聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

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後期臨床研修医募集中!

聖マリアンナ医科大学では平成26年度後期臨床研修医を募集中! 詳しくは聖マリアンナ医科大学臨床研修センターまでお問い合わせ下さい!

自分の研修スケジュールを立てること忘れずに!

2011-02-18 01:10:07 | お知らせ
今頃送られてきた資料を探している学生もいるのかも
その資料の厚さにさらに驚いている医学生もいるのかも

研修スケジュールを考えないといけない
これって大変な作業です
国家試験が終わってからで結構です
一人一人きちんと考えて作成してください

わからない人はお尋ね下さい
メールでもいいですよ
こちらまでメールください
rinsho-kenshu@marianna-u.ac.jp

とにかくこれまで聖マリで研修した研修医に
一人として同じローテーションをした方はいません

ここがポイントです

きちんとしたサポート体制があるからできることです

ぜひぜひ自分の研修をしっかり考えて
研修スケジュールを作成してください
そして研修到達目標まで割り振ったローテーション時間割を作り上げましょう

国家試験終わったら
きっと想い出作りの旅行を計画していたのでしょうけど
それどころじゃないですよきっと
期日までに忘れずに提出してくださいね

臨床現場における指導のポイント~指導医ガイドラインより~

2011-02-17 22:20:00 | ポートフォリオ評価
指導医ガイドラインより指導方法の理論について解説する
まずは畑尾先生による学習の目標と方略から

望ましい学習活動の特徴が記載されている
「積極的な(学習への)参加」や「罰せられるよりも報われる(学習)」が望ましいものであり
「具体的な目標を知っている」ことが学習への動機づけになることも大切とある


教育心理学では、望ましい学習について次のような原則的な特徴が挙げられている。
1.積極的参加者であり、消極的な受け手ではない。
2.現在の学習の具体的な目標を知っている。
3.学習目標は何ら努力しなくても到達可能なほど低くもなく、絶対に到達できないほど高くもない。
4.学習したものを新しい問題に巧みに応用できた場合には大いに満足し、また、いろいろな場合に適して
みて、その有用性の限界を知る。
5.いろいろな学習方法や資源を利用でき、また自分のペースで学ぶことのできる方法を選べるチャンスも
与えられる。
6.修得した知識や技能を、長く自分のものとして活用できるよう反復練習する。
7.学習の途次に生じるであろう矛盾や失敗に対処するチャンスが与えられる。
8.学習成果が直ちにフィードバックされ、自己評価能力が高められる。
9.学習目標と評価法との関係を知っている。
10.失敗に対して罰せられるよりも、成功に対して報われる。
(臨床研修指導医講習会資料等より変更)

臨床研修も学習であり基本的な理論は同じといえる


教育目標の分類(教育目標分類:taxonomy)
教育目標を明確にすることは、関係者の教育に関するコミュニケーションや理解を深めるとともに、教 育する上での基準設定や改善活動などにつながる。この教育目標の明確化に有用なのが、教育目標分類(taxonomy)である。これは、学習者(研修医など)が習得する能力を、認知領域(知識)、情意領域 (態度)、精神運動領域(技能)の三つの領域に分類したものである。

これらについてはこのブログでもこれまで何度となく記事にしてきた
理論はこのようなものに基づくのである


教育目標分類の3領域(3 domains)
        浅い        深い
認知領域    想起     解釈        問題解決
情意領域    受け入れ    反応       内面化
精神運動領域  模倣     コントロール   自動化

この分類は、教育とは学習者の行動に望ましい変化をもたらす(何かができるようになる)プロセスである、という考えが基礎になっている
認知領域は、暗記したことを思い出す(想起)レベルから、解釈、問題解決という深いレベルまで、深さによって分類され、どのレベルを目標にするかも意識して目標設定することが望ましい。態度や技能についても、深さの分類が提唱されている。

臨床教育の特徴
この指導医ガイドラインでは
臨床教育の7つのポイント-Stanford Faculty Development Program-
が紹介されている
Stanford 大学の Kelley Skeff らによって提唱されている教育技法であり
以下の 7 項目をポイント としているとある
教育の雰囲気をよくする
教育を適切にコントロールする
目標の明確化する
理解と定着化の促進のための工夫をする
評価の工夫をする
フィードバックの仕方に注意する
自己学習の促進する

