「学者・科学者・識者」への評価をコロコロ変える橋下徹

橋下が大声で騒ぐと、それをニュースで「紹介」するという形で、全国のマスゴミが騒ぐ。橋下はただ単にそれを狙って騒いでいるのだろうとしか思えない。

 

橋下市長ら、原発８提案を政府に申し入れ（読売　2012年4月24日）

　橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事は２４日、首相官邸で藤村官房長官と会談し、原子力発電所の安全性に関して府市がまとめた「８提案」を申し入れた。橋下氏らは、政府が安全性を確認した関西電力大飯原発３、４号機（福井県おおい町）の再稼働に反対しており、政府の進める手続きを見直すよう求めたが、藤村氏は応じなかった。

　８提案は、独立性の高い規制機関の設立や、原発から１００キロ程度の都道府県と電力事業者が協定を締結出来る仕組みの構築などを求めている。

　会談で、橋下市長が「今の（再稼働の）手続きでは国民は納得しない。内閣府原子力安全委員会に指示を出して安全性を確認させるべきだ」と求めたのに対し、藤村氏は「手続きは変えられない」と応じ、８提案については「将来的にはしっかり考えるべき問題だ」と述べたという。会談後、橋下市長は報道陣に、「一度走り出したら止められない政府になっている。国家の重大危機だ」と批判、松井知事は「安全性の問題を政治だけで判断するのは、国民の理解を得られない」と語った。

　橋下氏は「専門家の意見を聞く手順を抜かした民主党の統治のあり方は危険」と、再稼働の是非を衆院選の争点とする意向を示している。

（C）読売新聞

（ここまで）

 

松井大阪府知事が、単に橋下の腰巾着になっているだけなのは、あたかもロシアのメドベージェフとプーチンの関係を彷彿とさせ、それだけで苦笑したくなるが、そこはぐっと我慢しておこう。

 

内容的に注目したいのはここだ。

＞会談で、橋下市長が「今の（再稼働の）手続きでは国民は納得しない。内閣府原子力安全委員会に指示を出して安全性を確認させるべきだ」と求めた

＞会談後、橋下市長は報道陣に、「一度走り出したら止められない政府になっている。国家の重大危機だ」と批判、松井知事は「安全性の問題を政治だけで判断するのは、国民の理解を得られない」と語った。

＞橋下氏は「専門家の意見を聞く手順を抜かした民主党の統治のあり方は危険」と、

 

まとめると、

・原発再稼働の問題は、政治家は判断できない問題だ。

・判断できるのは、「内閣府原子力安全委員会」という「専門家」だけだ。

の二点である。

 

では、橋下徹がその「専門家」をどのように評価しているのかということを、彼のツイッターから抜粋してみる。今年の4月6日のツイートが象徴的だ。

 

民意をバカにする役立たず学者はいくらでもいる。こういう輩は口ばっかりで小難しい事を言うが、役所に来て組織に指示の一つもできない輩だ。選挙での民意を大切にする。それが民主政の原点だ。民意は危うい。移ろいやすい。不合理な判断もする。しかしそれでも選挙での民意を大切にするのが民主政だ。
posted at 11:37:20

そういう民意をバカにする連中は北朝鮮に行け！偉そうに民意をバカにする輩ほど北朝鮮では獄中行きだ！僕は危うくても、移ろいやすくても、不安定でも、不合理でも選挙で示された民意をとことん大切にする。そして民意がより良くなるよう国全体で国民のレベルを上げるよう努力する。それが民主政だ。
posted at 11:39:51

 

マニフェストは学者のレジュメとは違う。あの紙は、選挙を踏まえた政権の力の源だ。そういう風土がないから役所は政治をバカにする。過日の民主党代表選では消費税増税は決定できない。仮に決定したとしてもマニフェストの根幹部分に抵触し無効。そうであれば、その決定に従わないことこそ真の政治だ。
posted at 18:48:01

 

なぜ原子力安全委員会に明確な意見を述べさせない？日本国会において原発の安全性について意見を述べる最高権威は良くも悪くも原子力安全委員会だ。メンバーが悪いと言うなら、メンバーは国会で決めて欲しい。今回、国民は感覚で皆分かっている。民主党がずる賢いプロセスを踏んでいることを。
posted at 19:16:12

 

