論語を詠み解く

論語・大学・中庸・孟子を短歌形式で解説。小学・華厳論・童蒙訓・中論・申鑑を翻訳。令和に入って徳や氣の字の調査を開始。

管子好言

2023-06-01 09:50:18 | 論語

<管子>立政第四[国政樹立の基本原則]
◎基本原則(政治機構の有り方)
 Ⅰ.三本(国を治める三つの基本原則)←国の治乱を左右する本源。
  ① 君主が臣下の人徳を正しく把握し、其の人徳に見合った適正配置の実現。
  ②    君主が臣下の功績を正しく把握し、其の功績に見合った適正処遇の実現。 
  ③ 君主が臣下の能力を正しく把握し、其の能力に見合った適正地位の実現。
      以上の三本が君主によって正しく把握されていれば、臣下は無闇に高い地位や
              俸禄を得ようとはしないし、邪臣や佞臣が蔓延ることもない。

 Ⅱ.四固(国の安泰を計る四つの基本原則)
  ① 人民に対する思いやりの無い人物には、国の政治を任せてはならない。
     (宰相が民心を掌握できないのは国の危機。)
  ② 自分より優れた人物に自分の地位を譲ることが出来るほどの度量を持てぬ人物    
               には、尊貴な地位を与えてはならない。

     (重臣たちが親しみ会えぬのは国の危機。)
  ③ 処罰を下す時に、親しい人や地位の高い人には手加減するような人物には、兵    
               権を任せてはならない。

     (軍事を司る将軍が軽佻浮薄なのは国の危機。)
  ④ 農事を好まず、生産に務めず、租税を安易に取り立てる者には、地方の政治を
    任せてはならない。
     (人民が農業生産を軽視するのは国の危機。)
       以上が、国の安泰を図る上で君主が慎むべき四原則である。
 Ⅲ.五事(国の繁栄を計る五つの基本原則)
  ① 山林や湿地帯での防火策。
     (草木の生育不振は国の貧困の元。)
  ② 灌漑用水の整備。
     (貯水池の不備は国の貧困の元。)
  ③ 主要作物の耕作不振。
     (桑・麻・穀物の耕作不振は国の貧困の元。)
  ④ 副業の耕作不振。
     (家畜・野菜・果実の耕作不振は国の貧困の元。)
  ⑤ 飾り立てる行為。
     (織物や裁縫で装飾を凝らすのは国の貧困の元。)
       以上が、国の繁栄を計る上で君主が務めるべき五原則である。
            以上の基本原則に続いて、更に具体的な以下のような細則が述べられている。
◎施政細則
 Ⅰ.郷・州制、連体制。
 Ⅱ.首憲(年の初めに古代憲法君主によって公布された法令。)
 Ⅲ.国家事業
 Ⅳ.行政監察官
 Ⅴ.服制
 Ⅵ.国家滅亡を来す原因
  ① 反戦論争。
  ② 兼愛思想の蔓延。
  ③ 廉恥心の低下。
  ④ 政治批判の流行。 
  ⑤ 徒党を組む数による支配。
  ⑥ 拝金主義の流行による爵位・官職の価値減退。
  ⑦ ずる賢い者の支配政治
  ⑧ 賄賂・縁故の支配する政治
  ⑨ 媚び・諂いの支配する政治
 Ⅶ.君主が注視すべき七つの観望すべき要点。
  ①教化による効果。
  ②訓化による効果。
  ③風俗による効果。
  ④誠信による効果。
  ⑤国家事業による効果。
  ⑥天道による効果。
  ⑦政治による効果。
[参考]
<管子、立成篇>
  1立国。