伴先生は以下のように紹介している

1.教育の雰囲気をよくする  
勧められる具体的な行動
1)学習者を参加させる
指導医もチームの一員となって、研修医に一定の役割を与える。また、カンファランスなどでは一方的なレクチャーはあまり勧められない。ディスカッションに参加を促す。
2)馬鹿にしたり、皮肉を言ったりしない
(学習者である研修医を)馬鹿にしたり、皮肉を言ったりするような対応は、大人でも、子供でもプラスに働くことは殆どない。改善 すべきことを厳しくフィードバックするのと、このような対応とは全く異なる。
3)指導者も自分の間違いや限界を認める
特に若手の指導者は、自分の知らないことや、間違いを恐れる。しかし指導する意義は、知らないときにはどう調べるか、失敗にどう対処するかなどを見せることの意義のほうがはるかに大きい。

2.教育を適切にコントロールする
勧められる具体的な行動
1)学習者のレベルに応じて指導スタイルを変える
学習者(である研修医)には、いろいろなタイプの人がいるし、また臨床能力のレベルによっても指導法を変えるべきである。不安の強い研修医には、最初はある程度指示的に対応する。
2)ペースを変える単調な進め方でなく、メリハリをつける
特に質問が出たときには “Magnify the question !” いろいろその質問から議論を展開できれば最高である。「その質問はあとにしなさい」などと言ってはいけない。
3)教育の場の現実的な制限を考える
あれもこれも教えようとしてはダメ。教えたいことの3-4割を目安にする。また、立て込んでいる外来では、ゆったりした外来とは教え方もおのずと異なる。

3.目標を明確化する
勧められる具体的な行動
1)目標を明確にし、繰り返し述べる
目標がないところには評価は無い。また、学習者も行き先に戸惑う。
2)目標のもつ意味を、例を挙げて述べる
具体例が最も分かりやすい。
3)学習者の目標を確認する
あてがいぶちの目標は、必ずしも学習者のニーズに合致しない。自分で立てた目標には動機付けも伴 う。

4.理解と定着化の促進のための工夫をする
勧められる具体的な行動
1)内容のサマリーを挿入する
これは、知識の理解と定着化のための工夫の一つである。最初にアウトラインを示し、途中途中で要約し
ていく。
2)態度の定着化のための工夫をする
望ましい態度は褒め、改善すべき態度は、あまり時間をおかずにすぐにフィードバックする。また、その
際無用にプライドを傷つけぬよう配慮する。
3)技能の定着化のための工夫をする
“See one、do one, teach one”とは、昔から米国の臨床教育で言われてきたことであるが、do oneの前に、read oneを私は入れている。すなわち、手技について一度自分で教本に当たって勉強しておくように勧めている

5.評価の工夫をする
勧められる具体的な行動
1)学習者の行為を直接観察する
伝聞で評価をしてはいけない。評価は自分で観察したことに限るべきである。
2)評価の順番に留意する
評価の順序は極めて大切である。「自己→同僚→指導医」の順が望ましい。 まず指導医から評価に入ると、negative feedbackが多くなる。まず研修医に自己評価してもらって、出来ていなくても自分でそのことに気づいている場合にはpositiveに評価する。これは教育の雰囲気にも大きく影響する。同僚評価も大切。
3)学習者の気付きをpositiveに評価する
このことの大切さは前項で述べた。

6.フィードバックの仕方に注意する
勧められる具体的な行動
1)教育の雰囲気を悪くしないフィードバックの仕方に配慮する
(1)まず良い点を褒める(strength first) (2)改善すべき点の指摘後も、励ましの後押しをする
2)できるだけ速やかに行う
定期的なフィードバックはあまり効果がない。褒めるも叱るも早めに!
3)学習者が納得できるような仕方で行う
褒める場合も叱る場合も具体的な学習者の行動を対象とする。また、できるだけ具体的な、建設的なアドバイスをする。例;「10分早く来るようにしたらどうか」

7.自己学習を促進する
勧められる具体的な行動
1)指導医の知らないこと・コンセンサスの得られていないことを課題に出し指導医も調べてくる
ロールモデル(模範・お手本)を示すことは、百聞は一見にしかずである。
2)学習者の興味を伸ばす
よほどその方向性が間違っていない限り、学習者の興味のあることを伸ばすことが、最も効果的かつ効率的な教育効果を生み出すであろう。
3)自己学習用の教材を示す
自己学習をするためのソースを示すかどうかは、時間的余裕などの状況による。

