1973年4月
高校2年のクラス替え最初の日
自己紹介の中で一番輝いて見えたのがキミだった
その瞬間からボクにはキミばかりを見つめる習慣がついた
ヨースルに恋したんだ、キミに
それから一年経った春
また同じクラスになった
じっくりと熟成された恋心はもうはちきれんばかり
もう待てない
勇気を出して打ち明けた
するとキミはこう言った
「やっと!?」
その日からボクたちは転げる様につきあった
「今度の日曜、一緒に金毘羅さんに行かん?」
「ええよ、行こいこ!」
二人で国鉄のディーゼル車に乗って
予讃線から多度津で予土線に乗り換える
車かバイクで行けば、そう難しくない目的地
でも、まだボクたちは高校生
ボクはバイクに乗ってたし、男友達と連れ立って、大みそかの夜中からそれで初詣に行ったこともある
でも大切なキミを載せていくにはまだ早い気がした
それでよかったんだ
車窓を流れゆく瀬戸内の海を眺めながら、飽くことなくボクたちは話し合った
毎日逢ってるのによくもまあまだ話題があったもんだ
正直なところ、目的地は何処でもよかった
真っ先に思いついたのが、そこだったというだけ
だから、何処に行っても愉しかったハズ
でも、後日友人がこう言った
「あそこは女の神さんやけん、アベックで行くと焼き餅焼かれて別れることになるらしいぞ」
その情報の真偽のほどは知らない
ただその後、ボクたちは別々の道を歩くことになった
それは、神様ではなく、ボクのせいだった
そして、
『実は不思議なことに、あれから、あの頃のシュンちゃんとの記憶だけがほとんど消えて無くなってるの』
と、
ずっと後になって、キミはそっとボクに打ち明けた
だから、あのふたりだけの春の日々はもう二度と戻ってこない・・・
松たか子 - 明日、春が来たら 97-07 ...... (Live at 中野サンプラザホール)
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