もう騙されないぞ(Won't Get Fooled Again)

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クライマーズ・ハイ

2008年08月31日 | バックパッカー
山梨側の富士登山者、過去最多に 死者4人、短パン姿も

31日で今年の夏山シーズンが終わった富士山への山梨県側からの登山者が、過去最多の24万6794人(同日午後5時現在)に達した。世界遺産登録に向けたPRや宿泊環境が改善されたことが理由とみられるが、軽装での無理な登山者などマナー問題は相変わらずだった。

<中略>

一方で山梨県警によると、期間内で登山中に急性心不全などで4人が死亡。死者は05年(1人)以来で、富士吉田署は「登山日程に余裕がなく、途中で体調を崩し、救護所で手当てを受けた人も多かった」と話している。

マナー違反も相変わらずだった。センターの指導員加藤洋三さん(49)は「ビーチサンダルに短パンという軽装のほか、ドラえもんの着ぐるみを着た登山者もいた。危険だと注意をしたが、聞き入れてくれなかった」と振り返った。
(伊藤和行、岡戸佑樹)

http://www.asahi.com/national/update/0831/TKY200808310096.html

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1999年に1年間かけてアジアを旅行し、9月にパキスタン北部のフンザ(カリマバード)に滞在していた時のこと。日本人バックパッカーの定宿でもある「ハイダー・イン」に宿泊していた日本人旅行者たちと、フンザでの暇つぶしについて話していた。

その中で、ある旅行者から「ラカポシ山のベースキャンプに1泊2日で行けるみたい」という話を聞き、興味を覚えた僕を含めた数名は、他の旅行者や情報ノートからラカポシベースキャンプまでのルートを調べ上げた。ちなみに情報ノートとは、日本人バックパッカーがよく泊まる安宿に置いてある雑記帳。ほとんどが感想文と化しているが、たまに有益な情報が載っており、インターネットが爆発的に普及していない当時は旅先での貴重な情報源であった。

2日後、僕を含めた日本人旅行者4名はカリマバードを朝早く出るバスに乗り、ベースキャンプの入り口となる村で下車し、その村にあるゲストハウスでも正確なルートを調べてからベースキャンプに向かった。

途中、道を1本間違えてしまい、1時間ほど道草を食ってしまったが、なんとか夕方にはラカポシ・ベースキャンプに到着することができた。ラカポシベースキャンプは周りを氷河に囲まれ、氷河に削られた土砂で盛り上がった土手の向こうにある平原(といっても細長いサッカー場が1面入る程度)に山小屋がぽつんと1つあるだけだった。

土手を上ると一面灰色に覆われた氷河で、時折「ゴゴゴ・・・」という、氷河が下流に向かって動き出す際に氷同士がぶつかる(こすれる)大きな音が聞こえた。氷河が動く音を間近で聞くという経験は貴重であったが、3500mを超える場所で氷河に囲まれているにもかかわらずそれほど寒さを感じなかったのは意外だった。

ベースキャンプには僕ら日本人旅行者4名の他に、山小屋を管理するパキスタン人2名、それにイギリス人旅行者2名がいた。イギリス人旅行者はテント道具を持ってきており、さほど言葉を交わすことはなかった。ただ、僕たちがベースキャンプに到着し、彼らに挨拶した時、イギリス人旅行者(女性)が僕の格好を見て、驚き半分呆れ半分で「その格好で登ってきたの!?」と言ってきた。

僕はただ「イエス」とだけ答えたが、その時の格好は長袖Tシャツによれよれのズボン、足にはサンダル、そして手には必要最小限の物を入れたコンビニの袋(日本より持参)。冷静に考えると、村を歩き回るレベルの格好で、過去に滑落等で命を落とした登山者・旅行者がいるルートを呑気に歩いてきたのだから、ある程度のレベルの装備をしてベースキャンプまでやってきた彼らからしてみれば僕は相当の阿呆だったに違いない。今生きているからこんなこと笑い話で済ませようとしているけど、1歩間違えたら僕もあの切り立った崖の下にある氷河のクレバスに転落していただろう。

だからと言って、皆さん山に登るときは入念な準備と環境に適した格好で、なんてことは大きな声では言いませんが、万が一何かが起こったら自分一人の責任で済む話ではなくなったりするので、最低限の準備は怠らないようにしましょう。

山登りはもうしません。疲れるから。


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