この「臨床教育の7つのポイント」は、伴先生が1995年にこのスタンフォードのプログラムに参加して以来、
実際に自分でも実践し、総説論文にも発表してきた。
日本でも少しずつ広まってきているが、もっともっ と多くの臨床研修指導医に使ってもらいたいスキルだと感じているとコメントしている。
【参考文献】
1. 伴信太郎:指導医の役割とノウハウ.JIM 6(7), 592-596, 1996.
2. 伴信太郎:内科臨床教育の実践技法.最新内科学体系 プログレス1;総合診療、30-37. 中山書店、東京、1998.

つまり
臨床における研修でも医学生の臨床実習でも同じことであろう
いかに指導医が意識しなければいけないかということがわかる

臨床指導医となったからには
常に意識しておかなければいけないことだと考える

研修スケジュールを忘れずに

2011-02-16 21:27:49 | お知らせ
もう国家試験が終わりました

さてあらためてマッチされた皆さんようそこ聖マリアンナ医科大学病院群の臨床研修へ
お待ちしていました

さ~てご存じのように
私たちのご用意した臨床研修プログラムは
とにかく全員ローテーションが異なりながらも
きっちり研修到達目標を達成できるようにお手伝いしながら
2年間充実した臨床研修が行えること
非常に厳しい研修修了判定であることは否定してません
個人のキャリアデザインを重視しながら
でもポートフォリオといったパフォーマンス評価できっちり研修をの振り返りは行ってもらいます

それでいて聖マリアンナ医科大学の臨床研修の特色である
自分で考えて実践できる診療能力を高めることができるように
個人で選べる様々な選択プログラムがあること

まさに研修医それぞれが自分で考えて自分で学ぶ姿勢を常に求められる2年間
場合によってはすっくり進むこともできるし
自分の体力知力に合わせてたくさん研修もできます

どうぞ本学での研修の2年間でじっくり力を蓄えてください

さて
もうすぐ皆さんの手元に研修ローテーションの希望申請書が届くはずです
どうぞ手にとってよくよく目を通してください

そして十分に練られた本学の研修ローテーションの中身を感じてください
とにかく
本学ほど研修到達目標を意識させる研修はないでしょう

そこがとっても大切なところ

そうそう
マッチングでの成績によって多少希望が叶わない場合もあると思います
でもご安心下さい
これからです大事なのは
オリエンテーションまでにじっくり考えて提出してください

仲間同士で話し合っていただいても結構ですけどね

とにかくオリエンテーションまでは何度でも研修プログラムを読み返して
自分の2年間を妄想・・・いえ想像してみてください


国家試験も終わったので・・・・!

2011-02-15 00:23:18 | Weblog
さ~国家試験も終わりました
あとは発表を待つばかりです

さて
そうなると楽しい卒業旅行しか頭にないでしょうが

ちょっと待って下さい

その前に
自分の研修に向けた目標設定と
研修スケジュールを作って提出することを忘れないようにお願いします

聖マリアンナ医科大学病院群では
研修医が一人一人自分で研修スケジュールを立てなければ研修そのものが始まりません

どうぞ楽しい卒業旅行に行く前に必ず提出してください


久々の大雪で

2011-02-14 22:26:20 | Weblog
中央道を帰ってきましたが
いや~久々の大雪で視界は悪いし
みんなゆっくり走ってました

でもなぜかそれ以上に八王子過ぎてからの方がもっとゆっくり
たぶんタイヤ変えてないんだろうな~って

それより高速降りて大学の周辺を走っていたときの方が車滑ってました

住み慣れた環境って怖いですね



みんな気をつけて帰りましょう

研修医の自主性に任せて

2011-02-13 10:13:53 | 指導医日記
川崎市の臨床研修病院で研修している研修医が定期的に集まっての勉強会があります
定期的に集まってそれぞれの経験した症例や知っておくといいような症例を
グループディスカッションするものです

今度は川崎市立多摩病院も主催するということで
研修医に事前に伝えたところ
「こういう内容でやってみたい」との心強い言葉

もともと研修医の視点で考えるという趣旨なのだから
研修医が興味をもつ内容でないと意味ないと思っていたところに
研修医がみんなで集まって決めたとなれば
誰もそれを止めることなんか考えていません

