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大飯原発再稼働に関し、橋下大阪市長が初めて「事実上の容認ですよ」と明言

2012-05-31 15:21:30 | Weblog

吉本興業所属の芸能人の肉親による生活保護の不正受給疑惑が「次長課長」にとどまらなくなってきている一方で、関西電力大飯原発の再稼働問題について、橋下大阪市長が初めて「事実上の容認ですよ」と明言した。ここに何度もコメントをいただいていたぶぶさんが予想していた線が近くなってきた。すなわち、

「オレとしては反対だけど、どうしても再稼働せよと周りが言うなら、仕方なく容認する。でもオレは反対って言ったからな!!」

というアリバイ作りである。

こういうアリバイ作りに、市長なり首長として、本当に関西地域の国民の安全と国民生活の維持(不景気脱却も含む)を考慮した上で原発再稼働に反対したのだ、という「正当性」があったならば、私も「アリバイ作り」などという表現はしない。実際は、単に根拠もなく原発への恐怖を煽られた衆愚におもねるかのように、行き当たりばったりの「ただ反対」を繰り返してきただけだから「アリバイ作り」と表現したのだ。

 

まずはニュースのまとめ。

 

「事実上容認する」と明言 大飯再稼働で橋下市長(ANNニュース 2012/05/31 11:36)

 

 大飯原発の再稼働問題で、大阪市の橋下市長が「事実上、容認する」と初めて明言しました。

 橋下徹大阪市長:「建前ばかり言っていても仕方ない。(再稼働は)事実上、容認です」

 このように橋下市長は、大飯原発の再稼働を事実上、容認すると明言しました。そのうえで、暫定的な基準による再稼働はあくまで例外で、稼働は電力の不足するこの夏に限定するよう求め続ける考えです。

 橋下徹大阪市長:「2年も3年も動かし続けるのはあってはならない。秋ぐらいをターゲットにチェックして『違うものは違う』と(主張する)」

 市民:「再稼働で良いと思いますよ。結局、足りないものは作らないとダメ」
「安全性が確認できないと困る。まだ(再稼働は)無理じゃないですかね」
「絶対反対。子どもや孫のためにね。どんな電力不足も我慢できる」

 再稼働反対の最強硬派だった橋下市長が容認に転じたことで、再稼働に向け、一気に動き出すことになりそうです。(ここまで)

 

福井新聞では、関西地域の知事らからなる関西広域連合が、昨日、原発再稼働容認へ発言を修正したことを詳しく報道している。

 

関西連合、現実考え再稼働容認へ 慎重姿勢を修正、県の体制尊重 (福井新聞 2012年5月31日午前7時27分)

 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働をめぐり関西広域連合は30日、慎重・反対の姿勢から容認へ大きく軌道修正した。背景にあるのは、今夏15%以上の節電が求められ「計画停電は生命のリスクがある」(仁坂吉伸和歌山県知事)という厳しい現実だ。再稼働に異を唱えるだけで電力不足を乗り切る決め手もないという限界を露呈。安全性確保のための福井県の取り組みを尊重しつつ、最終判断を条件付きで政府に委ねる形となった。(原発取材班)

 

 ■強硬から一転

 関西圏の首長はこれまで「被害地元」(嘉田由紀子滋賀県知事)を訴えたり、大阪府市統合本部エネルギー戦略会議が再稼働の8条件に原発100キロ圏内の自治体との安全協定締結を求めるなど、再稼働に強硬な反対姿勢だった。

 ただ、5月に入り政府の需給検証委員会は、再稼働しなければピーク時の需要に対して14.9%不足するとの見通しを確定。広域連合として15%以上の節電は受け入れたものの、決定的な節電誘導策は見いだせないのが現状だ。「関西経済に大きな支障が出る」(関西経済連合会)などとして、再稼働を求める経済界の声も強まっていた。

 この日の会合では、仁坂知事が「15%節電は手荒なことをしないと達成できない。計画停電による生命のリスクも全部クリアできない。(原発を)止めることを思って議論しているわけでない」と発言。政府の安全判断はあくまで「暫定的」との言質はとったものの、再稼働を事実上認める声明を出さざるを得なかった。

 

 ■頼りは福井?

 安全性を客観的にチェックする権限、能力を持たずに、ただ「ノー」と言い続けることの限界ものぞかせた。

 2基の安全性をめぐり京都府の山田啓二知事は会合で、原子力安全委員会など国の安全規制が機能していないとあらためて指摘する一方、2基の安全性を検証している県原子力安全専門委員会など福井県の体制について「専門的な見地で、まさに動いているのはここだけ。福井県には感謝し、安全専門委の見解は十分尊重してほしい」と持ち上げた。

 声明でも福井県が40年以上にわたり関西圏に電力を供給し、安全管理組織などを設置して県独自の監視体制をとってきた点に触れ「関西の現在の発展は、こうした取り組みがなければあり得なかった」とまで記した。

 必ずしも信頼の置けない政府に代わり、安全性を高める上では福井県の知見が重要になるとみたともいえ、細野豪志原発事故担当相も「40年の経験を有する福井県の判断を政府として重く受け止める」と言及した。

