散歩の時間

東武東上線をたどりながら池袋から秩父湖まで散歩をします。その様子をスライドショーでご紹介します。

北区志茂と、赤羽駅周辺の散歩

2009-05-26 23:56:19 | 普通の散歩
最近は、ほとんど近所ネタばかりとなっています。

同じところを何回も歩いて面白いかと言うと、面白いです。

街並みはどんどん変わっていきます。

こんな不景気でもちょっとした広い土地はすぐに何件かの建売になっていきます。

新しい家にはすぐに若いファミリーが引っ越してきます。

新しい家の数だけどこかに空き家ができているということだから・・・・えーと、世の中はどうなっていくんだろう??? 

なんて考えると、もしかしたら世の中には古い空き家がたくさん余っているのかもしれないなんて思うのです。

それから、私はよその家の庭先のサボテンもチェックしています。

今はサボテンに花が咲く時期なので、咲いていそうなサボテンを目指していくのですが、この前まであった、人の背丈より高い柱サボテンが今日はなくなっていたりする。

うー残念。

でも、この前と一本違う通りを歩いたら、しぶい銭湯があったりする。

気にいった同じ街を何回も歩くから、建て替えられて変わる街並みや、四季折々の草や木の違いが分かって面白いと言うのがあります。



写真は古いコンクリ製の遊具が現役の公園、でも子供がいるのを見たことはない。今はへびいちごの赤い実が足元に広がって静かな公園を演出している。


この写真はどこがいいかというと、コンクリの隙間から生えた草に日が当っているところや、共産党のポスターがいいと思う。



赤羽は北口は古いままの商店街が最近まで残っていたのだけど、今は駅前ロータリーに面したところを高い建物にするらしくて壊して建て替えていました。

この一角は赤羽小学校の校門のすぐ横が妖しい飲み屋通りだったりするし、古い小さい路地がアーケード風になっていて入り口のあたりには立ち飲みが出来るおでんやさんなど最近はほとんど見かけない風俗が生きています。

なかなか大変に庶民的で良かったので、どのくらい変わってしまうのか心配です。

奥の方はそのままにしておいてくれるといいな、と思うのです。



ここいらへんを通ると必ず「まるますや」という川魚料理の飲み屋さんの前に出ます。

ここはいつもお昼からもうお客さんがいっぱいで、午後4時とか、まだ明るい夕方などにも、もちろんすでにお客さんでいっぱいになっています。

昭和30年代とか、40年代とかの雰囲気で、鯉のあらいや、なまずのから揚げ、大根がこっくりとしょうゆ色に煮えてる牛筋の煮込みとか、どじょう鍋とか、うなぎの骨とか、うどのぬたとか、たまねぎのフライとか、もういろいろ、老若男女(老と男が多い)がありとあらゆるおつまみを食べながら、ビールや焼酎を飲んで狭いカウンターにひしめいてそれぞれが勝手なことをしゃべっているわけです。

ザワザワとしているのだけど、うるさいと言うのでもなく、今時は開け放した入り口から良い風が入ってきます。

みんな、気持ちが和んでいい気分なのがお店の空気になっている感じなのですね。

給仕をしてくれるおばちゃんがまたいいんだわ。

超人的な記憶力と手際の良さで、ビールと小鉢を並べ、「あいよ」って軽やかに注文を聞き、おつまみを置いていくんです。



雨の日に東京散歩 2

2009-05-08 10:19:08 | 普通の散歩
春日通りと中山道が交差する交差点には古い高層の都営住宅があって、北側の壁には「都営何とかアパート」って縦に日本語で字が書いてあります。

今時はメゾンだの、シャトーだの、アーバンだのと、出来るだけ素敵な感じをイメージした名前がついているものなのに、この実用性のみでつけられた名前と言うのは今ではかえってすごいインパクトです。

地下鉄の入口も暗い緑色のタイルを張った時代を感じるもので、昔に続く穴に降りるって感じでいいです。

左側の細い道を入っていくと今はやっていないけど1階がマーケットになっていたみたいで、古い看板のかかった閉まった入口があります。

そのまま道なりに適当に歩いていくと、古い家がたくさん残った落ち着いた住宅地になります。

このあたりは東大の裏側で、そのせいか分からないけど、昭和の初めころの映画に出てきそうな旅館や、下宿屋風の建物がたくさん残っていてこれはもう本当にすごいことだと思います。

通りからガラス戸の開け放たれた玄関とホールのあたりがが見えます。

玄関は掃き清められ、ほとんどの内装材が天然の木材のようなのでホールは暗い色調なのですが、床も壁も磨き込まれて黒光りしています。

新しいきれいな明るいホテルとは違って、古いけど掃除が行き届き、長年大切に手をかけてきた空間は空気が違います。

お客を迎える意気込みのような緊迫感があります。

そういう旅館や、古い民家や大きく育った植木などに年月を感じながら歩いていきました。



小雨がふるこどもの日だったので、私達は傘を差していたのだけど、途中、合羽を着た、若いおとうさんと、小学3、4年生くらいの女の子と、5,6才位の男の子が3人で街並み探検散歩をやっているのを見かけました。

男の子が転んで膝をすりむいてしまったので、道の端によけてお父さんがばんそうこうを貼ってあげていました。

ばんそうこうを持っているお父さんというのも用意のいいことだと思ったことです。

傘ではなくて、合羽というのがいいです。

傘をさして歩いたのでは特別なイベントになりません。

お母さんはどうしたんだろう? と思いました。

お母さんは雨の日に用もないのに外を歩くのなんか嫌いなのかしら?

