2003年2月1日
午前1時、就寝。
午前9時、起床。
師からメール。弟子全員の作品集。
ベスト3、ワースト3を選出し講評。紛れ込んでいる師の作品を見極める。
昼食後、夜行バスの切符を買いにJRへ。
午後3時30分、四天王寺前夕陽ヶ丘下車。徒歩ででんでんタウンへ。
午後4時30分、近鉄難波駅着。大学放送局のメンバーと再会。
卒業生追い出しコンパ。
午後10時20分、帰宅。
2003年2月2日
午前0時40分、就寝。
夢を見た。
私はとある事件を担当する刑事だった。同僚が儲け話を持ちかける。意図的に捜査を遅らせ、報酬として犯人グループから一億円を受け取る計画。私は反対し、同僚はパトカーで逃走。白バイで追う。
激しいカーチェイスの末、同僚を捕縛。逮捕した。
午前6時40分、起床。
エイブル氏からメール。BGM03バージョン2、05ラフ案、14ラフ案到着。返信。
午前8時~午後8時就業。
午後8時30分、帰宅。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。
午後11時20分、海藤から電話。
就職失敗。博士課程へ。
良くも悪くも変わらない男だ。
2003年2月3日
午前1時30分、就寝。
午前7時40分、起床。
エイブル氏からメール。返信。
午前9時30分、出社。
弟子全員の作品講評の続き。
午後2時30分、望月女史と配色について打ち合わせ。
暫定的に茶色にしていた由香(25歳)の髪色を黒くした途端、雰囲気が女子中学生並に幼くなり却下。色の効果は凄まじい。
HP更新準備作業。
プログラム関連業務。
午後8時15分、帰宅。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。
午後11時30分頃から記憶なし。
2003年2月4日
午前5時30分、こたつで覚醒。布団へ。就寝。
午前7時30分、起床。
午前9時30分、出社。
弟子全員の作品講評の続き。
HP更新準備作業。
プログラム関連業務。
真帆イベントシーンB加筆。
プロたるもの、常に顧客のことを考えなければならない。
とかく人は、自分が最も大きな集団に属していると考えがちである。その思い込みは非常に危険だ。意見の差は環境の差であり、人生の差なのだ。
自分とまったく同じ生き方をしてきた人間など一人としていない。そんな当たり前のことにも気づけない、気づこうとしない人間に、どうして多くの人を惹きつける作品を連作することができようか。
午後8時30分、帰宅。
地下鉄で乗り過ごし、15分遅れる。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。
2003年2月5日
午前1時、就寝。
午前7時40分、起床。
午前9時30分、出勤。
弟子全員の作品講評の続き。
午後0時30分、ワタナベ氏にメール。一つの賭け。
HP更新。
真帆イベントシーンC執筆。
嘘。それは完全否定の言葉だ。
自分と異なる思想・手法を奨励する意見に対して、あんなものは真っ赤な嘘だと言い放つ。その精神が、私には理解できない。
その思想に賛同する人々がいる。
その手法を用いて生み出された数々の名作がある。
一体、何が嘘だというのか。
午後8時15分、帰宅。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。
2003年2月6日
午前0時30分、就寝。
午後7時30分、起床。
午前9時30分、出社。
一行物語構築訓練。
HP更新準備作業。
情報公開スケジュール作成。
真帆イベントシーンC執筆。
ユーザーを楽しませることとライターが楽しむことの間には、大きな隔たりがある。
書いていて楽しいとき、作中には多かれ少なかれ自身の嗜好が入り込む。モノローグを多用する場面は特に影響を受けやすい。正確には、より読者に伝わりやすい。濡れ場などは最たるものと言えるだろう。
濡れ場を自身の嗜好で書く。それはユーザーに提供しているはずのキャラクターを、ユーザー自身の前で好き勝手に犯し、その姿を見られていることに興奮しているに等しい。人はそれをひとりよがり、マスターベーションと呼ぶのだ。
午後8時15分、帰宅。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。
2003年2月7日
午前0時30分、就寝。
午前7時、起床。自宅修練。
午前10時30分、出社。
とりたてて書くほどのこともなし。
午後8時15分、帰宅。
午後11時40分、JR大阪駅から夜行バスで東京へ。
2003年2月8日 東京、一日目
午前8時、JR東京駅着。
道行く人に尋ねつつ徒歩で浅草へと向かう。
途中、日本銀行横を通過。旧館は大阪中ノ島図書館と同様の欧米風近代建築。時間が早いこともあるのだろうが、静謐な雰囲気の漂う見事な建造物だ。
