前回の続きです。
前回は、
○鞭毛の運動
・細菌・・・イオンの流れで動く水車のような回転モーター
・精子・・・ATPからエネルギーをもらって動く
○回転する機構の種類
1.イオンの流れを利用(制御はまだ不明)
2.ATP合成酵素(次回説明)
というところで終了しました。
さて、今回のテーマ、ATP合成酵素ですが、ATP合成酵素も回転システムを持っている、というところがブログのタイトル「関連性」につながってきます。
鞭毛の構造をおさらいしておきます。
┌─┬─鞭毛
│┌┴─
││フック部
─┼┼─
─┼┼─イオンの流れで動く回転体(モーター)
細胞内部
下図がATP合成酵素の構造です。
□|□ ATP合成・分解部
──|──
─┼|┼─イオンの流れで動く回転体(モーター)
細胞内部
「|」は縦に並んでいますが、1つの長い棒だと思ってください。
鞭毛の回転モーターに似ていませんか?
「|」を鞭毛のフック部と置き換えていただくとわかりやすいと思います。
細胞膜の回転体(モーター)がH+によって動く時に、「|」の部分が同時に回転し、回転によって生まれたエネルギーを「□」部分がATPの合成するエネルギーに変換しているのです。
実は逆向きにH+が流れる時には、「□」部分はATPを分解していて、その分解で生じたエネルギーは、「|」を回転させて、回転モーターがATP合成時とは逆向きに動いて、H+の流れが逆向きになっていることもわかっています。
この「|」部分は1秒間に17回転し、50個のATPを合成しています。1秒間に17回転!すごい速さですね。
鞭毛の回転システムと、私たち生物においてエネルギーの架け橋であるATPの合成システムとは、こんなにも似通っていたものなのです。
細菌で運動のために使われていた回転エネルギーは、私たちの細胞中では細胞の隅々にエネルギーを届ける物質を作り出すために使われているのです。
なかなか興味深いですね。
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