プロコフィエフの日本滞在日記

1918年、ロシアの若き天才作曲家が、大正期のニッポンで過ごした日々

日本ビザ入手

1918-05-28 | 日本滞在記
1918年5月28日(旧暦15日)

 ビザが手に入った。新聞社の編集者が私のために明日の船の切符を手配し、円を両替してくれることになったが、円が高騰してなんと5ルーブルになってしまった。こともあろうに私が来たとたんに! そこでお金を半分に分けることにした。半分で円を買い、残りの半分は帽子の裏地の下に隠して、こっそり持ち込むのだ。税関の検査は厳しくないという話だから。
 小説は着々と進んでいる。今日書き終わると思ったが、頭が痛くなりそうな気配なので、最後の章で筆を置いた。

 タガンログの友へ。

「愛するボリス〔ボリス・ヴェーリン〕君、日本のビザも日本の円も、みんな手に入りました。明日の正午、鳳山丸に乗り、二日後に横浜に着きます。さらばロシア、さらば古き夢よ、新しい国よこんにちは! S.P.」

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