プロコフィエフの日本滞在日記

1918年、ロシアの若き天才作曲家が、大正期のニッポンで過ごした日々

マクスの思い出

1918-05-21 | 日本滞在記
1918年5月21日(旧暦8日)

 驚くほどはっきりとマクス・シュミトホフ〔青年時代の親友〕の夢を見た。彼とは長いつきあいだった。彼の姿を見ているのが嬉しくて、消えてしまうのではないかと不安だった。だが、目が覚めるとマクスは消えていた。彼がピストル自殺してからもう五年。つい最近、ソナタ四番を彼に捧げたが(初版第一楽章への献辞として)、マクスの思い出はすべて消えていき、はるか遠くに離れていった。今再び、彼がこの世にいないことが鋭く胸に突き刺さる。

 ここの緑と青い山々は驚くほど華やかだ。こんな艶やかさは、原生林でしか見られないという。