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マシンコントロール~オフセットパイロンを「速く」まわる

2006年09月06日 | 中級テクニック
 マシンコントロールを総合すると、いかにパイロンを「速く」回るかということが目標になります。一つのパイロンに対して素早く回るためには、色々な要素を次々と的確に処理していかなければなりません。

 パイロンへのアプローチから順を追って考えると、以下のような要素を一つ一つスムーズに的確に素早くできるようにならなければなりません。これらをひとつずつ自分自身の課題として練習し、克服し、向上させていくことで「速く」走ることができるようになっていきます。

①強く短いブレーキング
 ブレーキの開始が遅いほど、そこに至るまでの区間のスピードを高めることができます。だから強く短いブレーキングができるほど平均速度が上がることになります。基本的にブレーキを強くかけるスキルをもつ必要があります。ブレーキが上手ならば、それだけで速くなります。
 しかし次の倒し込みのステップに入るためには全力ブレーキを解除しなければなりません。ブレーキを緩めて倒し込みを始め、さらにブレーキを緩めることによって向き変えにつなげるか、ブレーキを緩めたときに一気に向き変えまで持ち込むかで全力ブレーキの終了地点を変える必要があります。

②素早い倒し込み
 倒し込みにかかる時間が長いとコーナーの入り口で大きな旋回半径を作り、倒し込むにつれて、旋回半径が小さくなっていくことになります。この間は、緩いブレーキでフロント荷重を維持したまま徐々に減速していくことになりますので、本来走れる小さな旋回半径に比べると前半が大回りになって走行距離が長くなってしまいます。目標とする旋回速度と旋回半径に対して必要なバンク角をなるべく短い時間で達成することが大切です。

③ハンドルの切れ
 ②と関連するのですが、やはり同様に、目標とする旋回速度と旋回半径に対して必要になるハンドルの切れ角を速やかにつくるということです。これを押さえてしまったりして必要な切れ角に至るまでの時間がかかると、コーナリングの前半で、旋回半径は目標よりも大きくなってしまいます。そのために不足している切れ角をバンク角で補うといった操縦をしてしまうと、旋回半径全体が大きくなってしまいます。

④高い旋回スピード
 そのパイロンをどういう回転半径でどれくらいのスピードで走るかということを予め計画しておく必要があります。旋回スピードは旋回中に後ブレーキを使って徐々に減速していく場合と、コーナリング中にアクセルコントロールがちゃんとできてスピードを維持できる場合とで目標とするスピードが異なります。①のブレーキングが終了するときには④の旋回スピードが決まってしまうので、逆に言うと④の目標スピードに合わせて①のブレーキングを終える必要があります。

⑤早いアクセルの開け始め
 なるべく早いタイミングからアクセルを開けられるかどうかということが、最終的にコーナーを脱出するときのスピードを大きく左右します。開け始めといってもアクセル操作の記事で述べたようにそれはとても微妙なものです。微妙に扱えれば扱えるほど早いタイミングから開け始めることができます。ラフな操作をしている内は早く開けると確実にリアタイヤが滑り出します。「微妙に早く」ということが大切です。

⑥素早い引き起こし
 バイクを引き起こす時間が短ければ短いほど、早いタイミングでアクセルを全開にできるようになります。

⑦一気の加速
 バイクの安定を確保できるようになったところで速やかに全開状態に持って行きます。これは度胸の問題であり、かつフォームの問題です。

 こういった要素の一つひとつをやっつけて、要素ごとの水準を高めていくということが、コーナリングを「速く」するための基本です。

 
 これらの、コーナリングにおける時間軸に沿ったプロセス要素とは別に全体をよくするための要素が三つあります。

⑧プロセス要素の全体のバランス
 ブレーキを強く掛け過ぎるとそこで体が固まって、次の倒し込みを阻害するとか、コーナリングのスピードを高めようとする結果、ハンドルが切れず旋回半径が大きくなるとか、プロセス要素の間にはトレードオフや因果関係があって、一つを追求すると別の要素に影響を与えます。各要素がどういうレベルなら全体としてバランスがとれるかを考える必要があります。

⑨次の目標に対する適合性
 どんなに上手に速くパイロンを回ったとしても、旋回を終えて次の目標に向かい始めた時に、次の目標に対するアプローチ地点に好ましい速度で到達できるようにしなければ意味がありません。次の目標に合わせるために今のコーナーの旋回角度、旋回半径、脱出ポイント、脱出速度を作らないといけないわけです。

⑩ライディングスタイルに対する適合性
 マシンの構造的特性、マシンの個体特性、ライダーの体格、ライダーの体力、ライダーの体調などによって、大きな意味でどう走るべきか、走らせるべきかに対する要求条件が変わっていきます。上の全ての要素に対して根本的な前提条件となりますので、それに合わないような走り方をしないことです。

 レベルアップのためには、①から⑦のプロセス要素を一つずつ選んで、それを向上させていく練習をしていくこと、そして一つが向上することによって全体のバランスが変化してきたことによって浮き上がってくる次の弱点を次の課題にすることです。
 「今の自分の課題は倒し込みを速くすることだ」と考えて、それを一所懸命練習します。で倒し込みが速くなってくると「ハンドルの切れ込みが足りない」ということが気になるようになって、次はそれに挑戦するという具合です。

 そして⑨、⑩の要素を考え、一つひとつのパイロンではなくコースを速く走るということに結び付けていくことです。

 これは中級の課題とか、上級の課題ということでなく、多分、永遠に挑戦し続けなければいけない課題なのでしょう。

 次は「あれ」に挑戦しよう!!


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