市ヶ谷日記

喜寿を超えた老人です。日々感じたことを、過去のことも含めて、書き記しておこうと思います。

神社境内に響くコーラスの歌声。東京赤坂の日枝神社は新しい伝統を創っている。

2016-06-12 | 独吟

  東京赤坂に所用で出かけた帰り、せっかくであるので日枝神社を参詣した。

 境内に入ると、男女混成のコーラスが聞こえてきた。神社では珍しいことなので、歌の流れて来る方向を見ると、社殿横の舞台の上で、そろいの赤シャツに白ズボンを身に着けた人たちが、姿勢を正し、大きく口を開いて、一生懸命に歌っている。男女20名くらいのコーラス・グループで、どのメンバーも60歳を超えたと思われる人たちである。

 舞台の前には、パイプ椅子が200席くらいしつらえてあった。疲れていたこともあって、筆者もしばらくの間、そこに座っている30名くらいの人たちに混じって、このコーラスに耳を傾けた。立ったまま聞いている人もいたので、聴衆は全体で50人余りであろうか。  

 曲目は、主に昔懐かしい童謡や小学唱歌である。「天長節」といった古い歌もあったが、AKB48の「365日の紙飛行機」といった新しい歌もレパートリーに入っていた。最後は「蛍の光」で締めくくられた。

 本当に懐かしい歌ばかりであった。これらのコーラスを聞いていると、歌のメロディーとともに、これまでの来し方の様々な情景が遠い昔の記憶の奥底から呼び起こされる。「蛍の光」では、小中学校時代の旧友の顔が頭の中を駆け巡り、感情の高まりを覚えた。音楽を楽しむ趣味のない筆者であるが、これほど音楽に価値があることを発見したのは初めてである。

 舞台である「山王夢御殿」の前面に、

   「ミニコンサート にっぽんの歌」

   「キーテコーラス アンダー100」

と書かれていた。コーラスが歌い終えられた後、数人の聴衆がメンバーの一人一人をそれぞれ取り囲み、「どういう方々の集まりですか」とか、「練習はどのようにしているのですか」とかと尋ねながら、会話を弾ませていた。まるで有名タレントとそのファンの関係のようで、関心の高さを窺わせた。このコーラスに感動したのは筆者だけではないのである。

 かつて神社は御神楽で庶民を集め楽しませた。御神楽は神社の伝統的な行事であるが、日枝神社でたまたま出逢ったこのコーラスは御神楽と同じ意義を持つ新しい催し物であると考える。日枝神社は神社の新しい伝統を創るべく、トップランナーの役割を果たしているのかもしれない。

 



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