ぼちぼち スウェーデン

スウェーデンで見たこと、聞いたこと、考えたことを、同時代に生きるみなさまとシェアーを!

遠来の客と珍味を食す 

2012-02-27 | 旅行・食べある記

 

一緒に仕事をした西下先生がおいでになるという。今回は、ぜひ、スール(シュールでもよい)ストリョンミングを食べてみたいとのことであった。この一風かわったスウェーデンの珍味のファンを増やしたいわたしには、異存のないリクエストであった。

ただちょっと、う~んと考えたのは季節が正反対であることだった。これは古くから8月に食べる習慣になっている。間違っても、雪に囲まれている季節に食べるものではない。

しかし、遠来のお客の特別の要望であり、じゃ、やるかとなった。

 

我が家には2007年度の製品が冷蔵庫に2缶あった。どういうわけか食べ損ねたのがついつい年を越してしまっていたのだ。新しく買った2缶と一緒に開けて見ることになった。

我が家では缶はいつもトイレで開ける。この場所は性格上、換気がよいからだ。

写真の手前が新しい缶で、後ろ2つが4年ものである。よく見ると後ろの缶詰は少し膨らんでいるのがわかる。ガスがたまっているのだ。

 

  

缶を開けたところ。これは去年の夏のもの。魚片がすんなりと美しくかがやいている。

 

 

これが4年もの。

 

中の液体がかなり濁っている。そのうえ、魚の下にあったガスが泡となり、ボコッとあがってくると、魚が微妙に動くではないか。まるで、缶詰の中で4年間も生きていたようで、さすがのわたしもたじたじとなった。試食するつもりだったのだが、おたおたしている間に、もっとおたおたしていたCやんにトイレに全部流されてしまった。残念!

 

 さて西下先生の反応は?

それからいよいよ西下先生の一大試食が始まった。食べ方については先生が詳しく書いておられるので、それを読んでいただきたい。ようは北方で作られた特別なうす焼きパンと、これも特別なじゃがいも、それにみじん切りの玉ねぎとのコンビで食するのだ。

http://blog.goo.ne.jp/kyotonc/e/8cb98259b51377eefc926a564aa7d196

 

 

さて、西下先生は、生まれて始めての食べ物をどう思われたのだろうか。

次の3枚の写真は全然説明る必要がないほど、状況を雄弁に語っている。

 

まず、最初の一口を大きくほうばる。

 

 

噛みなが注意深く吟味・・。

 

 

 わーあい、うまい!

 

 

 

 

先生は幸運だったよ。

もし、「ケッ、ひどいものを食わしやがる」なんて、表情になっていたら、ホスト側の我々から袋叩きにあっていたに違いないのだから。これは冗談。好きにならない人だって勿論いる。

 

 スールストリョンミングとはどんなものか

ここで長い間、これを食べてきた人間としての感想を言おう。

ちょっと慣れると言われているほど臭くはない。臭くてひどい食べ物だという風説は日本だけではなく、スウェーデンでもストックホルム以南ではまかり通っている。「あんなものが食えるか」という人に、試食したかどうか聞いてみるとよい。実際に食べて見たことがない人が結構多い。ことスールストリョンミングに関しては、それを「食わず嫌い」として済ませてほしくない。じつに微妙で絶対なる珍味なのだから、少しくらい下水のにおいがするからといってあっさりと諦めないでほしい。

 

じつは、本当に強烈なのは一夜経ったあとの残りだ。次の朝、一緒に飲むと美味しいスウェーデン焼酎(ブレンヴィン)を飲みすぎた頭でその匂いを嗅いでごらん。とたんに、ある場所に駆け込みたくなってしまうだろう。

それに、缶詰の中の液を洋服にこぼしたりしたら、確かに臭くなる。また、缶を開けたトイレは確かに2~3日、臭いが残る。それだけのことなのだ。

 

我々好きな者にとっては、缶切りを開けて、最初に「シュゥゥ~」という音と共に出てくるにおいがたまらない。パブロフの犬並みに、生つばがどっと湧き出す。もうすぐ食べられるのだという期待感でいっぱいの、たまらなく切ない数分間がその後続く。

 

西下先生も書いておられるが、缶詰には骨付きと骨抜きの2種類ある。もちろん美味しいのは骨付きであるが、骨を自分ではずす作業を行わなければならない。そのあいだが、どうももどかしくて、あせってしまう。

 

COOPの魚売り場にいるライラはそのため、缶は必ず2種類買うのだそうだ。まず、骨なしのを開けて、一缶全部を平らげて落ち着いてから、骨つきのに取り掛かるのだそうだ。

ふつう、我々には1缶を二人で食べて丁度いいのに、彼女はすごい。

 

スールストリョンミングは確かにおいしい。昔の人、例えばCやんの祖母などは朝から食べていたそうだが、塩っぽくて喉が渇くので、年に数回程度が適当だろうか。しかし、今回はあまりにも美味しく楽しかったので、またすぐにでも食べたい気になっている。

 

 


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