一方の新館は高い塀に囲まれた城塞作り。規則正しく配置された石柱が無機質な印象を与える。中身のない岩の塊、もぬけの殻、虚構の要塞。皮肉にも現在の日本経済を的確に体現しているように思えた。
更に進み、住宅街へ。裏路地に入れば東京も大阪も大差はない。
浅草文庫跡地にあたる榊神社、その境内にある七福稲荷神社で興味深いものを発見。石造りのお稲荷さんが見るからに頑丈そうな金網で囲まれている。心無き者の悪戯で度重なる被害にでも遭ったのだろうか。
午前9時、浅草浅草寺に到着。一通り見て回った後、購入した鳩豆で鳩を肩や腕に止まらせていると、7才くらいの男の子が英語で話しかけてきた。韓国の子か、それとも中国か。
鳩豆売り場を指差してやり、目を閉じて耳をすます。一見すると日本人ばかりだが、驚くほど中国・韓国からの観光客が多いことに気づく。その割合、おそらく1/5にも達するだろう。黄色人種以外ではイギリス系5人、ロシア系1人、アラブ系2人、アフリカ系1人が見かけたすべてであった。
一時間ほど人間観察。サンプルが多いことも確実に一端を担ってはいるだろうが、観光マナーは日本人が圧倒的に悪い。境内でのツバ吐き、タバコのポイ捨て。手水を撒き散らして鳩を追い払う者、鳩豆でおびき寄せた鳩を捕まえて笑う者。通行の妨げになる道の真中で写真を撮る者。
同じ日本人として嘆かわしいことだ。
浅草寺から徒歩で鶯谷へ。JR利用。代々木駅下車。
明治神宮北参道から南参道へ。枝葉の天涯から降り注ぐ陽光によって生み出された、緑と光の道。
あるものがないことに気づく。京都御苑ではお馴染みの、自転車やバイクが同じ場所を通行することによって砂利が弾かれ生まれる、白い道筋。定期的に整備されている気配もないのに何故? 思い返せば浅草寺にも見当たらなかった。
駐在さんに尋ね、参道ではバイク・自転車の通行を禁止していることを知る。緑や環境に対する意識は、どうやら東京の地元住民のほうが高いようだ。
正午過ぎ、明治神宮境内を抜け、原宿竹下通りへ。
「ポイ捨ては犯罪です」の横断幕の下でタバコを捨てる女子高生。
熱気とパワー。虚飾と欲望。低俗な算段。利用される虚栄心。
肺に溜まった空気を洗い流すべく再び明治神宮へ。
本殿で神式結婚式を執り行う一団あり。しばし見学。
代々木駅、代々木アニメーション学院、マイクロソフト前を通過して新宿へ。
エイブル氏に電話。2時に待ち合わせの予定だが20分ほど遅れるとのこと。先に師匠宅への道筋を確認。再度新宿駅に戻り待つこと一時間。
午後3時20分、エイブル氏と初顔合わせ。手早く打ち合わせを済ませ、師匠宅へ。
午後4時、兄弟子一人を交えて指導を仰ぐ。
午後8時、姉弟子到来。座談会へ。
午後8時30分、兄弟子二人到来。懇談会へ。
午後11時、カラオケスナックで飲み会。
2003年2月9日 東京、ニ日目
午前2時、就寝。
午前9時、起床。
午前11時、師匠宅を出発。
新宿駅でホームを間違え40分かけて品川へ。京急線に乗り換え新馬場駅下車。六行会ホールで高校時代の友人と六年ぶりに再会。
午後1時、劇団扉座公演【LOVELOVELOVE】を観劇。
公演終了後、私と友人を呼び寄せた張本人と面会。今は役者の卵となった男は、少しも変わらぬ澄んだ瞳をしていた。
午後5時、平和島温泉で汗を流す。
午後7時、都営三田線御成門駅から徒歩で東京タワーへ。ずっと昔の記憶を頼りに東京タワーを階段で踏破しようと目論むが、繁忙期、しかも昼間でないと階段は閉鎖しているとのこと。残念。
余った体力を使い果たし夜行バスで泥のように眠るべく、徒歩でJR東京駅へ。途中、銀座有楽町を通過。抱いていたイメージよりも遥かに整然とした、上品な街。
午後9時40分、夜行バスで大阪へ。
2003年2月10日
午前5時30分、JR大阪駅着。
午前6時15分、帰宅。風呂に入り就寝。
午前9時、起床。師にメール。
午前10時45分、出社。師から返信。
HP更新。
真帆イベントシーンC執筆完了。
真帆イベントシーンB-2加筆。
地の文でなければ説明できないものは厳然として存在する。
説明の必要がないものも同様に。
シーンに応じて的確な表現方法を模索・選択・行使する技術は、シナリオライターにとって必要不可欠なものだろう。登場人物の因果関係を地の文で説明するなど、発想の安易さと貧困さを自ら露呈させるようなものだ。
にも関わらず、彼は言う。
「ユーザーは君が考えているよりも遥かにバカだから、これくらい説明してあげないと状況がわからないんだよ」
ユーザーフレンドリーとはユーザーを見下すことではない。
午後8時15分、帰宅。
録画しておいた『ガンダムSEED』を観る。
何故ビビアン・スー。折角の世界に水を差す声。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。
2003年2月11日
午前1時、就寝。
午前9時、起床。
『LostPassage』をプレイ。沙雪シナリオクリア。
不要なモノローグ。鬱陶しい薀蓄。人間としてあまりに未熟、しかも成長さえしない主人公。
