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バイオ・微生物実験好きな管理人による、研究仕事、日常、実験技術や理科系ネタのブログ

生き物にとっての水 -リベンジ版

2005-01-20 22:10:56 | 植物の免疫機構と微生物の戦略

…今日は戻るボタンを押さないようにしよう…。
(その前にメモ帳かなんかに書いておけばいいじゃんと頭の中の誰かは言っている)

さて、生き物にとっての水というタイトルですけれども、言うまでもなく生き物にとって水分は重要なもので、細胞が細胞として機能しているのは水があるからこそです。
細胞の中で分子を溶かしてエネルギーをやり取りしたり、老廃物は水と一緒に除去したり、生理活性を正常に保つために水はどうしても必要です。

「母な~る~大地の~♪」という歌があるのですが、それをいうなら海が母だろう!と突っ込みたくなるのは私です。
加山雄三がそんな歌を歌ってたような。かなりジーンと来る歌だったような。

閑話休題。

さて、水の利用の仕方にはいろいろなものがあります。
カビで面白い水利用のシステム(植物への感染)があるのは1月7日のブログでも紹介しました。
そのほかに、子供である胞子を水を利用して広範囲に飛ばすというシステムがあります。

たとえば、イネに感染するイネいもち病(P.oryzae)は、夏の朝、霧が田んぼに発生するのをうまく利用します。
霧が発生すると胞子は霧に乗ります。
他のイネに霧の水分があたり、露となったその中に、胞子もいます。
水滴の中にある胞子は、水分を利用して発芽します。

面白いシステムには、黒かび(Cladosporium cladosporioides)にもあります。
黒かびは、お風呂場や水場など湿気のある場所によく繁殖します。
なぜでしょう?
それは、水分があたると胞子を飛ばすシステムがあるからです。
そういうシステムがあるから水場に繁殖しているのか、それとも水場に繁殖するためにそのシステムを採用したのか、どちらなのか知りたいところです。
たまたま水場を好んでいて、そこには水があたると胞子を飛ばす個体がたまたまいて、大繁殖してきたというのが私の「進化というのはそんなもの」理論。(笑)

ところで、カビには水にたよらず胞子を飛ばすヤツがいて、風に乗って飛ばします。フーッとふくと胞子がぶわわわーっと飛びます。


今度はうって変わって、植物の水の利用。
「オジギソウ」は触ると葉を閉じて垂れ下がる、不思議な植物ですが、オジギソウがお辞儀をするシステムで鍵となるのが水なのです。
触ると何かの信号(これはまだ不明らしい)が出て、葉が付いている茎(葉柄)の根元の水分が、葉の方に移動するのです。
移動すると水分が抜けた根元がクタッとなり、重い葉の部分が下がる。
植物も結構すごいことやってます。
ところでどうしてオジギソウはお辞儀するんでしょうね?
動物がそばを通る時に身を縮めて、折れないようにしているのかなぁ。

植物の例でもう一つ。
植物には自分の体内の水分を調節するために、気孔という「口」を持っています。
気孔は二つの細胞(孔辺細胞)が重なった形
()
のようになっています。ちょうど二つのウィンナーが丸を作るようにくっついてるといえばわかりやすいかな。
二つのウィンナーは、中身がパンパンに詰まっている時、元の形である
 () 
となりますが、中身が抜けてしまうと「しなしな~」となって
 || 
になってしまいます。
つまり中身とは水分のこと。
孔辺細胞に水をたくさん取り込んで(取り込まれて?)気孔を開き、自分の水分を蒸散させる。
自分の水分が少なくなれば、孔辺細胞の水もなくなって気孔が閉じる。


うーん、なんだってこんなに生き物の仕組みって面白いんだろう。
他にも面白い仕組みをご存知でしたらぜひ教えてください。

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