仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「謎の豪族 蘇我氏」 水谷千秋

2006-10-02 12:05:13 | 讀書録(歴史)
「謎の豪族 蘇我氏」 水谷千秋

お薦め度:☆☆☆+α
2006年9月21日讀了


蘇我氏が歴史の表舞臺に登場したのは、欽明朝の稻目からである。
そして、その子の馬子、蝦夷、入鹿と續き、乙巳の変(いつしのへん)で中大兄と中臣鎌足のコンビに滅ぼされる。
崇峻天皇を殺害したといふことで逆賊とされ、天下の惡人であるかの如き扱ひを受けることも多い蘇我氏だが、
その所爲か研究者も少なく、いまだに謎に包まれてゐる。
この本は、蘇我氏に纏る謎を取り上げ、過去の研究者の説を要領よくまとめて紹介してゐる。

たとへば、出自・出身地。
大和國高市郡曾我説、大和國葛城郡説、河内國石川郡説、渡來人説を擧げて、説明してゐる。
それぞれの説の弱點を擧げた上で、この著者は高市郡説を採つてゐる。
ただし、高市説を採る積極的な根據についてはほとんど觸れられてゐない。

この例でもわかるが、この本はいはば過去の學説の概要紹介をしてゐるが、著者自身の説については多くを語つてゐない。
そのあたりについてはおほいに不滿が殘る。
あなたはどう考へてゐるのですか?と思はずツッコミを入れたくなるのだ。
ただ、古代史の大きな謎のひとつ、蘇我氏の謎の概要を把握するにはよい本だと思ふ。




水谷 千秋 / 文藝春秋(2006/03)
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