原子力安全委員会に安全性について意見をさせず、ストレステストの調査がきちんと行われたことだけ承認させた。これで安全委員会が安全を認めたと国民を錯覚させた。とんでもない統治だ。そしてこれじゃまずいと気付いたのか、慌てて暫定安全基準を作ることにした。
posted at 19:22:12

ということは原子力安全委員会の「了承」と言うのは、安全基準に照らしたものではない。安全性を判断したのではない。もう無茶苦茶だ。原子力安全委員会に安全性についてきちんと思う存分語らせれば良い。安全だと言うなら反対論者に徹底追及させたら良い。全て公開の場で。
posted at 19:23:55

 

原子力安全委員会の問題点は挙げればきりがない。しかしこの機関しか存在しない。安全委員会よりも政治家が安全性について判断できることは絶対にない。メンバーが問題ならば、政治が入れ替えれば良い。
posted at 21:57:12

 

まず、素人でも気づくことは、橋下は、たった1日のツイートの中でも、恣意的に「悪い学者と良い学者」を分けている点だ。

・「悪い学者」についての記述

＞民意をバカにする役立たず学者はいくらでもいる。こういう輩は口ばっかりで小難しい事を言うが、役所に来て組織に指示の一つもできない輩だ。

＞マニフェストは学者のレジュメとは違う。

どちらについても、マニフェストを掲げ、それを遂行する能力については「学者」より「政治家」の方が上であるという前提を置き、「マニフェストを実行する能力もないクセに、学者がしゃしゃり出てくるな！」という意図で書かれている文であるとして良かろう。その一方で、

 

・「良い学者」についての記述

＞なぜ原子力安全委員会に明確な意見を述べさせない？日本国会において原発の安全性について意見を述べる最高権威は良くも悪くも原子力安全委員会だ。

 

・・・あれ？さっきはさんざん「学者」をこき下ろしておいて、同日のツイートで真逆なことを平気で言う橋下徹。もしも、「原子力安全委員会に所属している学者は信頼できる」という前提がなければ、

「なぜ原子力安全委員会に明確な意見を述べさせない？」

などという発言は、口が裂けてもできないのだが。なぜ抜けシャアシャアとこういうセリフを、しつこいが、同日のツイートでできるのか。私には全く理解できない。

こういう、一見すると矛盾する発言に、仮に整合性があるとするならば、

１　「マニフェストを実行できない役立たず学者」は誰なのか。

２　「原子力安全委員会に所属している、役に立つ学者」は誰なのか。

を、別基準を示すか、あるいは具体的に示すことで「分ける」ことが必要なのだが、橋下はそのどちらもしていない。これでは、頭の悪い二枚舌バカが、ただ感情を垂れ流しているだけのバカツイートと同じである。

そしてここからが、頭の悪い人（笑）には気づけないところだろうが、単純にロジック（論理）の問題として、

 

１　「政治家は、原発の安全性について、専門家以上には正しい判断ができない」

という前提を立ててしまうと、

２　「政治家は、原子力安全委員会に所属している学者が、正しく原発について判断しているかどうかも判断できない」

という帰結に必ずなるわけで、そうなると、

３　「メンバーが問題ならば、政治が入れ替えれば良い」

という21:57:12の発言は、「政治家たちができないとわかっていることを、『政治がやればいい』と言っている」発言に他ならない、ということだ。

 

しかし橋下の原発政策を支持する多くの「衆愚」は、彼の表面的な「物言い」に、雰囲気だけで説得された気になってしまう。すなわち、

１　「政治家は、原発の安全性について、専門家以上には正しい判断ができない」

だからこそ、

２　「原子力安全委員会のメンバーが問題ならば、政治が入れ替えればよい」

と直結できてしまう、実にレベルの低い脳をお持ちなのだ。私が「放射脳」というのも理解いただけるであろう。

 

何回でも繰り返そう。

１　「政治家は、原発の安全性について、専門家以上には正しい判断ができない」

のなら、

２　その、原発の安全性について判断できない政治家は、どのようにして、「原発の安全性を『正しく』評価できるであろう専門家」を判断できるのだ？？その判断基準は何？「人格」ですか？（笑）

 

数々の無責任発言で大いに国民の失笑を買っている、斑目原子力安全委員長だが、人格だけで見るのなら、もしかしたら実にしっかりした人かもしれない。しかし、そんなところを基準にして原子力安全委員を決めて、政治家以上に正しく、原発の安全性について判断できると、誰が保証できるのだ？？？