あははは…もう、緊張してきて落ち着かないあまり、何も手に着かなくて
家の中でウロウロ…
何もしないのも時間がもったいないので、続き書きました~
思いもよらず長丁場になりそうですが、乗りかかったからには最後まで
書きつづりたいと思います。
興味のある方のみお付き合いくださいませ
サ腐ァリバス
最近、恭弥がしきりに木の上を見上げている。
低い枝に身の丈が届く大人ライオンは、そこに登って気持ちよさげに体を休めたりしているから
恭弥もそこに行きたいのかなと思うが、どうやらもっと上を見ている。
とてもうずうずしている。狙いをつけるような姿勢になった。
一気に飛び上がるんじゃないかとソワソワした。
子供の中で一番チビだけど、いちばん駆けっこが早い。
その強靭な後ろ足のバネがあれば、可能なような気もする。
「でも、ライオンは木に登れないんだぜ、恭弥。」
ちいさな耳が一瞬こっちを向いたけど、すぐにそこには黒い残像しか残らなかった。
あっと言う間に木を駆け登った恭弥は、大人ライオン達の遥か頭上に到達した。
「恭弥、かっこいいぜ!」
横に広く張り出した枝にしっかりと立ち、上から見下ろす恭弥の顔は興奮しているように見えた。
フンッ、と鼻を鳴らすようなどこか誇らしげでもある。
きっと爽快な気分に浸っているのだろう、しばらく降りてこなかったから一人にしておいてやった。
日が暮れると、雌ライオン達の狩りが始まる。
サバンナの夜空に半分欠けた月が頭上近くのぼった頃、子供たちが呼ばれた。
今日は大きな獲物が狩れたらしい。
「恭弥ー、メシ!今日はいっぱい食えるみたいだ!」
木の下から、そこにいると思われる辺りをめがけて声をかけた。
恭弥はまだ降りてきていないはずだ。
「先に行ってて…」と、小さく聞こえた。
「一緒に行こう!降りてこいよ」
「や」
ここ数日、エサが乏しかったから恭弥だって空腹だ。食べたくないはずはない。
「…もしかして、降りられなくなった?」
一瞬の間があった。初木登りだ。降り方が分からなくてもしかたない。
「…降りれる。けどあっち行ってて」
「じゃあ先行って恭弥のぶん、取っておくから」
そう言って、少し先の茂みに隠れて見ていた。
ガサッ、ガサッ、と不規則な音がして、登った時の颯爽さとはかけ離れた様子で、
恐る恐る恭弥が降りてきた。いや、ズリズリとずり落ちてきた。
途中なんか、落下するんじゃないかと思って、受けとめようと飛び出したくらいだ。
最後は木に掴まった状態のまま、尻から着地した。
振り返ると、鎮座しているディーノがいる。
「見たね…」
すっかり茂みから姿を現してしまったライオンディーノは、
「見てません!暗くて黒くて見えませんでしたっ」
見え透いた嘘をついたから、最速のヒョウパンチを食らうハメになった。
ラブラブな仔ライオンディーノと仔黒ヒョウ恭弥は、毎日モリモリ成長中
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