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聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

聖マリアンナ医科大学病院に勤める研修医たちの日々の情報をリアルにお届けいたします。

臨床研修に関する合同調査結果

2007-09-15 14:34:28 | プログラム解説
厚生労働科学研究費補助金研究「新医師臨床研修制度の評価に関する調査研究」班及び「卒前教育から生涯教育を通じた医師教育の在り方に関する研究」班において、臨床研修に関する合同調査報告を行ったので、その結果のポイントをご紹介します。
<2年次研修医への調査より>
1.臨床研修体制・プログラムについて
(1)研修体制等についての研修医の満足度は、大学病院より臨床研修病院において高い。昨年度(2年次研修医)の満足度と比較すると、病床規模が小さい病院ほど満足度が高いという傾向が弱まっている。
(2)研修体制等で満足している点、改善すべき点
1)研修体制等で満足している点としては、臨床研修病院においては「職場の雰囲気がよい」(43.0%)、「研修に必要な症例・手技の経験が十分」(42.6%)、「指導医の指導が熱心」(38.8%)、大学病院においては「指導医の指導が熱心」(29.0%)等が多い。また、病床規模の小さい病院において「職場の雰囲気がよい」等の点が挙げられている。
2)研修体制等で改善すべき点は、臨床研修病院においては「教育資源(図書など)が足りない」(9.0%)、大学病院においては「待遇・処遇が悪い」(24.4%)、「雑用が多い」(24.3%)等が多い。
(3)研修プログラムについての研修医の満足度は、大学病院より臨床研修病院において高い。昨年度(2年次研修医)と比較すると、病床規模が小さい病院ほど満足度が高いという傾向が弱まっている。
(4)研修プログラムで満足している点、改善すべき点
1)研修プログラムで満足している点は、臨床研修病院においては「プライマリ・ケアの能力を身につけられる」(41.1%)、「複数の科を回って進路を決める参考になる」(29.5%)、大学病院においては「複数の科を回って進路を決める参考になる」(26.6%)等が多い。また、特に病床規模の小さい病院においては「プライマリ・ケアの能力を身につけられる」が多い。
2)研修プログラムで改善すべき点は、臨床研修病院においても大学病院においても「研修期間を長くしたい科と短くしたい科がある」(15.3%)等が多い。
3)到達目標が十分、もしくはほぼ達成されたとした研修医の割合は、全体では62.6%、臨床研修病院では68.4%、大学病院では55.0%であった。
2.臨床研修修了後の進路について
(1)研修後に専門としたい診療科
専門とする診療科が決まっていると答えた3,847人のうち、最も多い科は内科で11.3%であった。また、小児科は7.6%、産婦人科は4.3%、麻酔科は6.8%であった。小児科、麻酔科に関しては、20代医療施設従事医師診療科別割合(平成14年)よりも高くなっている。
(2)診療科を選んだ理由
「学問的に興味がある」(71.2%)、次いで、「やりがいがある」(63.0%)が多く、精神科、放射線科、皮膚科では「学問的に興味がある」が80%以上となっており、産婦人科、外科、小児科、循環器科では「やりがいがある」が70%以上となっていた。
(3)専門としたい診療科の変化と理由
臨床研修の前後で将来専門とする診療科を変えた研修医は、1,912人(49.7%)であった。また、理由は「研修してみて興味がわいたから」(66.7%)が最も多かった。
(4)性別にみた専門としたい診療科
女性医師の割合が高いのは、皮膚科(68.8%)、産婦人科(68.1%)、麻酔科(50.6%)等であり、女性医師の割合が低いのは、心臓血管外科(7.7%)、整形外科(10.4%)、脳神経外科(11.7%)等であった。

<1年次研修医への調査より>
(1) 臨床研修体制・プログラムについて
(1) 現在研修している病院に応募した動機 現在研修している臨床研修病院に応募した動機としては、臨床研修病院では「症例が多い」(43.3%)、「研修プログラムが充実」(37.5%)、大学病院では「出身大学だから」(53.5%)が多い。
(2) 研修体制等についての研修医の満足度は、大学病院より臨床研修病院において高い。
(3) 研修体制等で満足している点、改善すべき点
1) 研修体制等で満足している点としては、臨床研修病院においては「職場の雰囲気がよい」(44.1%)等、大学病院においては「指導医の指導が熱心」(31.3%)等が多い。
2) 研修体制等で改善すべき点は、臨床研修病院においては「教育資源(図書など)が足りない」(8.7%)等、大学病院においては「雑用が多い」(15.6%)「待遇・処遇が悪い」(13.9%)等が多い。
(4) 研修プログラムについての研修医の満足度は、大学病院より臨床研修病院において高い。
(5) 研修プログラムで満足している点、改善すべき点
1) 研修プログラムで満足している点は、臨床研修病院においては「プライマリ・ケアの能力を身につけられる」(40.6%)、「複数の科を回って進路を決める参考になる」(27.2%)、大学病院においては「複数の科を回って進路を決める参考になる」(27.1%)等が多い。
2) 研修プログラムで改善すべき点は、臨床研修病院、大学病院ともに、「研修期間を長くしたい科と短くしたい科がある」がもっとも多い。

