裏庭のムロにつづく道に
名も知らぬ赤い実がみのっていた
この実を見つけると
6月の花嫁さんの赤い内掛けと
親戚のオヤジの川中島をおもいだす
〔川中島〕
作者:頼山陽
鞭聲肅肅夜河を過る
(べんせいしゅくしゅくよるかわをわたる)
曉に見る千兵の大牙を擁するを
(あかつきにみるせんぺいのたいがをようするを)
遺恨なり十年一劍を磨き
(いこんなりじゅうねんいっけんをみがき)
流星光底長蛇を逸す
(りゅうせいこうていちょうだをいっす)
甲斐(山梨県)の武田信玄と越後(新潟県)の上杉謙信(長尾景虎)は
犀川と千曲川の合流地点川中島近辺で数回の熾烈な戦をしている。
1561年10月、政虎(改名)と謙信の生死を分かつ一騎打ちの場面では、
政虎渾身の太刀を謙信が軍配で受けとめ、肩の傷を負うに留まった。
政虎が謙信を討ち損ねたこの場面を頼山陽が
"流星光底長蛇を逸す"と詠んだと云われている。
〔川中島〕の意味を知るとめでたい席で吟じるのはどうかと思うのだが、
わが身内の結婚式で二度も聞いた。
そのうちの1回は一人娘を嫁にもらう婚家の尊父が
ホールを圧する見事な声量で朗々と吟じた。
「父のおはこ」と嬉しそうな婿さんを見ながら
ははぁ..政虎が嫁さんで、謙信が婿さんか、
それはそれは、軍配をよく手入れせねば
想像たくましく楽しませてもらった。
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