  國之所以治亂者三,殺戮刑罰,不足用也。國之所以安危者四,城郭險阻,不足守也。國之所以富貧者五,輕税租,薄賦斂,不足恃也。治國有三本,而安國有四固,而富國有五事,五事五經也。
  国の治亂する所以の者は三つ、殺戮刑罰は、用いるに足らざるなり。国の安危する所以の者は四つ、城郭險阻は、守るに足らざるなり。国の富貧なる所以の者は五つ、税租を軽くし、賦斂(ふれん)を薄くするは、恃むに足らざるなり。国を治めるに三本有り、而して国を安んじるに四固有り、而して国を富ますに五事有り、五事は五經なり。
  2三本。
  君之所審者三:一曰德不當其位;二曰功不當其祿;三曰能不當其官;此三本者,治亂之原也;故國有德義未明於朝者,則不可加以尊位;功力未見於國者,則不可授與重祿;臨事不信於民者,則不可使任大官;故德厚而位卑者謂之過;德薄而位尊者謂之失;寧過於君子,而毋失於小人;過於君子,其為怨淺;失於小人,其為禍深;是故國有德義未明於朝而處尊位者,則良臣不進;有功力未見於國而有重祿者,則勞臣不勸;有臨事不信於民而任大官者,則材臣不用;三本者審,則下不敢求;三本者不審,則邪臣上通,而便辟制威;如此,則明塞於上,而治壅於下,正道捐棄,而邪事日長。三本者審,則便辟無威於國,道塗無行禽,疏遠無蔽獄,孤寡無隱治,故曰:「刑省治寡,朝不合衆」。右は三本。
  君の審かにする所の者三つ:一に曰く、德は其の位に当たらず;二に曰く、功は其の祿に当たらず;三に曰く、能は其の官に当たらず;此の三本は,治亂の原(みなもと)なり;故に國に德義の未だ朝(ちょう)に明らかならざる者有れば、則ち以て尊位に加える可からず;功力(こうりょく)の未だ國に見(あらわ)れざる者には,則ち授けるに重祿を以てす可からず;事に臨みて民に信ぜられざる者は,則ち大官に任ぜしむ可からず;故に德厚くして而かも位卑しき者は之れを過と謂う;德薄くして而も位尊き者は之れを失と謂う;寧しろ君子に過なるも,小人に失なること母かれ;君子に過なるは,其の怨みを為すこと淺く;小人に失なるは,其の禍を為すこと深し;是の故に國に德義の未だ朝に明らかならずして而も尊位に處(お)る者有れば,則ち良臣は進まず;功力の未だ國に見れずして而も重祿有る者有れば,則ち勞臣は勸(すす)まず;事に臨みて民に信ぜられずして而も大官に任ぜらるる者有れば,則ち材臣(ざいしん)用いられず;三本の者が審かなれば,則ち下は敢えて求めず;三本の者が審かならざれば,則ち邪臣が上通(じょうつう)して,而も便辟(べんべき)威を制す;此の如くなれば,則ち明は上に塞がりて,而も治は下に壅り,正道は捐棄(えんき)して,而も邪事は日に長ず。三本の者が審かなれば,則ち便辟は国に威無く,道塗(どうと)に行禽(こうきん)無く,疏遠に蔽獄(へいごく)無く,孤寡(こか)隱治(いんち)無く,故に曰く:「刑は省かれ治は寡くして,朝に衆を合わせず」と。以上は国を治める三つの基本原則。
  3四固。
  君之所慎者四:一曰大德不至仁,不可以授國柄。二曰見賢不能讓,不可與尊位。三曰罰避親貴,不可使主兵。四曰不好本事,不務地利,而輕賦斂,不可與都邑。此四務者,安危之本也。故曰:「卿相不得衆,國之危也。大臣不和同,國之危也。兵主不足畏,國之危也。民不懷其産,國之危也。」故大德至仁,則操國得衆。見賢能讓,則大臣和同。罰不避親貴,則威行於鄰敵。好本事,務地利,重賦斂,則民懷其産。右四固
