデオ会議システムは、会議室に設置することで離れた会議室間を接続可能になる。映像と音声による情報共有が可能なために、企業の対面型コミュニケーションツールとして広く使われている。
従来のビデオ会議システムは、アナログによる画像品質が主流であり、情報共有を行う上では、細部の精度や資料共有などに難点がある。しかしながら、最近ではディスプレー装置の大型化やHD(High Definition)化により画像の品質向上が進んでおり、システムの有用性があらためて見直されてきている。
<解決策2-2:テレプレゼンスを利用した会議利用>
テレプレゼンスは、会議者がお互いに離れたロケーションにありながらも、両者が同じ場に居合わせているような体感を共有するためのコミュニケーション製品として登場した。遠隔地にいる相手の表情の変化やボディーランゲージをも精細に伝達することにより、まるで目の前で対話しているかのような感覚を作り出せる。従来のビデオ会議では実現できなかった密度の高いコミュニケーションが可能な会議システムである。
会議以外の日常的な業務でも、テレプレゼンスは議論や相談のスピードアップ、ほかの事業所にいるエキスパートのアドバイスに基づいた意思決定、遠隔地にいるメンバーを含むチームでの共同作業を支援する。「会議室をITによってリアルにつなぐ」ため、ビデオ会議システムでは従来カバーできなかった会議シーンへの適用が可能となり、時間の有効活用だけではなく業務効率の向上にも寄与するだろう。テレプレゼンスの主な導入効果を表3に挙げる。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
また、テレプレゼンスはこれまで専用ルームを設けて設置するタイプが多かったが、最近では既存会議室にそのまま設置できる製品や部屋の条件に応じてカスタマイズが可能な製品も登場している。今まで以上にオフィス環境に導入しやすい条件が整ってきた。
テレプレゼンスの製品選択ポイントを表4に挙げる。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
上記のポイント以外に、実際に使ってみた使用感もこの種の製品選びでは重要となる。メーカー、ベンダーの検証施設やショールームで製品デモを利用することをお勧めしたい。
●課題別UCの長所/短所を総チェック
最後に、上記の解決策を講じる際に生じるメリットおよびデメリットをまとめてみよう(表5)。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
参考として、各業務課題の解決に必要な製品・サービスおよび導入時に必要な作業は以下のようになる(表6)。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
次回は連載の最終回として、製品選択時の検討事項やアセスメント、経営層を説得する具体的な効果測定など「業務改善型UC」導入のポイントを総括する。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100703-00000004-zdn_tt-sci
※この記事の著作権は、ヤフー株式会社または配信元に帰属します
●外出先や在宅での会議環境をどうする?
<業務課題1:出張先や自宅からでは社内会議に参加できない>
会議は、組織がビジネス活動を行う上で重要なコミュニケーション手段だ。会議は通常、会議室に必要な参加者が集まって行われる。しかし、ワークスタイルの変化や組織を横断したチームでの協働作業の割合が増すにつれ、指定された時間、場所に集まって会議を行うことが難しくなってきている。
また、必要な参加者全員を招集するために会議を業務時間外に行う、あるいは必要な参加者がそろわなかったためにもう一度会議を開くなど、非効率な会議運営が行われることも少なくない。こうした、重要な意思決定が行われる会議に関する問題は、どの企業でも抱えていることだろう。出張先からは社内会議に参加できない、在宅勤務のコミュニケーション手段が電話しかないといったケースもこれに含まれる。
業務課題1の改善策は2種類ある。
<解決策1-1:Web会議システムの利用>
上記の問題解消策として最近よく検討されるのが、Web会議システムの利用である。Web会議はPCとネットワークさえ準備できれば、場所を選ばずに会議を開き、資料共有を行うことも可能だ。
ただし、電子化された資料を前提に会議を行うには有効だが、双方向で情報共有を行う場合は、操作や情報の伝達が少し難しくなることもある。Web会議で十分事足りる内容の会議もあるが、相手の表情や微妙なニュアンスを伝えたり感じたりすることが重要な会議などにはあまり適さないと考えられる。
<解決策1-2:ビデオ会議システムの拡張とモバイル化>
遠隔間での集団コミュニケーションとして従来行われているのが、ビデオ会議システムによる会議である。ビデオ会議システムでは、相手の表情やニュアンスを伝えることも容易になる。また、システム導入後のコスト削減の即効性も高く、費用対効果が算出しやすい改善策といえる。
しかし、システムが設置された場所でないと会議に参加できないなどの課題もある。外出または移動が多いといったワークスタイルの社員や在宅勤務員など、オフィスから離れた場所にいる社員は会議に参加できない課題も生じていた。このようなユーザーには、ビデオ会議システムの端末をモバイル対応にすることで機動性に富む会議環境を提供できる(図1)。
