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バイオ・微生物実験好きな管理人による、研究仕事、日常、実験技術や理科系ネタのブログ

放置ジュース内の菌~実験2

2004-12-07 21:54:07 | 身近な衛生

さて、今回はオレンジ(ミカン)ジュースです。

・検体……ゆず入りミカンジュース。ペットボトル直飲み後、室内(平均20℃以下)放置2日。
・培養条件……パソコン本体の上に3日。

今回は2日放置したのにもかかわらず、菌は出てきてくれませんでした。

ナゼ?

と、考えて、そういやー酸っぱいなぁと思い当たりました。
菌は酸性が苦手な種類が多いのです。
大抵の菌にとってはあまり好ましくない環境と言えます。
実験する前に想像できたことですね。失態です。恥ずかしい。

というわけで、酸っぱいものには菌が増えにくい

でも、菌の中には酸性に強い菌もいますので油断してはいけません。
12/5のブログで触れた、乳酸菌はその典型です。
乳酸菌は自身が出す乳酸で周囲の環境を酸性に変化させますが、ある程度までなら耐えることが出来ます。

あとは、最近飲料業界では問題になっている菌で、「好酸性耐熱性芽胞菌」。
こいつらは凄いですよー。酸性環境でしか生育できず、種類によっては70度まで(!)旺盛な生育をします。
更に、必要な栄養成分と言えば、少しの糖と少しのデンプンと少しのミネラル。極うすーいジュースだと思ってください。
更に更に、芽胞菌なので、面の皮が厚くて通常の加熱やアルコールでは死滅しません。

というわけで、今回は菌がいませんでしたが油断は禁物です。

放置ジュース内の菌~実験編1

2004-12-04 18:02:32 | 身近な衛生

さて、11/30の理系ネタで話した件ですが、実験をしてみました。

・検体……イチゴミルク。ストロー飲み後、室内(平均20℃以下)放置1日。
・培養条件……26度設定水槽の上1日の後、パソコン本体の上に1日。

結果ですが、一般細菌(菌の種類問わず)は1ml辺り、約700の菌がいました。
専門的に言えば、7×102CFU/ml。
そのうち、大腸菌群は1CFU/mlでした。これはあっても無くても一緒の数値(誤差範囲)です。

さて、これはそのまま飲んで平気なのか。
主観から言えば平気です。
平気すぎてガッカリしてしまったくらいです。
この中の菌のどれかが、ものすごい毒素を出していない限り。(これ重要)
(´-`).。oO(…生野菜だってこのくらいは平気でいるし)
冬場の環境というのが幸いなのでしょうね。
でも、菌が増えないうちに飲むことは大切です。
匂いや味がおかしくなっていたら飲むのはやめましょう。


次回は2日間放置したオレンジジュースです。
今日から培養始めたので、明日かあさってには結果が出ると思います。

放置ジュース内の細菌の実際

2004-11-30 12:35:20 | 身近な衛生

前回、O157の話の最後に放置ジュースの話をしましたが、では実際どのくらい増えるのだろう?と実験をしてみたくなりました。
放置ジュースの何がいけないかというと、口をつけて飲んでいたものを残してしまうのがよくありません。
口の雑菌がジュースに移行してしまうためです。
ペットボトルを直飲みで、そのまま放置するのは雑菌の楽園なので、あまり長時間放置したものは飲まないようにしましょう。

実際、家で放置して、培地に撒いてやってみます。
成功するかな?

O157の「O」とは?

2004-11-28 19:12:19 | 身近な衛生

昔から良くお世話になっている方に、O157の「O」は何?と聞かれました。
せっかくなのでブログのネタにさせてもらいます。(笑)

O157は大腸菌の1種で、正式にはEscherichia coli O157、別名をベロ毒素産生性大腸菌Verotoxin-producing E.coli(VTEC)と言います。(HONDAですか?)
病原性大腸菌のうち、腸管出血性大腸菌は、細胞膜のO抗原と鞭毛のH抗原によって分類されています。
O157はO抗原の157型というわけです。
ちなみにO抗原は約180種あります。

O157は100個摂取しただけでも中毒になったという例があったそうで、
それほどに毒素が大量に生産される菌と言えます。

大腸菌は熱や乾燥に強い菌ではありませんので、料理をするときには材料を良く洗って熱を良く通すといいですね。
器具は綺麗に洗ってよく乾かす。(基本かなぁ?)
生野菜を食べたいときには、思い切ってお酢で洗ってみるのもいいかもしれません。
お酢ならドレッシングとして使うし。

今は冬場なので食中毒は起きにくいですが、暖かい居間などに放置したジュースなどは時間がたつと大変なことになりますから、ご注意ください。