  君の慎む所の者四:一に曰く大德も仁に至らざれば,以て國柄(こくへい)を授ける可からず。二に曰く賢を見て讓ること能わざるには,尊位を與う可からず。三に曰く罰するに親貴を避けるには,兵を主(つかさど)らしむ可からず。四に曰く本事を好まず,地利を務めずして,而も賦斂(ふれん)を軽々しくするには,都邑を与える可からず。此の四務は,安危の本なり。故に曰く:「卿相(けいしょう)衆を得ざるは,國の危なり。大臣が和同せざるは,國の危なり。兵主(へいしゅ)が畏れるに足らざるは,國の危なり。民が其の産を懷(おも)わざるは,國の危なり」と。故に大德が仁に至れば,則ち国を操り衆を得。賢を見て能く讓れば,則ち大臣は和同す。罰するに親貴を避けざれば,則ち威は鄰敵(りんてき)に行わる。本事を好み,地利を務め,賦斂(ふれん)を重(はばか)れば,則ち民は其の産を懷う。以上は国を安泰にする四原則。
  4五事。
  君之所務者五:一曰山澤不救於火,草木不植成,國之貧也。二曰溝瀆不遂於隘,鄣水不安其藏,國之貧也。三曰桑麻不植於野,五穀不宜其地,國之貧也。四曰六畜不育於家,瓜瓠葷菜百果不備具,國之貧也。五曰工事競於刻鏤,女事繁於文章,國之貧也。故曰:「山澤救於火,草木植成,國之富也。溝瀆遂於隘,鄣水安其藏,國之富也。桑麻植於野,五穀宜其地,國之富也。六畜育於家,瓜瓠葷菜百果備具,國之富也。工事無刻鏤,女事無文章,國之富也。右五事。
  君の務める所の者は五つ:一に曰く山澤(さんたく)火を救(つつし)まず,草木植成せざるは,國の貧なり。二に曰く溝瀆(こうとく)隘(せま)きに遂(すすまず),鄣水(しょうすい)其の藏に安んぜざるは,國の貧なり。三に曰く桑麻(そういま)野に植えられず,五穀其の地に宜しからざるは,國の貧なり。四に曰く六畜(りくきゅう)家に育われず,瓜瓠(かこ)・葷菜(くんさい)・百果・備具せざるは,國の貧なり。五に曰く工事刻鏤(こくろう)を競い,女事文章を繁くするは,國の貧なり。故に曰く:「山澤火を敬(つつし)み,草木植成するは,國の富なり。溝瀆隘(せま)きに遂(すす)み,鄣水其の藏に安んじるは,國の富なり。桑麻野に植えられ,五穀其の地に宜しきは,國の富なり。六畜家に育われ,瓜瓠・葷菜・百果・備具するは,國の富なり。工事刻鏤無く,女事文章無きは,國の富なり。以上は国を富ませる五原則。
  5王制(郷・州制、連体制)
   分國以為五郷,郷為之師,分郷以為五州,州為之長。・・・凡過黨,其在家屬,及于長家。・・・。
   國を分かちて以て五郷と為し、郷ごとに之が師(すい)を為(つく)り、郷を分かちて以て五州と為し、州ごとに之が長を為る。・・・凡そ過黨(かとう),其の家屬に在れば,長家に及ぶ。・・・。
  6首憲
   正月之朔,百吏在朝,君乃出令布憲于國,五郷之師,五屬大夫,皆受憲于太史。大朝之日,五郷之師,五屬大夫,皆身習憲于君前。太史既布憲,入籍于太府。憲籍分于君前。五郷之師出朝,遂于郷官致于郷屬,及于游宗,皆受憲。・・・。
   正月の朔(さく),百吏は朝に在りて,君は乃ち令を出し憲を國に布き、五郷の師,五屬の大夫,皆憲を太史に受く。大朝の日,五郷の師,五屬大夫,皆身ら憲を君前に習う。太史は既に憲を布(し)き,籍を太府に入る。憲籍は君前に分たれ、五郷の師は朝を出て,遂に郷官に于いて郷屬を致し、游宗に及ぶまで,皆憲を受く。・・・。
  7国家事業
   凡將舉事,令必先出,曰事將為。其賞罰之數,必先明之,立事者,謹守令以行賞罰,計事致令,復賞罰之所加,有不合於令之所謂者,雖有功利,則謂之專制,罪死不赦。首事既布,然後可以舉事。
