宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

醍醐のしずく

2020-07-06 13:13:35 | 酒のこと



 先入先出をミスった「醍醐のしずく」を開けました。
瓶詰月は2019.05.と、1年余り前のものです。






底に沈殿した澱を撹拌しようと瓶を振り、開栓しようとすると、シュワ~と炭酸が上がってくるのが見えます。
慌てて栓を締め直します。

 いやあ驚きました。
まだビンビンに発泡してます。
宥めながらようやく開栓。
シェリーグラスに注ぎます。
濾過しないお酒ですので、薄っすら濁っています。




 香りはまずミルキー、そして発酵食品のそれ、例えは悪いですが、ほんのりと白菜の漬物のそれの様です。
味わいは、一言で言うと、甘いシェリー酒のようです。
正直、日本酒の常識、枠からははみ出しています。
ですから、頭の固い私のような者には「別の酒類」との認識が発生します。

 実はこれ、女性のファンが多いのです。
何なら、「日本酒は苦手だけど、これは凄く美味しい」という感想を持たれる方が多いようです。

何故なら、既存の日本酒とは製造工程が大きく違うから。
簡単に説明いたしますと、これは、「菩提もと仕込み」というものです。

●「菩提もと仕込み」とは

中世(10世紀〜)寺院で興った「僧坊酒」の系譜に連なり、戦国の世、奈良(奈良市南郊、菩提山町)の菩提山川の清流をさかのぼった辺りに所在する「菩提山正暦寺(ぼだいせんしょうりゃくじ)」で創製された「諸白(もろはく)」(掛米・麹米ともに白米で仕込んだ酒)が日本酒造りの原点であるといわれています。
この仕込み方を菩提もと仕込みといい、温暖な季節にも可能なつくりかたなのです。
先ず、最初に空中の乳酸菌を取り込み、乳酸発酵を営ませて雑菌の繁殖を押さえ、野生酵母(酒蔵では蔵付き酵母)の増殖を促し、アルコール発酵を行わせる、といった微生物学的に極めて巧妙かつ合理的なものでした。
乳酸発酵の進んだ『そやし』という酸っぱい水をもとにして仕込みます。
この仕込み方法は『生もと』の原型とも言われています。


 そして、そのままを味わっていただくためにろ過、割り水をせずに1仕込み(約800本)ごとに瓶詰めします。
本来の姿が良く分かるよう、透明ビンに詰めました。
味の変化する醗酵中のお酒ですから、冷蔵庫保管の上、お召し上がりください。
甘酸っぱいお酒です。
仕込み時期によって味の違いが出るお酒ですので、季節ごとの味をお楽しみいただけます。





 その結果として、このお酒の中には、天然の乳酸菌と酵母菌が活きています。
即ち、有用菌、有機酸、アミノ酸等がたっぷり含まれていますので、健康飲料としてもご愛飲いただけます。




 こうした自然酒のみを造るお蔵元は、寺田本家といいます。
つい先日再放送されたBS1スペシャル▽人生は旅だ 料理も旅だⅡ 三ツ星シェフ日本のコメに挑むでもじっくりと紹介されていました。

 そも、私がこのお蔵元の存在を知ったのは、この一冊の本なんです。





 これを読んで感動したので、お取引をお願いしたという訳です。














醍醐のしずく(生酒)720ml  寺田本家  税別1450円


原材料名/米・米麹(自然米コシヒカリ)精米歩合/90〜93%

米の栽培方法/無農薬米(コシヒカリ等) 
精米歩合/90〜93% 
麹菌/自家培養
アルコール度数/6.0〜17.0%
日本酒度/−40〜−70 
酸度/6〜12 
アミノ酸度/2〜6 
   ※仕込みごとに数値が異なるため、おおまかな範囲を記してあります。

寺田本家様のサイトより引用しました。




*新居浜市内のお宅には配達いたします。
(税別5000円以上は無料、未満は税別500円の配達料が必要です)
ご注文は、メール takarajima@shikoku.ne.jp か、お電話 080-4038-3717 へどうぞ。
*その他のエリアの方は、トレジャーアイランドへおいでください。
全国発送できます。




以下に、
とても的確な表現ですので、日本酒に縁のなかった女性のブログから引用させていただきます。








私はあまりお酒に強くなく、甘いお酒のほうが好きなので日本酒は私にはあまり向いていない、と思い込んでいました。
当然、日本酒についての知識もありませんでした。

ところが、このお酒を一口飲んだ時から日本酒に対しての意識が大きく変わりました。

「醍醐のしずく」

このお酒は昔ながらの製法で作られたどぶろくタイプの若いお酒です。

グレープフルーツのような爽やかな酸味と甘みでアルコール度も低めなのですいすい飲めてしまう、いわいる標準的な「日本酒」というものからすると特殊な部類に入るもののようですが、とっても美味しいお酒なのです。

それまでの私の持っていた「どぶろく」のイメージは濁り酒のようなものでしたが、これは美しい澄んだ黄金色をしていて、まさに光輝くしずくのよう。
どぶろくのイメージを払拭してくれました。

昔ながらの製法を行っているため、仕込みごとにアルコール度数や甘さが違ったり、生きたままのお酒なので、蔵出しからの日数の中でも発酵が進むため、毎回味わいが違うというのも面白い。

日本酒の甘さ・辛さの目安になる「日本酒度」というものがあります。

+2.0とか−2.0とかプラスマイナスの数値で示されるもので、マイナスのほうが甘いんです。

一般的に「甘口の日本酒」といわれるものでも、せいぜい−5.0ぐらいの数値なのですが、この「醍醐のしずく」は、一番最近飲んだものはなんと、−80.0 !!

もうほんと、蜜のように甘くうっとりする美味しさでした。

例えるなら、貴腐ワインのよう。
お米と麹だけで、どうしてこんなに甘くて美味しい飲み物ができてしまうのか?

まさに発酵は魔法です。
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