10年前にアジアを旅行している途中、今話題の新疆ウイグル自治区のカシュガルという街に1週間ほど滞在したことがある。パキスタンからカラコルムハイウェイを越えてたどり着いたはいいものの、これから中国国内を旅する気持ちに全くならず、このままパキスタンに戻ろうかな・・・とか考えながら同じ宿に泊まる日本人旅行者達と砂鍋やらハミウリやらを食べていたある日、一人の日本人に出会った。
その人は旅行者ではなく、カシュガルの大学に通う留学生であった。話によると、彼はカシュガルで唯一の日本人留学生とのこと。そりゃそうだ、いくら中国の大学で学びたいからといってわざわざカシュガルまで来るような人は滅多にいるまい。ちなみにカシュガルは
ここです。
そのカシュガルで学ぶ唯一の日本人留学生と一緒に晩御飯ととることとなり、地元で評判のレストランに行った。美味しい中華料理を食べながら、皆で留学生のカシュガルでの生活を聞いてみた。
カシュガルは他のウイグル自治区の街でもよくあるように、ウイグル人が住むエリアと漢民族が住むエリアが微妙に異なっており、それぞれのエリアの雰囲気もかなり異なるものだった。
彼はウイグル人が多く住むエリアに良く行き、そこで数人のウイグル人と仲良くなった。ある日、仲の良いウイグル人と話をしていると、別のウイグル人がやってきて日本人留学生に「お前は何人だ?」と聞いて来た。留学生は「日本人だ」と言うと、そのウイグル人は留学生に向かって真顔でこう言った。
「日本人は何で戦争の時に漢民族をもっと殺さなかったんだ?」
留学生にそう話しかけたウイグル人も、周りにいたウイグル人も皆真面目な顔だったらしい。留学生はただ曖昧にその場をやり過ごしたそうだが、中国国内での民族間で(というか漢民族に対し)宿る感情というものは我々日本人には理解しがたいものなのであろう。
・・・そんな真剣なハナシに発展するわけでもなく、あーやっぱりウイグル人は漢民族が嫌いなんだねーと納得し、美味しい料理を食べながらあーだこーだ旅行中に体験したネタを出し合っておおいに盛り上がった。
最近のウイグル自治区での暴動の映像を見てふと思い出した旅行中のオハナシ。