   凡そ將に事を舉げんとすれば,令は必ず先づ出し,曰く事は將に為さんと。其の賞罰の數は,必ず先づ之を明かにし、事を立てる者は,謹みて令を守り以て賞罰を行い、事を計り令を致し,賞罰の加わる所を復し,有不合於令の謂う所に合わざる者有れば,功利有りと雖も,則ち之を專制と謂い,罪は死(ころ)して赦さず。首事は既に布き,然る後に以て事を舉ぐ可し。
  8省官(行政監察官の業務)
   修火憲,敬山澤,林藪積草,・・・虞師之事也,決水潦,通溝瀆,修障防,・・・司空之事也。相高下,視肥墝,觀地宜,・・・由田之事也。行郷里,視宮室,觀樹藝,・・・郷師之事也。論百工,審時事,辨功苦,・・・工師之事也。右省官。
   修火憲を修め、山澤の林藪・積草を敬(いましめ),・・・虞師の事なり。水潦(すいろう)を決し、溝瀆(こうとく)を通じ,障防(しょうぼう)を修め,・・・司空の事なり。高下(こうか)を相し,肥墝(ひこう)視,地宜を觀,・・・由田の事なり。郷里を行(めぐ)り,宮室を視,樹藝を觀,・・・郷師の事なり。百工を論じ,時事を審(つまびら)かにし,功苦を辨じ,・・・工師(こうし)の事なり。以上は行政監察官の業務に関する記述。
  9服制
   度爵而制服,量祿而用財,飲食有量,衣服有制,宮室有度,六畜人徒有數,舟車陳器有禁,生則有軒冕服位穀祿田宅之分,死則有棺槨絞衾壙壟之度。・・・右服制。
      爵を度(はか)りて服を制し,祿を量りて財を用い,飲食には量有り,衣服には制有り,宮室には度有り,六畜人徒には數有り,舟車陳器には禁有り,生きては則ち軒冕・服位・穀祿・田宅の分有り,死しては則ち棺槨絞衾壙壟の度有り。・・・右は服務規程。
  10九敗
   寢兵之説勝,則險阻不守。兼愛之説勝,則士卒不戰。全生之説勝,則廉恥不立。私議自貴之説勝,則上令不行。群徒比周之説勝,則賢不肖不分。金玉貨財之説勝。則爵服下流,觀樂玩好之説勝。則姦民在上位。請謁任舉之説勝,則繩墨不正,諂諛飾過之説勝,則巧佞者用。右九敗。
   兵を寢(や)むの説が勝てば,則ち險阻は守られず。兼愛の説が勝てば,則ち士卒は戰わず。全生の説が勝てば,則ち廉恥は立たず。私議して自ら貴の説が勝かてば,則ち上の令が行われず。群徒比周(ぐんとひしゅう)の説勝てば,則ち賢不肖は分たれず。金玉貨財の説が勝てば、則ち爵服は下流し,觀樂玩好(かんらくがんこう)の説が勝てば、則ち姦民が上位に在り。請謁任舉(せいえつにんきょ)の説が勝てば,則ち繩墨は正しからず。諂諛飾過(てんゆしょくか)の説が勝てば,則ち巧佞(こうねい)の者が用いらる。右は九つの国家滅亡を来す原因。
  11七觀
   期而致,使而往,百姓舍己以上為心者,教之所期也。始於不足見,終於不可及,一人服之,萬人從之,訓之所期也。未之令而為,未之使而往,上不加勉,而民自盡,竭俗之所期也。好惡形於心,百姓化於下,罰未行而民畏恐,賞未加而民勸勉,誠信之所期也。為而無害,成而不議,得而莫之能爭,天道之所期也。為之而成,求之而得,上之所欲,小大必舉,事之所期也。令則行,禁則止,憲之所及,俗之所被,如百體之從心,政之所期也。右七觀。
