権現水は、権現滝からきている水場。権現滝は、城山の上の方にある滝である。木曽義仲が平家殲滅をめざして出陣する前に、御嶽大権現を勧請して身を清めた滝と言われている。小さい頃に何回か行ったことがある。近くで見ると、なんだか恐ろしい滝であった印象がある。――それはともかく、権現様の怒りのおかげで、平家の武士や女の子はたくさん海に沈んでしまった。滝が海に勝ったのである。山が海に勝ったと言ってもよい。というわけで、西行の負け惜しみの歌↓
木曾と申す武者、死に侍りけりな
木曾人は海のいかりをしずめかねて死出の山にも入りにけるかな
と思って、近くを見たら、「郵便ポスト 義仲くん」。現代人にも義仲に対する尊敬がまったく感じられない。たぶん罰が下るはずである。