黒い回転ゴミ日記

日々のあれこれ。

「全景」眺望記録

2006-10-14 16:14:18 | インポート

内覧会のオープン少し前に館内に入ってみると、すでに100人程の人はいたと思う。そのエントランスにも空中高く吊るされたギターをかき鳴らす立体作品と、真っ白なワニの立体作品がある。会場が開くまでの間、本やらTシャツやらを物色し開くのを待つ。約15分後くらいに展示会場がオープンしたので入ると、先ずは3階の会場へ向う。そこから順次見降ろして来る感じらしい。
先ずは数十冊のスクラップブックが出迎える。これがホントに凄い。解っちゃいるけど、やはり凄いのよ。1冊が20数キロのとんでもないスクラップブックもあって・・・この「全景」の始まりのここに、この「全景」の全ての答えがあるのかもしれない。

招待されたお客さんが次から次と入って来て(総数300人弱くらいかな?)、少しゆっくり見られるのかなと思った僕の甘さが一旦吹き飛ばされてガッカリする。それでも各スペースを見進めていくと、一つの言葉だけが僕に突き刺さって来る。
「描く」
その途方もない連続だけが僕の目の前に事実としてあるのです。簡単な言葉で、バカなくらいにシンプルな事実が、きっと誰の手にも届くはずもない現実として目の前にあるのです。何度も胸が熱くなり、涙しそうになるのは何故なんだろう?憧れとか、絶望とか、そんなこちら側のちっちゃな問題が原因で、胸が熱くなっているわけでない事だけは確か。
しかし、そんな不思議な胸の熱さが一気に覚めるような、もう一つの現実がその後起こるのです。見始めて1時間も過ぎた頃でしょうか、主催者側のスタッフが「そろそろ開会式が1階で行われます。参加したい方は1階の会場へ、どうぞ」と各スペースでアナウンスして歩いていたのです。僕は絵が見たかったので、そのまま見続けていると、正に潮が引くように会場から人が引けていったのです・・・もちろんレセプションなので、様々な関係者の方達が多くいるのだろうから、何も不思議な事ではないのでしょうが、展示会場に残ったのは、ほとんど僕一人です。後から入って来た人が4、5人パラパラと現れただけ。そういうレセプションの日だから何もおかしい事はないのでしょう・・・でも、俺は目の前の絵を素通りして開会式になんて行く気になれない。行く気になれないのじゃなく、行けない。でもね、お陰でほぼ一人であのデカイ会場を独占して見る事が出来て、メチャクチャ気持ち良かった~。人が多くてゆっくり見れないな~と最初抱いた感想と真逆の方向へ向かった。ある意味、奇跡。あんな経験はこの先出来ないかもしれない。お陰で、何者にも邪魔される事なく作品とタイマン。嬉しい。
細かに作品について僕が書く事なんて出来ないのでやめておきますが、僕が初めて個展を見に行った時に衝撃を受けた数々の作品にも再会出来、僕が好きだった作品にも再会出来、僕が雑誌を切り抜き「見たい」と憧れていた作品を見る事も出来、店を始めてからなかなか個展を見に出かける事が出来ずに、見逃していた作品も見る事が出来、最後の展示会場を出る時は力尽きる感じだった。
あっ!ひとつだけ作品について。僕がある時に、ある場所で大竹さんと会った時に、大竹さんが作りかけの作品を手に持っていたのだけれど、その時に僕は「これ、どのようなものになるのだろう?」と大竹さんが手に持っていた、その得体の知れない立体を何気に眺めていた。今回、ようやくその完成した姿を10数年の時間を経て見る事が出来たのは、とても嬉しかった。「あっ、あの時のがコレかー!」と。

最後に大竹さんに挨拶して帰ろうと思い、会ったものの、もうその時は挨拶はするものの、あの場で何かを話す事も別になく、だって話す事なんて何もないって!あれだけ作品と対峙したら何もないもん。

寝る前にレセプションの記念品として配られたものを眺めながら、かつて僕が初めてそれらの作品と対峙した時と、昨夜10~30年弱の時間を経て再び対峙した時の、自分の中の違いを噛み締めていた。ある部分は僕の成長した部分だろうし、ある部分は僕の変化だろうし、そしてある部分は僕の堕落だと・・・。そんな思いを巡らせていたら夜明け近くになってしまっていた。

とにかく「描く」という一つの言葉の奇跡だった。
それも大竹さんの全てではなく、きっと極一部の・・・。
大竹さんのアトリエには、そのシンプルな奇跡が何倍もまだ潜んでいるのだろう事を思うと、本当の「全景」を知るのは大竹さん以外にはいない・・・。
しかも、その奇跡は見る者にとって「軌跡の奇跡」であるだけ、大竹さんにとっては日常の一部なのかもしれない。それが凄い・・・。

それが「全景」を眺望した僕の中に残った、心象風景でした。

今日から「全景」のオープンですね。多分、大盛況な事と思います。

下の写真がレセプション記念に配られたもの。
とてもラッキー!
Img_2074


「全景」の展望から戻りました。

2006-10-14 12:16:55 | インポート

昨日、内覧会で大竹伸朗さんの「全景」を見てきました。今日から「全景」が正式にスタートですね。さっき戻って来たばかりなので、感想みたいなものについては後ほど。とにかく半端ない展示の量で、夕方5時から8時までの内覧会のフルタイムを使っても時間が足りない。見る側も作品とのタイマン勝負です。パワーを使い切りました。

店の留守番してくれたA子ちゃん、ありがとう!