ぼちぼち スウェーデン

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組閣で穏健党の勢力拡大

2010-10-07 | メディア情報

  保守ブロック2期政権の組閣なる

10月5日、国会が開会され、保守ブロック政権の閣僚が決まった。総数24名で、前回より2名増加している。

前回の選挙に比べ、穏健党の得票率は増加し、その分、連立小党が軒並みに得票率を下げている。結果として、穏健党のブロック内での勢力が強くなったのだ。過去の経験では、複数の党による連立政権は、小さい党に不利に作用しているが、今回もやはり、そのような 結果になった。「同じブロック内で、大きい党が小さい党を食って、さらに大きくなる」と言われている。

前回、2006年時の閣僚選出は、各党の投票率に比例であったが、今回は「食われた」3小党(国民党、中央党、キリスト教民主党)を刺激しないよう、3党の閣僚数を同数のままとし、その代わり、穏健党から新たに2名を追加し、結果として穏健党の勢力を強めている。

党別では、穏健党(13名)、国民党(4名)、中央党(4名)、キリスト教民主党(3名)。なお、閣僚24名のうち、女性は 11名。


今回の大きな特徴は、財務相
アンデシュ・ボリィ(Anders Borg)の勢力がさらに強くなったことである。財務部門と、国有企業関連はすべて、彼の手元に集中されることになった。この分野の政策決定については他の連立党の影響力は弱くなった。この一党独裁による、政策の独走・行き過ぎを危惧する声もある(詳しくは、のちに「テービィ症候群」と呼ばれることになった、9月22日のブロク「選挙速報 2.地方選――穏健党党首の地元で惨敗」を参照されたい)。 

それ以外にも穏健党は、国防、法務、社会保障のような中枢部門を手中におさめ、支配力を強化している。保守ブロック内の得票率をみると、穏健党は一党でブロック全体の61%を獲得しているが、閣僚数の比率は54%でしかない。しかし、穏健党の管轄下になる国家予算は全体の78%と大きい。

  多数の外国出身者が議員に選出される

外国人排斥を目指すスウェーデン民主党が国政に参加することになり、世間を騒がせている半面、今回の選挙では多数の外国出身者が議員に選出されている。

外国生まれの議員は24名で、出身は16カ国からなっている。前回、2006年度は16名であった。 
 
政党別 出生国別:

社会民主党:イラン2名、トルコ、フィンランド2名、旧ユーゴスラビア2名、エリトリア

穏健党: イラン、ポーランド2名、スリランカ、ドイツ、ソマリア

左翼党:イラン、デンマーク、チリ

キリスト教民主党:トルコ

環境党:トルコ、イラク2名

国民党:リバノン、シリア、ブルンディ

中央党:なし



 最高・最年少議員

国会議員349名中、最高年齢はバルブロ・ヴェステーホルム(Barbro Westerholm) 77歳で、国民党所属。いったいに、議員の年齢は低下の傾向にある。

最年少者は、穏健党の、ハニフ・バリ(Hanif Bali) 23歳。両親は政治難民としてイランからイラクに逃避するが、そこも政情が不安になったため、3歳のハニフを安全なスウェーデンに送った。

滞在を許可されたハニフは10か所の養家を転々としながら成長し、最年少の国会議員となった。外国人用の完璧なサクセス・ストーリーで、新しい支持層を開拓のための穏健党のおいしいエサとなったとわたしはみる。

                    (DN 2010-10-03、2010-10-07