市ヶ谷日記

喜寿を超えた老人です。日々感じたことを、過去のことも含めて、書き記しておこうと思います。

やる気のない農家は「ゾンビ」である。我が国農業の発展のためこれらを退治すべきである。

2016-10-30 | 独吟

 私は「身土不二」の原理を何となく信奉している。人間は生まれ育った土地で実った食物を食べることで健康を保つことができる、という考え方である。

 埼玉県上里町(旧賀美村)で生まれ、本庄で育ち、今は東京で暮らしている筆者は、食事の材料を購入するため、月に2~3回は道の駅「はなぞの」にあるJA農産物直売所まで往復している。都内から関越自動車道「花園」インターチェンジまでの高速代3,360円、それにガソリン代約2,500円をかけての買出しであるが、健康維持のための必要経費と考えている。

 しかし、残念なことに、近頃はその農産物直売所に肝心の農産物が売られていないのである。どこのスーパーでも売っているような食品類は山ほど積まれているが、私が求める肝心の地場で作られた野菜類は、品切れで商品棚は空っぽのままである(写真参照)。

  

 お客は大勢来ているのに売り物がない。いくらボンクラな農協経営者であっても、これだけ多くのお客が来るのであるから商品の集荷に努めているであろう。それでも売る農産物が集まらないのはこの直売所に出荷している農民に儲ける意欲がないからである。

 我が国の農家は、おんぶにだっこの手厚い保護政策にどっぷり浸かり、生活が安定していて、野菜を出荷すれば儲かることは分かっていながら、それをしないのである。ちなみに、企業家精神が一般農家より旺盛と思われる花木類の生産農家の商品棚はいろいろな種類の花木で埋めつくされている(写真参照)。

 

 恐らく、この農産物直売所を設置するにあたっては、我々の税金を財源とする多額の補助金が投入されたはずである。企業努力をしない農家を保護し、温存するすることにどれほどのメリットがあるのか、納税者の一人として疑問を覚える。そして、驚くべきことに、直売所で入手できなかった野菜は、直ぐ近くのスーパーではちゃんと売られており、しかも価格が安いのである。

 農家とそれに寄生している農協は、日本経済のゾンビである。隣の経済大国中国では、経済発展の妨げになる国営企業を「ゾンビ」と称し、習近平国家主席がその退治に躍起となっている。日本の安倍晋三内閣総理大臣も、習近平主席に負けないよう、ゾンビの退治に辣腕をふるってほしい。

 日本農業は将来性のある産業である。TPPの早期実現、農地規制の撤廃などにより、やる気のない農家を経済活動の舞台から退場させ、企業家精神旺盛な人たち及び企業の農業への参入を後押しする必要がある。こうした思い切った施策なしに日本農業の明日はないと認識すべきであろう。


ドゥテルテ比大統領の訪日は中国との汚い取引を浄化するための儀式である。

2016-10-25 | 独吟

  外国大統領の訪日にケチを付ける意図はないが、今回のドゥテルテ・フィリピン大統領の我が国訪問は、これを迂闊に歓迎するわけにはいかない。

 ドゥテルテ大統領は、10月18日から21日まで中国を訪問し、

「アメリカとセパレイトする。軍事的にも、経済的にも」

と発言した。その場面をテレビで見ていた視聴者は、誰しも「中国のお偉い様、これでよろしいでしょうか」と言いたげな、彼の卑屈な態度を見逃さなかったであろう。

 この訪中でフィリピンは総額240億USドル(日本円で約2.5兆円)の経済援助を取り付けた。その上に大統領個人も今回の訪中で資産を増やすことに成功したはずである。中国がアフリカやアジアの国々との外交関係でしばしば用いる手法と同じ手法をドゥテルテ大統領に使わなかったとはとても思えないからである。

 中国は、南シナ海の領有権問題でハーグ仲裁裁判所にその主張を退けられて以来、かねてから「この問題は当事国との2国間協議に解決を委ねるべきだ」と主張していた。原告であるフィリピンとの関係改善は中国にすればいかなる犠牲を払ってでも獲得しなければならない外交上の勝利であったのである。

 我が国は、後進国に対して巨額の経済援助をするが、個人に対する金銭贈与などは絶対にしない、ということで通っている。このことが、我が国の経済外交、特に後進国との関係において一敗地に塗れる真の理由であるが、ドゥテルテ比大統領の訪日は、日本のこうした特性を借用し、中国で被ったホコリを払い落とすために仕組まれた儀式であるとしか思えてならない。