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バイオ・微生物実験好きな管理人による、研究仕事、日常、実験技術や理科系ネタのブログ

次世代燃料を作る未知微生物 16srRNA系統図とは?

2006-02-09 20:20:52 | 理系ネタ
実は昨日書いていたんですけど、またしてもブラウザの戻るボタンを押してしまい、きれいさっぱり消えてしまいました。
ということでリベンジ。

今でも微生物の存在は地球にとってなくてはならないものですが、私たちの未来を担う存在でもあるのです。

世界で初めて微生物によるメタンハイドレート形成過程の解明に糸口 平成18年2月6日発表 独立行政法人海洋研究開発機構

「燃える氷」作る微生物、国際チームが初めて確認 (読売新聞) - goo ニュース


・・・・・・・・・・・・・・要約すると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.次世代の燃料として期待されている「メタンハイドレード」は、どうやら生物が生成した形跡がある。

2.メタンハイドレードに関係する生物は今まで知られていなかった。

3.メタンハイドレードが存在する海底の堆積物を取ってきて、その中にRNAがあるかどうか調べた。

4.RNAの調査は、微生物の進化系統図を作成するときに用いられる「16s rRNA系統解析」を用いた。

5.系統解析ではこれまで知られていないデータが得られ、未知の微生物が存在する可能性が示唆された。
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さて、この中で出てくる16s rRNA系統解析。なんのこっちゃわからない方も多いのでは?
これはつまり微生物の進化を調べるときにとても都合のいい解析手法なのですが、なぜ都合がいいのかわかりやすく説明してみようと思います。
その前に、rRNAとはなんだろう、というところから行ってみましょう。

rRNA リボソームアールエヌエー (ribosomal RNA)

RNA・・・リボースを糖として持つ核酸。rRNA、tRNA、mRNAが主なほか、snRNA、snoRNA、gRNA、miRNAなどがある。
rRNA・・・リボソームを構成するRNA。RNA全体から見て8割を占める。
リボソーム・・・
       真核生物と原核生物で大きさが違い、それぞれ大きなユニットと小さなユニットが結合している状態。
16s rRNA・・・・原核生物の小さなサブユニットは、沈降定数16S のリボソームで構成されている。

ところで何故16S rRNAで進化のことがわかるのでしょう。
16S RNAは比較的保存性が高い核酸で、保存性の高い部位と比較的変異のある部位があり、比較するに必要十分な長さとして存在し、更に細胞内にたくさん存在するから楽なんです。

そして、一番重要なこと。
微生物は培養する条件に実に敏感です。
ちょっとでも温度が不適切であったり、なければ増殖できない物質が足りなかったり、果ては栄養が極限まで少ないところでないと生きることが出来なかったり、そういうことが原因で培養が不可能なことが多いです。
未知の微生物となると、その適正な培養条件がわかりません。
そこで、拾ってきた土の中に微生物がいる(いた)かどうか、16S RNAを調べ、推測することが出来るのです。
16S RNAは系統図を作成するときにも役立つものですから、今まで系統図化されてきた微生物との相関図も作成することができます。

保存性が高く残っているRNA。
それだけ全ての生き物の中で重要な役割をもち、しかも無駄なものを省いているということですよね。
生物は詳しく見ればみるほど、興味深いものです。

久しぶりに!
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