いえいえ、きっと赤ちゃんがいて世話をしなくてはいけないのでおとうさんと子ども達を出してあげたのですね。

なんて話を考えていて、私も小学生の時はよく父親と東京の街を歩いたものだと思い出しました。

街並み探検隊なんて特別なものではなくて、休みで暇だから歩きに行こうという感じです。

思えば今気が付いたけど、うちの母親もただ歩くという時には一度も一緒に来たことはありませんでした。

昔は、そんなことは大人の女の人はしないことだったのだと思うのです。

健康ブームでお年よりはよく街を歩いていますが、今だってほとんどの女の人は用もないのに歩いたりはしないのだと思います。

女性は散歩はしないものなのかもしれません。

うちの父親は下町(上野)生まれなので、私を連れて昔よく歩いたのも、日暮里から上野、御徒町、秋葉原、神田、あと、浅草とか時々都電に乗って銀座の辺りまで行くこともありましたが下町が多かったようです。。

それで覚えているのが、秋葉原か神田の辺りだと思うのですが、国電(昔はJRのことをそう呼びました。)のガードの下の小さいコーヒーショップに入ったときのことです。

そこは、カウンターと止まり木みたいな丸い小さい椅子が7,8個あるだけで、天井の方からはゴーゴー電車が通る音がして、ちっとも洒落ていないし、メニューは飲み物とホットドックくらいしかないお店でした。

そこに入って父はコーヒーを頼んで、私にはココアかミルクかなにか、それからカウンターの端にあったガラス瓶に入ったドーナツを買ってくれました。

小ぶりで、べーキングパウダーを使って膨らました硬いタイプのもので、グラニュー糖がまぶさった甘いドーナツです。

昔の子供は今ほどふんだんにおやつを食べられたりはしなかったので、いつも甘いものに強く憧れていました。

それで、私はあっという間にドーナツを食べてしまい、指なんかなめていたのかもしれません。

そして父は「もう一つ食べるか?」と言って、もう一つ買ってくれたのです。

そうやって、ドーナツを3個食べたように思うのです。

暗黙の了解ごとで、何か買ってもらうときは一つに決まっていたのにです。

母には子供にドーナツを3個も食べさせるなんて思いもつかないのです。

父との、そんなことを何十年も経った今も覚えているのです。 




もしかしたら、雨の日に合羽を着てお父さんと散歩をした男の子は、転んですりむいたことを覚えているかもしれません。

または、女の子の方が、弟が転んだことや、道端のよその家のガレージのあたりのことなど覚えているかもしれません。

若いお父さんは子供達とお昼は何を食べたのでしょう?

古いお蕎麦屋さんにはいったでしょうか? それとも、マクドナルドでいつものセットを頼んだでしょうか?

小さいころのことというのは、何が思い出に残るのか分からないものなのです。

お父さん頑張れ! と、心の中でよく分からない応援をしたのでした。




なんてこともほんの一瞬の通りすがりにあったのでした。

小雨の降る日の散歩というのもなかなかいいものでした。



雨の日に東京散歩 1

2009-05-05 23:27:26 | 普通の散歩
5月5日 こどもの日 曇りのち雨


神保町、九段坂下、後楽園、本郷、白山、と歩いてみました。

久しぶりの雨でした。

朝の天気予報では雨は昼からということでしたが、思ったよりも早く降り始めました。

乾いた歩道に時折小雨がパラパラ降って、雨の降り始めの、あの埃臭さが立ち昇りました。

すぐに街中が濡れてしまえば、「降り始めは独特の埃臭さがあるよね」なんて話して雨の趣のひとつになるというものなのに、いつまでもパラパラしているものだからいつまでも埃臭くて困りました。

まず最初に行った神保町は、書泉グランデの横の入り口の前に、いつもコーヒーの良い香りがしているブラジルがあって、その左隣は小宮山書店のガレージセール場になっています。

ここでは1冊でも500円、2冊でも500円、3冊でも500円、という値段設定で、表通りの店からはみ出た本が、間口の広い薄暗いガレージに詰め込まれて売られています。

なんだかすごく入りやすいので、道を歩く人がついでみたいに入っていきます。

ここにはよく”太陽”という雑誌が出ているのですが、この日も黄色くなった背表紙の太陽が一杯並んでいてすごいのでした。

眺めていたら思わず1976年の温泉の特集号を買ってしまいました。

北海道の秘境の湯、などというのが紹介されていて、この前行った北海道とは全然違うのでした。

つげ義春の漫画の世界とそうは違わない感じなのでした。

と思ったら、本当につげ義春が挿絵を描いていたのでびっくり。

しばしタイムスリップを楽しむことができそうです。






西に少し歩くと九段下で、そこから神田川沿いを南に進むことにしました。

特に何もないようですが、少年画報社とか、出版関係の古びたビルが休日の雨の日にはひっそりとしています。

神田川沿いは、きれいな歩道が整備されて、ホテルメトロポリタンエドモントという、すんごい名前のきれいなホテルもあったりするのですが、やっぱり上を走る高速道路が川を暗い感じにしています。

きれいな新しいホテルと、高速道路と、古びたビルと、暗い川と、東京って感じですね。

水道橋を過ぎて、夜のゲームのためにもう人がたくさん並んでいる東京ドームを半周して、ちょっと疲れたので文京区役所の1階のコーヒーショップで一休みです。

コーヒーを飲んでいると、時々、後楽園のジェットコースターが高いところから急降下するときの”ゴー”という音と、「キャー」という悲鳴が同時に響きます。

私はジェットコースターなんか絶対に乗りたくないけど、人が出すそういう怖いのと面白いのが入り混じった悲鳴を聞くのは、ちょっと臨場感が味わえて面白いです。

春日の駅がすぐだし、もう帰ろうと思ったのだけど、休んだらまた歩けそうな感じがしたので、もう少し足を伸ばして本郷から白山の裏通りを歩くことにしました。