睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

雨の日読書:高橋繁行著「土葬の村」・幼き日に経験したこと

2021-09-03 20:41:06 | 逝ける人々


講談社現代新書 ISBN978-4-06-522544-8 税別1000円




数日前にYahoo!トピックスで「最後の土葬の村」の
記事を興味深く読んだ。

記事の内容は標題の「土葬の村」を参考に記者が現地に
出向き、直近に土葬に携わった現地の人に話しを聞いて
記事に仕上げたルポルタージュ。

3頁にわたる記事を読んで、
記事に引用されている「土葬の村」を読まなくては、
自分の中でこの記事は完結しない。
そんな使命感に突き動かされてAmazonでポチった。

昼過ぎに届いた新書版「土葬の村」を読むうちに
幼いころに経験した改葬の記憶がよみがえってきた。
母に手を引かれ山の中腹にある先祖代々の亡骸が
眠る墓所にたどり着いた。



母は10年のあいだに父(ぼくの祖父)を鉄道事故で亡くし、
3歳になったばかりの長男は疫痢で没し、教職に就いた
二人の叔母はそれぞれ独立して家を出た。

ぼくの実父は当家で働いていた家政婦さんとねんごろになり
母とぼくを捨てて家を出た。
母ひとり子ひとりが残され、母子家庭の生計は家業を継いだ
母の手ひとつに託された。

この10年ですっかり逞しくなった母は片時もぼくを離さず、
灯油の一斗缶を背負子に入れると「よいしょっ」と背負い
「さ行こう」とぼくの手をひいた。

鬱蒼とした山道をほの暗い懐中電灯と月の明かりを頼りに
登ってゆく...。灯油を配達した帰りは猟師におそわった
ケモノ道を手をつないで駆け下りてきた。
それだもの、改葬にぼくを連れていくのは当たり前。

日本の火葬率は世界トップの99.9%になる、
土葬は日本から滅びゆくモノのひとつ数える。
滅びたら二度と再生できない土葬が今も現存することに
驚きとうっすらとした安堵を感じた。
細々と大事に守ってほしい。

本書から引用
大学紛争で自死した青年の母が詠んだ短歌
『ふびんよと思うはかたえの心にて死したるものの眉はゆるがず』

この本を上梓してくれた高橋繁行氏に感謝、
蔵書印を押し資料として書架に収めよう。


土方ころすにゃ刃物はいらぬ
雨のみっかもふればよい
明日も雨の予報
もう3日だよ

風邪ひくな
明日も元気で
goodnight.




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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2021-09-03 20:56:00
お師匠さんこんばんわpiです
本日も不思議な事にオジーが
宮古島は昔、風葬だったと話して
いたところです
三年過ぎたら、酒で清めて
大きなカメに入れたそうです
毎回、被って面白いですね
返信する
君とぼくのシンクロ (睡蓮)
2021-09-03 21:46:20
明治35年に風葬禁止令が出てからも島の人々は細々と
風葬を続けていたらしい。現在もあるのかは不明。

洗骨は奄美諸島・琉球文化圏に特有の弔いの風習で、
一畳ほどの埋葬スペースに仮土葬し白骨になる頃合いを
計り、掘り上げて骨を洗い大きな甕に入れて納骨する。

土葬できるほどの土地がない島の人たちの智慧が、
洗骨風習として土地に根付いたものと思うよ。
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Unknown (Unknown)
2021-09-03 22:49:58
お師匠さんは何でもご存じですね
piのひいばあちゃん迄は
火葬場が無かったので風葬だった
そうです
さて、piは地道に画像をファイル
します

BGMはウィリー・ネルソン
でいきます
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Good Dream (睡蓮)
2021-09-03 23:14:10
Always On My Mind
これを聴くとナミダが...
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