『ポートフォリオ評価は自らの学習の評価を行う自己評価である』
ポートフォリオ評価が注目された当初の初等教育での言葉を借りるとこうなる
ポートフォリオ評価では
「指導医が研修医の研修における研修学習活動を評価する」という従来の在り方をとらない
ということであり
「研修医自身が自らの研修活動を評価する」というものである
研修におけるポートフォリオ評価とは
一口に言って「集めて・選んで・振り返る」活動を通して
研修医の自分自身の自己学習活動を反省する「メタ認知」を育てる評価活動である
しつこいようだがポートフォリオ評価とは,
研修医自身が自らの学習状況を振り返って自己評価し
自らの学習を改善するための評価活動である
であるとすれば
ポートフォリオを用いた評価で研修修了を判定するのはどうなのか?
あくまで形成的評価ではないのか?という素直な疑問も生じるはずである
研修におけるポートフォリオ評価には
二つの目的があろう
ひとつは研修医自身がポートフォリオを用いて自己の研修を振り返る自己評価
と
指導医がポートフォリオを用いて研修医の研修状況を見極める他者評価である
作っているポートフォリオを経時的にみれば
それぞれの研修における歩みや
研修において到達している”強み”なり”弱み”が分かり
それによって次に取り組むべき課題が時系列的に明らかになるといえる
とくに臨床研修が必修化された現時点では
研修到達目標の達成を証明しなければならず
研修の足跡と達成された目標が綴じ込められたポートフォリオは
まさに最適な証拠となる
であるからこそ
ポートフォリオを用いた評価は活用できると判断してよいと思う
決して未修了とするためではなく
修了と判断するための最適な証拠となりうると我々は考えている
もしルーブリックでできあがったポートフォリオを評価して
その完成度をフィードバックすれば
さらに研修医を刺激することにはならないだろうか
さらに学習意欲を刺激されないだろうか
評価は学習であり
学習は評価でもあるという
構成主義の考え方でとらえるなら
学習者である研修医は「活動的な探究者であり同時に意味や知識の構成者」である
研修におけるプロ意識の養成において
主体的に研修において学習を展開する活動を通して
学習をコントロールする力であるいわゆる「メタ認知」を育てようとするものことが望ましい
まさに自らの学習状況を振り返って自己評価する活動が研修時代には不可欠なのである
もし2年間の研修において
形だけのポートフォリオを作成してきた研修医がいても
それは単に『行動の変化』であって
『態度の変化』までは至っていなかったのである
ポートフォリオ作りを通して
自分で考え自分で弱みと強みを正直に記載したポートフォリオを作ってこそ
我々は『態度に変容を来した』教育的効果が得られたと判断するであろう
難しくなってしまったが
意味があって始めたポートフォリオ評価であるが
その背景に興味を持つ指導医や研修医が増えたことはよい兆しなのかもしれない