<病院に関する調査より>
(1) 有効回答率
対象病院数 938施設(臨床研修病院833施設、大学病院105施設)
回答病院数 830施設(臨床研修病院725施設、大学病院105施設)
有効回答率 88.5% (臨床研修病院87.0%、大学病院100%)
(2) 研修医からの評価が高い点 研修医からの評価が高い点として、臨床研修病院においては「指導体制が充実」(27.3%)、「研修プログラムが充実」(25.0%)、「病院の施設・設備が充実」(22.2%)が、大学病院においては「研修プログラムが充実」(11.4%)等が多く挙げられた。
(3) 定員確保のために改善すべき課題 定員確保のために改善すべき課題として、臨床研修病院においては「指導体制が充実」(28.6%)、「臨床研修予定者等への情報発信の充実」(23.6%)等が、大学病院においては「処遇・待遇の充実」(46.7%)、「臨床研修予定者等への情報発信の充実」(38.1%)等が多く挙げられた。
(4) 研修プログラムの特色 研修プログラムの特色として挙げられたのは、臨床研修病院では「特にプライマリ・ケアの習得に力をいれている」等が、大学病院では「選択期間を長く設けている」等が挙げられている。
(5) 研修医の処遇・待遇について
1) 研修医の事故に備えての病院賠償責任保険での保障 臨床研修病院で80.7%、大学病院で81.9%が保障されていた。
2) 研修医の事故に備えての医師賠償責任保険等の取り扱い 臨床研修病院では「病院の負担で、医師賠償責任保険に加入させている」(32.1%)等が多く、大学病院では「医師賠償責任保険を紹介し、任意加入させている」(41.0%)、「個人の負担で、医師賠償責任保険に強制加入させている」(30.5%)が多い。
(6) 臨床研修における評価について
1) 臨床研修についての自主評価の実施の有無 臨床研修体制について、自主評価を実施しているのは、臨床研修病院では22.3%、大学病院では37.1%、自主評価していないのは、臨床研修病院では68.6%、大学病院では51.4%であった。
2) 臨床研修についての自主評価以外の評価 臨床研修体制について、自主評価以外の評価を実施しているのは、臨床研修病院では9.0%、大学病院では11.4%、自主評価以外の評価を実施していないのは、臨床研修病院では81.0%、大学病院では75.2%であった。
3) 臨床研修についての必要な評価体制について 必要な臨床研修の評価としては、臨床研修病院、大学病院ともに、「第三者による評価」、「自主評価」が多い。
(7) 新医師臨床研修制度による病院の変化について 新制度に変わって(新制度の臨床研修病院に指定されて)、「よくなった」と回答したのが臨床研修病院では49.8%、大学病院では26.7%、「悪くなった」と回答したのが臨床研修病院では5.8%、大学病院では15.2%であった。

この調査の概要は以下の通りです。
1.調査目的
新医師臨床研修制度の効果等を検証・分析するための基礎となるデータを収集するため、臨床研修病院及び研修医に対し調査を行うもの。
2.調査対象
単独型及び管理型臨床研修病院
単独型相当及び管理型相当大学病院 (合計で938施設)
当該病院の研修プログラムに在籍する臨床研修医
(1年次 7,717人、2年次 7,497人、計 15,214人)
3.調査内容
共通質問(全病院、全研修医(1年次、2年次))
・研修の満足度、研修修了後の進路 等
4.実施時期
平成19年2月(配布)
5.調査方法
病院用と研修医用の調査票を各病院に郵送し、研修医用の調査票を病院で取りまとめたのち、病院用調査表と合わせて郵送で回収した。
6.集計対象者の概況
集計対象とした有効回答数は、2年次生 4167人(55.6%)、1年次生 4389人(56.9%)であった。

                            

正直に言うとボクはこの調査の結果を冷静に受け止めながら思うところはひとつ
臨床研修の本来の意義が臨床研修病院や医学生・研修医にきちんと伝わっているのか?
この結果を見る限りどうなのかな~という気がしてなりません

時代の流れを止めることはできませんが高い志というものは持っているべきだと思ってます
大学病院=聖マリアンナ医科大学病院ではありませんし
ボクたち聖マリアンナ医科大学臨床研修センターや実際に研修している研修医たちも
おそらくこの結果を冷静に見ていると思います
また聖マリアンナ医科大学の医学生も
やっぱり大学病院市中臨床研修病院の流れとはならないでしょう
ただきちんと現実の全国的な流れを把握しつつよりよい研修環境を提供していくことは
今後も大切なことだと思いを新たにしています


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