プロコフィエフの日本滞在日記

1918年、ロシアの若き天才作曲家が、大正期のニッポンで過ごした日々

大阪

1918-06-13 | 日本滞在記
1918年6月13日(旧暦5月31日)

 急行電車で大阪に行った。活気のある真に日本的な街で、ヨーロッパ人には一人も出会わなかった。ことに珍しい光景は劇場、それも舞台ではなく、客席だ。全員が箱のような枡席に座り、弁当をほおばり、ものすごい早さで扇子をあおいでいる。興味深いのは、数千もの大小の灯りと、そぞろ歩く大群衆があふれた夜の大通りだ。わが国の床屋にはマニキュア部門があるが、ここには耳掃除部門がある。じつに面白い。わが国の耳の遠い音楽家連中を、こちらに送ってはいかがなものか。

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