      期して致り、使いして往き、百姓(ひゃくせい)己を舍(す)てて上(かみ)を以て心と為すは、教の期する所なり。見るに足らざるに始まり、及ぶ可からざるに終わり、一人之れを服して、萬人之れに従うは、訓(おしえ)の期する所なり。未だ之れを令せずして而も為し、未だ之れを使わずして而も往き、上が勉を加えずして而も民が自ら盡竭(じんけつ)するは、俗の期する所なり。好惡心に形(あらわ)れて、百姓は下(しも)に化し、罰は未だ行われずして而も民は畏恐(いきょう)し、賞は未だ加わらずして而も民が勸勉(かんべん)するは、誠信の期する所なり。為して害する無く、成して議せず、得て之れを能く爭う莫きは、天道の期する所なり。之れを為して成り、之れを求めて得、上の欲する所、小大(しょうだい)必ず舉がるは、事の期する所なり。令すれば則ち行われ、禁ずれば則ち止み、憲の及ぶ所、俗の被るとっころ、百體の心に從うが如きは、政の期する所なり。右は七つの観望すべき要点。
<荀子、王制>
   ◎為政者の技量
   衛成侯、嗣公聚斂計數之君也,未及取民也。鄭子産取民者也,未及為政也。齊管仲為政者也,未及修禮也。故修禮者王,為政者彊,取民者安,聚斂者亡。故王者富民,霸者富士,僅存之國富大夫,亡國富筐篋,實府庫。筐篋已富,府庫已實,而百姓貧。夫是之謂上溢而下漏。入不可以守,出不可以戰,則傾覆滅亡可立而待也。故我聚之以亡,敵得之以彊。聚斂者,召寇、肥敵、亡國、危身之道也,故明君不蹈也。
   衛の成侯、嗣公は聚斂(しゅうれん)計數の君なり,未だ民を取るに及ばざるなり。鄭の子産は民を取りし者なるも,未だ政を為すに及ばざるなり。齊の管仲は政を為せし者なるも,未だ禮を修めるにおよばざるなり。故に禮を修める者は王,政を為す者は彊,民を取る者は安く,聚斂する者は亡ぶ。故に王者は民を富ませ,霸者は士を富ませ,僅かに存するの國は大夫を富ませ,亡國は筐篋(きょうきょう)を富ませて,府庫を実たす。筐篋が已に富み,府庫が已に實ち,而も百姓は貧す。夫れ是れを之れ上は溢れ而して下は漏(か)れると謂う。入りては以て守る可からず,出でては以て戰う可からず,則ち傾覆滅亡は立つ而して待つ可きなり。故に我は之れを聚めて以て亡び,敵は之れを得て以て彊し。聚斂は,寇(あだ)を召(まね)き、敵を肥やし、國を亡し、身を危うくするの道にして,故に明君は蹈まざるなり。
   ◎王道・覇道・強道
   王奪之人,霸奪之與,彊奪之地。奪之人者臣諸侯,奪之與者友諸侯,奪之地者敵諸侯。臣諸侯者王,友諸侯者霸,敵諸侯者危。
   王は之れ人を奪(と)り,霸は之れ與を奪り,彊は之れ地を奪る。之れ人を奪るとは諸侯を臣とし,之が與を奪るとは諸侯を友とし,之が地を奪るとは諸侯を敵とすることなり。諸侯を臣とする者は王,諸侯を友とする者は霸,諸侯を敵とする者は危うし。
[感想]
 以上は覇王としての施政の姿を紹介したものである。今日においても利しうるものもあれば、批判されるべきものもある。荀子が<荀子、王制>の中で、管仲の施政の姿を[禮]徳の欠けたものとして批判しているが、この問題は今日においても実現し難いものとして為政者を苦しめている。[禮徳]を実際の施政に、如何に実現すべきか難しい問題である。ここで是非とも触れておかねばならぬのが、国家の滅亡を来す原因として、「墨子の兼愛思想の蔓延」に触れている点で、これについては別項で詳しく取り上げてみたいと思っている。
(追記) 次回からは、このシリ-ズを一時休止し、昨年論じた戦争私論の追論を纏めていきたいと思う。
                         (05.06.01)

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