失敗?
何をもって失敗なのか
症例を診る診療中に間違いに気付き指導医のもときちんと診療したことを振り返り
こういうことを考えていたら見逃した
症状よりも画像所見に気を取られたなどなど

個人的にはこれこそが振り返りだと思っていますから
ここはひとつ研修医の自主性に任せていこうと考えています

当日は内科DRの送別会もあって研修医はそちらにも参会したいので
時間厳守で頑張ります!って発言もあり
それもまた嬉しい限り

そうそう
お世話になった先生の門出です
きちんと挨拶したいなんていい心がけではないですか

ちゃんとみてますから



あっという間に時は過ぎ・・・・・

2011-02-12 21:22:09 | 指導医日記
もう国家試験ですか・・・・・・早いですね
気づいたらもう1年が過ぎていました
ポートフォリオ読み込みが終わると修了判定になって
気づくと研修オリエンテーションも始まってしまうんでしょう

早いですね

研修医諸君も去年の今頃は一生懸命試驗勉強して
まずは合格を目指していたはず

今は・・・・白衣に身を包んで外来で診察している

ま~そういう自分も20数年前はそうでした

でも時代が変わって世の中は研修必修化
絶対に今の研修医の方が実力は上だろうなって思います

なんだか至れり尽くせり
確実に環境は整っている

でも診療を行う姿勢に関しては大差はなさそうです
いろんな意味で
はい

態度と姿勢というのは隠れたカリキュラムの方が影響は大きいのかも知れませんね

これから自分はどうなるのかな~?なんて考える今日この頃です

こうして読み込まれますポートフォリオ

2011-02-11 22:15:38 | ポートフォリオ評価

これが一人分のポートフォリオになります
今年は平均で12冊くらいになっています

中身はこんな感じで
まずは研修目標と研修スケジュールが示されて

研修の2年間を振り返った凝縮ポートフォリオ
そこで自分がどんな研修を送ってきたのか示されています
続いて教育プログラムへの参加記録があって
モーニングレクチャーやらランチョンレクチャーの記録・資料
それに経験目標にある手技を漏れなく一覧表にしてあるもの
それぞれ診療科の到達度評価表が挟まれています


感動したのは診療科ごとの指導医のコメント
本当に真剣に一人一人に暖かい言葉が贈られています
どんな風に研修したのかきちんと伝わってきます


これらの内容をしっかり読み込んでチェックしていきます
これまで解説してきたように単なるファイルではないのです
このポートフォリオの中に自分の強みや弱いところをきちんと証拠とともに示しているのか
そこをきちんと評価していきます

これが質的評価の由来です
この作業をさぼってはいけません
このポートフォリオが本当に優れているのかチェックです

その上で研修修了とみなせるだけの証拠を綴じ込んでいるのかということです

これは別の研修医のポートフォリオです



この棚の中に5人分です
凄くなくですか?


このように自分の研修の成果を一覧表にされたら感動します



以前ほかの臨床研修病院の研修医に言われました
「このポートフォリオは凄いとは思いますがこれで何が評価されるのかわかりません」
「少なくともこれをうちの病院で採用したら希望しないですね」

もちろん本学の研修医のすべてが理解しているわけではないでしょう
本当の意味を十分に理解できていないかも知れません

でも
指導医の先生にお聞きしたい
この分厚いポートフォリオを持って面接に来たら
先生方は不採用にするのでしょうか?

でも研修医を世に送り出すまでが僕たち指導医の使命です
だからきちんと読み込みます

頑張るぞ~!

読み込み始まりました

2011-02-10 22:16:07 | ポートフォリオ評価
さ~いよいよ読み込み作業が始まります
複数名の指導医によって
入念に読み込まれていきます

まずそれぞれの診療科における研修到達目標の到達状況を確認
さらに教育プログラムへの参加状況をチェック
そして自己評価やSignificant Event Analysisを読み込んでいきます

夜な夜な臨床を終えた指導医たちが
研修医のポートフォリオを読み込んでいきます

ちょっと大変ですが
まず最初にサインをしてきました

数日に分けて読もうと思っています

それにしても分厚いポートフォリオだな~って感心してます