ぼちぼち スウェーデン

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障がい者の就業

2011-01-08 | メディア情報

心身的に何らかの障害のある者の就業についての明るい情報を日刊紙DNで読んだ。

 

機能障害をもつ者を積極的に採用する企業は、スウェーデンには少ないが、つぎに紹介する3企業は模範的な存在だ。

 

2000以上の店舗を持つ北欧最大の食料品小売店チェーンのイーカ(ICA)は、2009年に「われわれはもっと出来る(Vi kan mer)」というプロジェクトを、国営のサムハル(Samhall)と、自治体(SKL=県と市町村)と共同で立ち上げている。

 

障害をもつ人を、組織下の小売店舗で積極的に採用するのが目的である。プロジェクトは2009年に発足したが、3年間で1000人の採用が目標である。1年経った現時点では、200の店舗で合計400人が採用されている。

 

通常、その人たちの給料は、一部、あるいは全額を国、あるいは自治体からの援助金で賄われる。この国には、誰もが仕事をもつのが当たり前になっていて、一歩進んで、仕事をもつのが人の権利とまでなっている。何らかの理由で、仕事がもてない人には国が援助するという仕組みだ。だから失業者は勿論のこと、何らかのハンディのため就職出来ない場合、国が工夫をして就業できるよう計らうことになっている。サムハルその手段の一環である。それにより、就業という形の社会参加が可能になり、その人の生活の質(QOL)も高くなるというという考えである。

 

 

   食料品とハンバーガーチェーンの積極策

 

とにかく、イーカがプロジクトを立ち上げるきっかけとなったのは、社長ベングトソン(Bengtsson)が、出演者全員が、何らかのハンディキャップをもつ劇団Glada Hudic の公演を観たことによる。感激した社長は、自分たちも社会に貢献できると考えた。それに、このような企画は会社の宣伝にもなると、 この経営者は考えた。

 

ハンバーガーチェーン店Maxは、すでに2004年にサムハルと共同企画を立ち上げている。現在では80ある店舗のほとんどに、機能障害のある人が最低1名は働いている。当面の目標は、1店当たり2名にすることだ。

 

3番目の企業である清掃などサービス提供会社のSodexoは、ストックホルムを含め4都市で雇用を行っている。

 

サムハルによると、スウェーデン企業のうち、機能障害をもつ者の採用に積極的なのは、20社に1社である。それも減少の傾向にあるが、サムハルからの従業員がいることをオープンにする企業が増えているという。少し前まではそれを公表したがらない風潮であった。従業員の給料の補助金を国から受けるのを後ろめたく思うからだろうか。

 

  テレビのCMで人気者

 

また、イーカがテレビに流しているCMが、効果をあげているとサムハルは見ている。そのCMは、障害をもつ人が他の従業員と混じって、研修生として働いている設定になっていて、かなり人気がある。サムハルとしては、その人を早くCMで、「正社員」にして欲しいと言っているが・・。

 

ハンバーガー店Maxは、直接サムハルから人選し、9週間の試用期間を経て採用している。Adhdやその他知能障がい者が対象だ。主な職務は、客用テーブルの片づけや、客の案内などだ。この人たちは仕事に慣れるのに少し時間がかかる。「しかし、自分の仕事を愛し、慣れてくるとふつうに採用した者より優秀な従業員になることが少なくない」とある。

 

世の中に、希望の星をもたらす、新年にふさわしいニュースだと思う。