 広域連合加盟の各知事は、声明発表の記者会見で「容認ではない」「判断の権限はない」と苦しい胸の内を明かした。原発立地市町が地元の県議は「関西の首長は経済団体の声や計画停電への不安などで、電力逼迫(ひっぱく)の状況を相当認識し、常識的に判断したと思う。求めていた原発の安全性確保も、国の説明を受け一定の区切りをつけたのではないか」との見方を示した。(ここまで)

 

福井新聞サイトにあった、関西広域連合声明の要旨はこれ。

(C)福井新聞 

 

 文字起こし。

 

 関西地域は40年以上にわたり若狭湾に立地する原発から安定的な電力を受け続け、産業の振興と住民生活の向上が図られてきた。安全確保のため、立地県である福井県が独自に特別な安全管理組織と専門委員会を設置し、常時厳しい監視体制がとられてきた。開西の現在の発展は、こうした取り組みがなければあり得なかったといっても過言ではない。

 関西電力大飯原発3、4号機が定期検査を終え、再稼働の時期を迎えているが、開西広域連含は東京電力福島第1原発事故を踏まえ、安全性が確認できなければ再稼働すべきではないとの立場から政府に3度の申し入れを行い、5月19日と30日に説明を受けた。

 政府の新たな安全基準は、原子力規制庁などの規制機関が発足していない中での暫定的な判断基準であり、政府の安全判断も暫定的なものだ。大飯原発の再稼働は、政府の暫定的な安全判断であることを前堤に、限定的なものとして適切な判断をするよう強く求める。

(ここまで)

 

 

以前、当ブログのここに書いたように、橋本市長は

「原発の安全性は専門家でなければ判断できない!」

と明言した。この発言が本気の発言であるならば、原子力安全委員会が大飯原発再稼働に関する一時評価を妥当と判断し、上記の関西広域連合が賞賛している福井県原子力安全専門委員会の委員長である中川英之委員長が「安全性は確認できた」と述べている以上、全面的に再稼働を認めるはずである。

 

大飯再稼動巡り福井県専門委「安全確認できた」 (読売新聞 2012年5月31日)

 関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を巡り、福井県原子力安全専門委員会は週明けにも報告書をまとめ、西川一誠知事に提出する。専門委の中川英之委員長は「安全性は確認できた」としており、同県内での同意手続きが一気に加速しそうだ。

 委員会は学識経験者ら12人で組織。4月には同原発を視察するなどし、国の示した安全基準などを独自に検証してきた。報告書は、シビアアクシデント(過酷事故)の防止策として非常用発電装置が分散配備され、原子炉冷却用の海水くみ上げポンプなどが整備されていることを確認したなどとする内容。

 おおい町の時岡忍町長は、報告書が安全性を妥当とする内容ならば「(再稼働に)同意する」との考えを示している。県議会は来週に全員協議会を開く考えで、田中敏幸議長は「野田首相の決意表明で、再稼働の条件はそろったのではないか」と話している。

 西川知事は31日午前、登庁したが、取材には一切応じなかった。

 西川知事は、報告書の提出後、時岡町長と県議会の意向を踏まえ、野田首相に最終判断を伝える。(ここまで)

 

 

ところが橋本市長は、

>「2年も3年も動かし続けるのはあってはならない。秋ぐらいをターゲットにチェックして『違うものは違う』と(主張する)」

などと、未だに「判断主体としてオレがいることも忘れんなよ!」と虚勢を張る。オイ、橋下よ。キミは、今年4/6のツイートで、

 

原子力安全委員会の問題点は挙げればきりがない。しかしこの機関しか存在しない。安全委員会よりも政治家が安全性について判断できることは絶対にない。メンバーが問題ならば、政治が入れ替えれば良い。
posted at 21:57:12

 

と明言していたのではなかったのか?そのキミも所属している、関西広域連合が持ち上げている、福井県原子力安全専門委員会委員長が

「安全性は確認できた」

と明言したのだから、この期に及んで

 

>「2年も3年も動かし続けるのはあってはならない。秋ぐらいをターゲットにチェックして『違うものは違う』と(主張する)」

 

などと、平気で言えるところに、彼の政治家としての首尾一貫性が全くないということが如実に表れている。

 

 

橋下よ、悪いことは言わないから、4/6のツイート、および今年4/24の、藤村官房長官との会談で出した「8提案」を見直せ。

 

「② 新体制のものとで安全基準を根本から作り直すこと」が特におかしい。政治家が、専門家以上に原発の安全性を正確に判断できないというのなら、「安全基準を作り直せ」となぜ命じることができるのか、その根拠がなくなる。

 

同様に、ネトサヨどもが伝家の宝刀のように抜く(笑)だろうが、

「原子力規制庁がまだできていないのだからダメ!」

という「いいわけ(笑)」も、全然ロジカルではない。 政治家は、専門家以上に原発の安全性を正確に判断できないんだろ?橋下的には。だったら原子力規制庁なんぞを作ろうが作るまいが、新しい基準が出ようが出まいが、その妥当性を政治家が判断することなどできなかろう。

 

橋下よ、「雰囲気だけ反原発」に乗っかるのは、そろそろやめたら?ケツまる見えやで。

 



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