池辺陽の本に載っている池辺の写真が楽しい
の当時の建築家の写真というのは、
いわゆるポートレイト写真で、普通それなりの良さげなポーズをとっていたりする
しかし池辺の場合、自宅でくつろいだ、家族も含めての写真が載っている
そして、もう一つの特徴は、後年の写真では特にそうだが
家の内外がうっそうとまではいかないが、緑が入ってくる
家内部にゴムの木等が繁茂したりしている
一説によれば、植木鉢ではなく地植えをしていたという話がある
写真ではその詳細は分からないが、木の茂り具合でいうと、地植えの感じがする
ただこれらに終わらず、まだすごい特徴がある
池辺は植物に限らず動物も好きだったようで、写真に
鳥、フクロウ、猫?等がいるのだ
それもフクロウまでが、ケージでなく、部屋飼い状態になっているのだ
近年ペットでの室内飼いは珍しくはないが、その当時、かつフクロウを室内で飼っているのは、
全く特殊と言ってよいのだろう。
フクロウは生肉しか食べないし、人に慣れたりする動物ではない
なぜ池辺は、例の少ないこのようなことをしていたのだろう
彼に特殊な友人がいて、その感化を受けたとは信じにくい
池辺というと工業化、モデュール等に結びつきがちだが、
実際は、もっとスケールの大きな人で、各種のことに興味があったのだろうと思う
池辺が、省エネルギーについての文章で、その当時批判していたのだが、
材料やエネルギーを使って何が成し遂げられるかがまず大事で、
効率のように、枠を決めての論には、発展性がないと言ったことを書いていた
池辺はこのように何かににおいて、チャレンジすること、新しい達成を求めていた
寒さや暑さ、多少の不便さ、動植物との共同生活等の困難を差し置いても
今とは異なる新しい未来、進歩史観のようなものが強くあったのだと考える
むろん敗戦からの新生が、彼の底辺にあったと想像できるし、
釜山生まれの彼には、大陸の原風景があったのかもしれない
一見クールそうにも見えるのだが、情念が渦巻いていたようにも思える
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