従来、ビデオ会議システムは専用の会議端末でないとシステムに参加できなかったが、昨今ではPCにビデオ会議端末専用クライアントを導入することにより、既存のビデオ会議との接続が行える。固定化された会議端末をPCにするだけで、ユーザーの利便性や機動性を大きく高めるソリューションとなり得る。
また、「IBM Lotus Sametime」「Microsoft Office Communicator」に代表される統合コミュニケーションツールと相互接続して、既存ビデオ会議端末として参加することも可能だ。ビデオ会議システムをモバイル化することよる主な効果は、以下の通りである(表1)。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
ビデオ会議システムをモバイル化する場合の製品選びのポイントとしては、対外接続や利用者のモバイル接続方法、メーカー間の相互接続性、モバイルデバイスへの対応などを考慮する必要がある(表2)。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
●働き方・場所にまつわる新しいコラボレーションの創出
<業務課題2:オフィス間で密な対面会議を行いたい>
顧客向けの提案活動や社内の打ち合わせ、離れた拠点にいる社員のマネジメントなど、相手と対面で会議を行うビジネスシーンは多い。例えば、オフィスロケーションが違うために、対面で会議を行うにも移動が伴い、非効率な会議が行われている。しかし、対面会議に勝るコミュニケーション手段がないため、効率が悪いと感じながらも対面で会議を行うことが重要視される傾向にある。
会議をしたい相手が同じオフィス内なら、会議室を利用すれば対面会議はできる。しかし、相手が離れた場所にいるために同じ会議室に集まれないケースも当然あり得る。それを解決するのが、移動を伴わずに綿密な打ち合わせが行えるビデオ会議やテレプレゼンスなどの遠隔対面型会議システムだ。なお、この課題には以下のようなケースが含まれる。
・経営会議のための移動や出張を減らしたい
・電話会議やWeb会議では相手に意思がきちんと伝わっていないことがある
・離れた拠点にいる社員のマネジメントを行いたい
・遠隔地の顧客との効果的な会議やサービスを実現したい
<解決策2-1:ビデオ会議システムによる会議利用>
前述のようにビデオ会議システムは、会議室に設置することで離れた会議室間を接続可能になる。映像と音声による情報共有が可能なために、企業の対面型コミュニケーションツールとして広く使われている。
従来のビデオ会議システムは、アナログによる画像品質が主流であり、情報共有を行う上では、細部の精度や資料共有などに難点がある。しかしながら、最近ではディスプレー装置の大型化やHD(High Definition)化により画像の品質向上が進んでおり、システムの有用性があらためて見直されてきている。
<解決策2-2:テレプレゼンスを利用した会議利用>
テレプレゼンスは、会議者がお互いに離れたロケーションにありながらも、両者が同じ場に居合わせているような体感を共有するためのコミュニケーション製品として登場した。遠隔地にいる相手の表情の変化やボディーランゲージをも精細に伝達することにより、まるで目の前で対話しているかのような感覚を作り出せる。従来のビデオ会議では実現できなかった密度の高いコミュニケーションが可能な会議システムである。
会議以外の日常的な業務でも、テレプレゼンスは議論や相談のスピードアップ、ほかの事業所にいるエキスパートのアドバイスに基づいた意思決定、遠隔地にいるメンバーを含むチームでの共同作業を支援する。「会議室をITによってリアルにつなぐ」ため、ビデオ会議システムでは従来カバーできなかった会議シーンへの適用が可能となり、時間の有効活用だけではなく業務効率の向上にも寄与するだろう。テレプレゼンスの主な導入効果を表3に挙げる。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
また、テレプレゼンスはこれまで専用ルームを設けて設置するタイプが多かったが、最近では既存会議室にそのまま設置できる製品や部屋の条件に応じてカスタマイズが可能な製品も登場している。今まで以上にオフィス環境に導入しやすい条件が整ってきた。
テレプレゼンスの製品選択ポイントを表4に挙げる。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
上記のポイント以外に、実際に使ってみた使用感もこの種の製品選びでは重要となる。メーカー、ベンダーの検証施設やショールームで製品デモを利用することをお勧めしたい。
●課題別UCの長所/短所を総チェック
最後に、上記の解決策を講じる際に生じるメリットおよびデメリットをまとめてみよう(表5)。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
参考として、各業務課題の解決に必要な製品・サービスおよび導入時に必要な作業は以下のようになる(表6)。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1006/30/news01.html
次回は連載の最終回として、製品選択時の検討事項やアセスメント、経営層を説得する具体的な効果測定など「業務改善型UC」導入のポイントを総括する。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100703-00000004-zdn_tt-sci
※この記事の著作権は、ヤフー株式会社または配信元に帰属します