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プーンヒルの頂きで

2014-05-01 22:27:30 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 6時24分、30数キロ先で、標高8167mのダウラギリの頂きに陽の光が届き始めました。

 

 光は徐々に、頂上直下の雪と岩の壁を朱に染めてゆきます。

 

 

 ギャラリーの前で、地球の営みを告げながら、輝きの峰が明るさを増してゆきます。

 

 

 僅か7分後には、ダウラギリの壁の半分以上が眠りから覚めて、赤子のような朱から、乙女のような柔らかい彩に顔(かんばせ)を変えていました。

 

 

 北へ目を向けると、7219mのアンナプル・サウスも眠りから目覚めていました。

 

 

 真横から光を受けますので、山容に派手な彩は見えません。

 

 しかし、S席から役者の肌に触れる程の距離感で、ヒマラヤが目覚めの時を迎えるシーンが進んでゆきます。

 

 

 
 ダウラギリの頂きから始まった朝が、13分後に3210mのプーンヒルの頂きにも届きました。

 

 足元に穏やかな朝が拡がってゆきます。

 

 

 一番手前に7219mのアンナプルナ・サウス、その左に7647mのアンナプルナ・ファン、その後ろに8091mのアンナプルナ Ⅰ が雪煙を靡かせていました。

 

 右手奥では6993mのマチャプチャレが、朝陽の中に、特徴的なシルエットを見せていました。

 

 

 眼下のゴレパニ村は、まだ闇の中です。

 

 

 

 息つく暇もない夜明けのドラマにも一区切りが付いて、周囲を見回せば、プーンヒルの頂きは想像以上のトレッカーで溢れていました。

 

 誰もが、多くの時間と労力をかけて登って来たこの場所で、望み通りのドラマを鑑賞することができ、皆一様に満ち足りた表情を見せていました。

 

 

 そんな時、眼下の谷に予想だにしないエンジン音が響きました。

 

 こんな時間に何事かと思い目を凝らすと、小さな飛行機が山肌を縫うように、西の空へ向かって飛び去ってゆきます。

 

 きっと、チベットへ通じるジョムソン空港へでも向かうのでしょう。

 

 大気の安定した午前中に、ポカラとジョムソンを往復する定期便かもしれません。

 

 

 山と谷は少しずつ、何時もの表情に変わり始めていました。

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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46億年目の朝

2014-05-01 14:33:32 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 3月8日

 

 カメラに三脚を携え、ゴレパニの宿を朝5時過ぎに出発しました。

 

 村のGH(ゲストハウス)に明かりが灯ります。

 

 

 手にしたライトの僅かな明りを頼りに、闇の中へ歩を進めました。

 

 北の空では、アンナプルナ・サウスとマチャプチャレが影絵となって、空と大地を隔てています。

 

 

 目指すのはプーンヒル3210mです。

 

 標高2858mのゴレパニから350mほどの標高差を登ります。

 

 何時の間にか、私の前後にプーンヒルの頂きを目指すトレッカー達の列ができていました。

 

 木立に挟まれた登山道を登って行きました。

 

 周囲の山々が夜の闇から目覚め始めました。

 

 急がなくては。

 

 

 ゴレパニを出発してから約40分、展望塔の建つプーンヒルの頂きに到着しました。

 

 見渡す限りの空に雲一つ見えません。

 

 

 夜明け前の微睡みを楽しむかのようなダウラギリが西の空にたたずみます。

 

 

 コンデジ(コンパクトデジカメ)のズームを利かせましたが、ダウラギリの青白い顔に、表情を読み取ることはできませんでした。

 

 

 北の空に微睡むアンナプルナ・サウスも同様でした。

 

 

 逆光の中のマチャプチャレは、コンデジのオート機能ではピントを合わすことすらできません。

 

 

 しかし朝は確実に秒を刻み、微睡みの時を刻々と過去へと消し去り、空の青さに光が加わります。

 

 

 
 そんな空に突然、何かを予兆するかのようなスペクタクルが現れました。

 

 ピークに集うトレッカー達に静かなどよめきが広がりました。

 

 

 

 そしてまさにその時、地球生誕後46億年目の朝が、ダウラギリの頂きから始まったのです。

 

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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