新規ブランドでありながら去年の年間売上で22位を叩き出した、美少女ゲームはグラフィックが良ければ売れるという見本のような作品。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。マイス編クリア。
アーミック編スタート。いきなり八方塞。全編中最も難しいと言われるだけのことはある。もっとも、多くのユーザーがアンリミテッドサガを投げ出した理由は、難易度ではなく理不尽さにあるのだが。
必要なものと不要なものを正しく判断する。ごく当たり前のことだ。しかしそれができていない、しようとさえしていない作品が呆れるほどに多い。
気づかなかったではすまされない。プロなのだから。
2003年2月12日 事件発生
午前1時30分、就寝。
午前7時30分、起床。
事件発生。
玄関扉の鍵穴に接着剤が流し込まれている。外から鍵を開け閉めできない状態。
急遽欠勤。警察への連絡、家主との衝突、鍵の交換、被害届けを提出するための準備で一日が過ぎる。
調べてみたところ、同様の犯罪が最近増えているらしい。多くの場合は愉快犯。いつ起きるかわからない再犯に怯え、引っ越す被害者も少なくはない。
保険会社は「悪戯に保険は降りない」という。警察が犯罪と認めても、保険会社にとっては悪戯なのだそうだ。物質的な器物損壊に加え、住人に与える心理的・金銭的・時間的被害は計り知れない。生活を根幹から揺るがす、極めて悪質な行為だというのに。
身体は精神の影響を確実に受ける。事件発覚直後からレンの体調が悪化。私も夜から断続的な目眩に苛まれている。
犯人よ。君の行為は一つの生活を崩壊に導こうとしている。
何をすればどのような結果を招くのか。
何故、想像できないのだ。
2003年2月13日
午前1時30分、就寝。
午前7時30分、起床。師からメール。
午前9時、警察署へ。被害届を提出。
担当者の背後に並ぶ書棚は、前年分の被害届を束ねたファイルで埋め尽されていた。
出勤途中、須賀しのぶ『キル・ゾーン』を読む。
午前10時30分、出勤。
まったくモチベーションが上がらない。
先輩に跡形もなく書き直される(書き直しをさせられる、ではない)ことがわかっているシナリオを書くことに、一体何の意味があるのか。
エイブル氏からは一週間以上新曲が送られてこない。
望月女史は風邪で寝込んでいる。
グラフィッカーY氏は相次ぐ彩色方法の変更で、すっかりやる気を削がれている。
社長と顧問に押し切られる形で変更した静香の新デザインを公開して以来、旧デザインを支持するユーザーの声が絶えない。
静香旧デザイン関係のイラストを展示する隠しページを設置。
真帆イベントシーンD執筆。
退勤途中、須賀しのぶ『キル・ゾーン』読了。丁寧に書かれているキャラクターに好印象。しかしお決まりのパターンという感がなくはない。
午後8時15分、帰宅。
師に質問のメール。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。
2003年2月14日
午前1時30分、就寝。
午前7時30分、起床。師から返信。
テーマ捻出訓練。一時間で3本。
『LostPassage』をプレイ。
出勤途中、須賀しのぶ『戦場のネメシス』を読む。
午前10時30分、出勤。
骨格物語構築訓練&培養訓練。
背景の谷村女史から事務所宛にチョコレート。
真帆イベントシーンD執筆。
静香シナリオの執筆が決定。
声優劇団サクラ組マネージャーと初顔合わせ。タレント部門の女性が一人同行していたが、あまり魅力は感じなかった。カメラの前で輝くタイプか。
本日二つ目のチョコレート。
退勤途中、須賀しのぶ『戦場のネメシス』読了。堂々とキャラクターを使い捨てる潔さ。やたら人数ばかり増やしても意味がないことを心得ているのだろう。しかし、自分勝手に溺れ、自分勝手に納得し、自分勝手に償い、自分勝手に悟り、自分勝手に死んでゆく。本人はともかく、周囲の人間にはたまったものではあるまい。
午後8時25分、帰宅。
師にメール。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。
2003年2月15日
午前1時30分、就寝。
午前9時、起床。
『LostPassage』をプレイ。めぐみシナリオ、観月シナリオクリア。
日本最悪の大怨霊が、たかが一人二人の少女ごときに消滅させられるものか。史実と仮説のこじつけには感心するが、安易な展開といい大量の薀蓄といい、あまりにもくだらない。
文章とは読まれてこそ価値のあるものであり、特に何かを意識せずとも読めるものこそ優れている。気合いを入れ、一行一行丹念に、頭の中で情報を整理しながらでないと読み進められない文章など読み飛ばされるだけだ。
『アンリミテッドサガ』をプレイ。
アーミック編クリア。意外にも後半は余裕。
キャッシュ編スタート。
午後11時30分、就寝。