論語を詠み解く

論語・大学・中庸・孟子を短歌形式で解説。小学・華厳論・童蒙訓・中論・申鑑を翻訳。令和に入って徳や氣の字の調査を開始。

郷黨

2007-08-20 08:28:54 | 論語

郷黨:郷黨は周の制度の村の意で第十編の出だしの二文字

郷黨 一 孔聖は同郷の人前にして慎み深く寡黙を守る

      孔聖は公の場にあるときは饒舌にして慎み守る

      
メモ:門人が孔子の公私における人となりを評した言葉。

郷黨 二 孔聖は下級の者と話すときもの柔らかな態度で接す

      孔聖は上級者とは穏やかにしかも毅然と論ぜしという

      孔聖は主君の前で話すとき恭順にして伸びやかなりと

      
メモ:孔子は人と接する場合、時に応じて夫夫に節度を守った
          という。

郷黨 三 孔聖は厳粛にして優麗に復命守り接待つとむ

      
メモ:主君に接待役を命ぜられた時の孔子の礼に則った行動を
          あらわしたもの。

郷黨 四 孔聖は君門入るに慎重で中央はずし敷居も踏まず

      孔聖は首座の前では厳粛で言行ともに慎み深し

      孔聖は堂上にあるその時は敬虔にして息ひそめたり

      孔聖は堂のきざはし降りてすぐ緊張を解き安堵されたり

      孔聖は堂のきざはし降りた後姿勢正して足早に座す

      孔聖は自席に着いたその後は敬意を示し慎みて居り

      
メモ:孔子の宮中における行動をあらわしたもの。

郷黨 五 孔聖が主君の使いする時は敬虔にして規律正せり

      孔聖は主君に代わり贈り物する儀式では温顔示す

      孔聖は役目を終えたその後は愉色たたえて拝謁せりと

      
メモ:孔子の使者としての行動を示したもの。

郷黨 六 君子たる者は必ず着衣には正しき規律守るべきなり

      物忌みの紺や喪明けの朱鷺の色襟袖口の縁に使わず

      純粋な色にあらざる紅紫色普段の服に用いざるべし

      暑いとき単衣の葛布着るときは必ず上着着用すべし

      冬着には黒い着物に子羊の黒い毛皮を着用すべし

      冬着には白い着物に虎の子の白い毛皮を着用すべし

      冬着では黄の着物には狐など黄色い毛皮着用すべし

      普段着の革ごろもでは丈長く右の袂は短かかるべし

      必ずや寝間着備えてその長さ身の丈プラス半ばたるべし

      居るときは下に狐や狢など厚い毛皮を敷いて座すべし

      喪中では何も帯には下げないが喪明けたれば制約は無し

      礼服としての衣裳にあらざれば堂衣の上部狭く縫うべし

      子羊の黒い毛皮と赤黒い絹のかんむり葬に適さず

      毎月の始めに出仕するときは礼服着るが宜しかるべし

      
メモ:当時の君子としてのあるべき軌範を述べたもの。要は何時
          の時代でも礼をきちんと守るべきであることを説いている。

郷黨 七 潔斎の時は必ず湯浴みしてその後に着る浴衣備えよ

      潔斎の時は必ず普段とは異なる食事整えるべし

      潔斎の時は必ず居を移し普段と変わる場所選ぶべし

      
メモ:潔斎の時の心得を説いたもの。

郷黨 八 君子たる者は飲食する時は正しき決まり守るべきなり

      食するに精白したる米よろし膾はいくら細かくてよし

      すえて味変わりし飯や腐りたる魚や肉は食すべからず

      色悪く臭いの悪くなったものよく煮ざるもの食すべからず

      旬ならず切り方悪しき物などや付け汁なきは食すべからず

      肉食す時は主食の飯よりも多からざるを守るべきなり

      飲酒にはその量決める要ないが乱れぬ事が肝心なこと

      買った酒売り物の乾し肉などや生姜は多く食すべからず

      主の祭り手伝い貰う肉などは宵越しにする事なかるべし

      我が家の祭りの肉はすぐ食し三日を超える事なかるべし

      食べる時会話慎み寝る時も無闇に話す事なかるべし

      粗なる飯野菜の汁や瓜なども食する時は敬虔であれ

      
メモ:君子としての飲食についての心得を述べたもの。

郷黨 九 敷物は必ず正し整えて座席に着くが正しき作法

      
メモ:礼儀作法の一つ。

郷黨 十 故郷の酒席で退出する時は老者の後にするが礼なり

      故郷の追儺は礼の服着し催す側の席に着くべし

      
メモ:故郷における礼儀作法の一つ。

郷黨 十一 敬すべき友への使者に対しては再拝をして送り出すべし

        
メモ:友への敬意を示したもの。

郷黨 十二 味見して食受け取るが礼儀だが薬の時は慎重であれ

        
メモ:未知なる物には慎重に対処することが大事。

郷黨 十三 孔聖は厩の火事で先ず人の安否を尋ね馬にはふれず

        
メモ:当たり前と言えば当たり前の話だが。

郷黨 十四 主君より食物の下賜ある時は座席を正し一口食す

        主君より生肉の下賜ある時は必ず熱し祖先に供う

        主君より動物の下賜ある時は必ず飼育すること守る

        
メモ:臣下の礼としての心得を説いたもの。

郷黨 十五 主の君と共に食事をする時は毒味の為に先に食せり

        
メモ:臣下の礼としての心得を説いたもの。

郷黨 十六 病床に主君の見舞い受けし時東首したうえ衣帯正せり

        
メモ:臣下の礼としての心得を説いたもの。

郷黨 十七 主命にて召されし時は乗り物の用意も待たず赴くが良し

        
メモ:臣下の礼としての心得を説いたもの。

郷黨 十八 大君の祖の御霊屋の中にては礼の作法を尋ねるが良し

        
メモ:礼については慎重の上にも慎重にせよとの教え。

郷黨 十九 寄る辺なき友死せる時孔聖はおのが家中に棺安置す

        友達の豪華な贈り物とても祭肉以外拝すべからず

        
メモ:孔子の儒教精神の一部を表したもの。

郷黨 二十 寝る時は死体のように無様にはならず普段は容儀つくらず

        
メモ:孔子の普段の様子を表したもの。

郷黨 二十一 喪服着た人に出会えば昵懇の間柄でも様子あらたむ

         地位高き人に出会えば昵懇の間柄でも様子あらたむ

         目の悪い人に出会えば昵懇の間柄でも様子あらたむ

         喪服着た人や戸籍簿持つ人に作法通りの敬意示せり

         豪勢な馳走を受けた場合には容姿整え敬意示せり

         迅雷や暴風などに対しては居住まい正し慎みており

         
メモ:孔子の普段の様子を表したもの。

郷黨 二十二 孔聖は車に乗ると必ずや直立をして綱握りたり

         車中では大声出さず振り向かず直に指さすこともなさらず

         
メモ:孔子の普段の様子を表したもの。

郷黨 二十三 飛び立ってぐるぐる廻りまた留まる鳥の動きに人相似たり

         
メモ:鳥の動きに人の出処進退を重ね合わせたもの。


        



        

      

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